ログイン | 新規登録
メインメニュー

ほの研ブログ - 最新エントリー

 2024年7月2日10時より千葉県柏市野村證券柏支店3階のホールにて、柏シルバー大学院B組の方々へ「高齢者の認知症予防」をテーマにした出前講座を行いました。当大学院は千葉県生涯大学校を修了した後も、さらに自主的に学習を続け、社会環境の変化に順応する能力を 高め、交遊の輪を広げ、併せて社会活動に参加し、生き甲斐の高揚に資することを目的として昭和56年5月に創立されました。学生により自主的に運営されています。在校の皆様は月2日、年間18回(約72時間)の学習のほか、年3回の校外研修及び年2回の合同研修をなどに参加されるなど、まさに生涯学習を粛々と継続中の方々です。
 
 今回の講座で以上のことを実感したのは、開講時刻10時の30分前には、大学院の生徒さん達で会場(シルバー大学院では【教場】が呼称のようです)は既に満席に近い状態で学習準備万端であったことと、講座の開始には「起立」「礼」「着席」の号令がかかったこと。さらには、お世話役の方から、小休憩時に「今回は睡眠学習(居眠り)をしている人が誰もいなかった!」というお声を漏れ伺ったり、当日の出席者は72名(男39名、女33名)で出席率92.3%とのことで、皆様の意識の高さ感じ取ることができました。

 今講座は講師を大武美保子代表理事・所長が務め、共想法デモンストレーションやPC操作行うアシスタントとして市民研究員の根岸、松村、吉田、三浦、長久が参加いたしました。
 
 開会のご挨拶、講師の紹介の後、早速講座が始まりました。まず、ほのぼの研究所のトピックスでもある8月20日に開催する設立16周年記念講演会のメインが、大学時時代の恩師でもある失敗学の提唱者:畑村洋太郎先生との師弟対談であることを伝えました。そして、畑村先生の話題性の高い近著『老いの失敗学』に表された「老いの小さな失敗に対する対策や考え方」=「上手に老いる」は認知症予防のために、小さな失敗を恐れず十分に対策をした上で挑戦することにつながると述べました。

『老いの失敗学」畑村洋太郎著

 次いで、畑村先生(1941年生まれ)と同じ、あるいはそれ以上の方々も十数人いらっしゃるようにお見受けした会場の皆様に対して認知症に関する認識や日々の健康長寿や認知症予防に対する工夫の有無などを問いかけながら、長く認知症を患った祖母と、写真を介して、また質問を工夫することで会話が広がり、コミュニケーションができるようになったという経験をきっかけに、認知症予防の研究を始めたいう話や、さらに、会話に着目して進めている研究の経緯、ほのぼの研究所を設立した意味などを述べ、自己紹介をしました。

授業風景

 今講座の本題「高齢者の認知症予防」についての講話は、まず「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が遅れなくなった状態」であると、認知症の定義を述べた後、人生100年といわれる中、95歳以上の高齢者の約8割が認知症と推計されるという喫緊の課題があることを述べました。

 加えて、80歳まで20本以上の歯を残すことをスローガンとした8020運動(口腔ケア習慣の徹底)で、55歳〜64歳で歯を失う人の割合が、1975年から2005年までの間に、20%から2%に減少した成功事例を挙げ、認知機能の低下を防ぐために認知機能能をバランスよく活用する認知ケア習慣を普及させれば、認知症有病率を劇的に減少させることは夢ではない、認知症予防対策はまだまだ伸びしろがある、歯を磨くように脳を磨こうという熱い思いも述べました。

 そして、その認知症予防対策として以下の2つを挙げ、詳細を説明しました。
1)生理的アプローチ(認知症の原因の約9割を閉めるアルツハイマー病と脳血管障害を防ぐこと=身体と脳の老化を防ぐこと)➨適度な運動、食事の工夫、充分な睡眠…エビデンスが豊富
2) 認知的アプローチ(たとえアルツハイマー病にかかったとしても、認知症の症状が出るのを防ぐこと)➨社会生活を送る上で必要であり認知症になると急激に低下するとされている体験記憶、注意分割機能、計画実行機能、言語流暢性といった認知機能を必要とする、知的活動や社会的交流を行い、言語能力を高める

 さらに、体験記憶の衰えを進行度別に示し、重度の「最近のことを思い出せない」症状になる前に表れる「最近のことを覚えない、思い出さない」ような生活習慣は、いずれ重度な症状に陥る危険信号が灯っている状態なので、毎日楽しくすごし、最近のことをきちんと憶えておいて、それを話すことが大切であると添えました。

 そうした観点から、会話(最近のことを話す)に注目して、2006年に提唱した、認知症になると低下する認知機能を活用する社会的交流を、高い確率で実現するための会話支援手法:「共想法」について次のように説明しました。設定されたテーマに沿った写真を撮影し、時間と順序のルール決めて、話す、聞く、質問する、答える(会話する)もので、一連の作業を通して、加齢と共に衰えやすい体験記憶、注意分割機能、計画力を、総合的に使うことで、衰えやすい認知機能の低下を防ぎ、長持ちする脳の使い方を実践するものです。

 10分間の休憩を挟んで、市民研究員の3人が参加の、「最近やってみたこと」がテーマの、ロボットぼのちゃんが司会をする共想法デモンストレーションをご覧に入れました。しかしながら、経験豊富な共想法ベテラン?だけに、それぞれが時間をきっちり守って話題提供と質問をしてしまったため、司会ぼのちゃんが時間どおりに会話をしない参加者を容赦なく遮って、正しい進行を続けようとする役目が果たせず、賢いロボットの見せ場をご披露できなかったことは反省事項でした、

共想法のデモンストレーション

 その後、配布資料をもとに、ロボットぼのちゃんが単なる司会でなく、会話量を計測して、参加者だれもにまんべんなく会話を促す機能もあることや、共想法のような、憶えたり、質問をしたりという頭を使った会話を続けることにより、言葉を取り出す脳の機能(言語流暢性)が向上したということがRCT調査でわかったことを伝え、ぜひとも生活習慣に取り入れていってほしいと勧めました。
 最後に、大武代表理事の研究活動を発信している各種SNSツールや、ほのぼの研究所の広報・普及等の活動内容を紹介し、在宅でもご参加可能な遠隔共想法や街歩き共想法へのご参加を誘いし、終講となりました。
 
 残念ながら、時間の関係で質疑応答の時間はありませんでしたが、クラスの責任者から「大変興味のある講義であり、真剣に受講することができました。配布資料を読み返すことでようやく「共想法」について理解ができたので、改めてまたそれに関する講義を視聴したい」という感想をいただいたことは、大変嬉しいことでした。
  

クラスの責任者との記念撮影

 この講座開催に当たり、ご尽力いただきました柏市シルバー大学院の関係者の方々に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 また、講義冒頭にご案内した8月に開催する設立記念講演会へのご参加お申込みを当日から引き続き沢山いただいておりますことも、大変ありがたく厚く御礼申し上げます。

市民研究員 長久秀子

岸和田市街歩き共想法実施報告

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-7-14 8:00
ほのぼの研究所大武所長がチームリーダーとして勤務する、理化学研究所革新知能統合研究センター認知行動支援技術チームが、2023年度、大阪府岸和田市と岸和田市にある有限会社野花ヘルスプロモートの三者共同研究として、遠隔共想法の実証実験を行いました。この実証実験のフォローアップイベントとして、岸和田市街歩き共想法を、2024年6月2日(日)に実施しました。
 ほのぼの研究所は、研究協力の一環として、街歩き共想法実施運営のノウハウの共有および情報発信面で協力することとなりました。

岸和田街歩き共想法チラシ


 岸和田といえば秋に開催される『だんじり祭り』が超有名ですが、その他にも岸和田城や八陣の庭、五風荘庭園など見所は数々存在しています。また、参勤交代の道として大阪と和歌山を結んでいた紀州街道には江戸時代から明治時代の町屋建築が残っており、当時の風情を感じることができる素敵な街並みです。

 参加者は、2023年度岸和田市で行った実証実験参加者と岸和田市役所の方 、その方々を1年間サポートしてきたほのぼの研究所賛助会員の野花ヘルスプロモートの社員の方々、大阪在住のほのぼの研究所共想法継続コース参加者、理化学研究所の研究者とスタッフ一同、総勢30名あまりです。この他に記録動画を制作するための映像制作者やその動画撮影のご支援をいただく人気ユーチューバーの方などが同行くださいました。この皆さんを野花ヘルスプ<ロモートの先導により安全に配慮した街歩きを行いました。

ご参加の皆様


 今回の街歩きは写真を撮りながらゆっくり歩いて1時間半程度のコースです。
‖膾縅僂鯔召犂瀟妥張戰ぅ┘螢△離ぅ戰鵐伐饐譟愼邀は伽撻曄璽襦戮鬟好拭璽函E卦い惑曇りで直射日光が当たらない上々の街歩き日和でした。

浪切ホールをスタート

△世鵑犬蟶廚蠅任慮せ場「やりまわし(だんじりを直角に曲げること)」が見られる『カンカン場』を通過し紀州街道へ。

カンカン場

この交差点の左右からだんじりが全力で駆けてきて減速せず正面の通りへと直角に旋回します。左にあるFOODS MARKETの駐車場に観覧席が設けられ観客で一杯になります。

5州街道を南西の方向(和歌山方向)に散策し、古い町並みを堪能。岸和田では既にだんじり祭りの準備が始まっており、お囃子の稽古をやっていました。

紀州街道道標     紀州街道の街並み


だんじり(お囃子の稽古中)
              
 
さ州街道から左に見える岸和田市役所、岸和田城を通過して左折、だんじり会館を左に見ながらちょっとした坂を登ってもう一度左折し、岸和田城の方向へ。だんじり会館の裏を通りました。左に睡蓮が咲く堀を見て岸和田城へと向かいます。途中に土産物屋もあり観光地という風情です。 

だんじり会館の裏側     水連が咲く岸和田城の壕

ゴ瀟妥直襪謀着。お城の前が八陣の庭になっています。お城の上から眺めたい庭でしたが、今回はお城には上らず地上から見ただけでした。次回訪れた時にはぜひ上から眺めたいものです。

お濠越しの岸和田城      岸和田城と八陣の庭

Δ城を出て今度は杉江能楽堂に向かいます。今この能楽堂はレストランになっており、中で食事をしないと能楽堂を見ることができないとのこと。前だけ通って帰路につきました。

左上に杉江能楽堂の看板

Г城を下って行って紀州街道まで戻ります。紀州街道を大阪方面に戻り、カンカン場の方へ曲がって横断歩道を渡れば浪切ホール。皆さん無事ゴールしました。

ゴールまで500m     ゴール

 さて各々昼食を済ませ、午後からは皆さんが午前中に撮影した写真を使っての共想法です。場所は浪切ホールの特別会議室。今回は参加者も多いことから5名1グループで一人一枚の写真を使います。説明時間は1分ですが、質問時間は3分に設定されています。全部で6グループです。広い特別会議室の前後で3グループずつに分かれ共想法の開始です。

 ここでトラブル発生。ロボットのぼのちゃんが不調です。1台はどこかがオーバーヒートしたのかちょっと焦げ臭い匂いがします。熱もあるようです。慌てて電源OFFにして匂いが消えた頃に再起動したところ声はすれども手と顔が動きません。再度確認するとケーブルがちゃんと接続されてなかったようです。これを修正し正常動作するようになりました。良かったです。あとの一台は正常に動くのですが、広い会場に対して声が小さく聞きづらいためパソコンのスピーカーから音声を流すことになりました。理化学研究所のテクニカルサポートメンバーは一瞬焦りましたが、無事、共想法を開始することができました。

 共想法での写真は岸和田城の写真やだんじりの写真、マンホールやら道路標識などそれぞれの感性で気になったものになっていました。道路標識の写真で1分説明するのは難しく時間が余るなど、持ち時間ぴったりに写真を説明し、質問するのに苦労なさる方が結構いらっしゃって、話を膨らませることで脳をたくさん使うことになったでしょう。共想法の狙いがしっかり反映される形になったと思います。

共想法の様子1


共想法の様子2

 感染症の影響で遠隔実施だった共想法を、街歩きと言う形で皆さんと直に会ってお話できたことで、経験者の方も新鮮に感じられた、岸和田に住んでいるのに今まで気づかなかったものが見えたというような感想が多くあり、皆さん楽しまれた様子でした。中には歩く事が苦手だったのに、実は歩く事は楽しい事だと気づいたという方もいらっしゃいました。
皆さん楽しくお話されたようで、笑顔と笑いの絶えない共想法になっていました。これを機会に関西方面へも共想法を広げたいですね。事実、野花ヘルスプロモートさんはお隣の泉大津市でも街歩き共想法ができないか提案に赴くようです。
 皆様、お疲れ様でした。

理化学研究所 テクニカルサポート
 平良弘之

日々測る、確認する

カテゴリ : 
今日の共想法 » 蛋白質を摂る工夫
執筆 : 
NagahisaH 2024-7-7 8:00
 昨年末から柏市柏の葉にある「まちの健康研究所 あ・し・た」のメンバーになりました。ここでは街づくりのテーマ「健康長寿」の活動拠点として、様々な活動や企画が展開されています。私は毎食の写真を送ると、総カロリーと各栄養素の摂取量を測定してスマホアプリに表示してくれる柏キャンパスの東大の企画に参加して、これをもとに、タンパク質に焦点を当てて、食事の内容を変えようと努力しています。参加者には東京大学と精肉会社が共同開発したミートボール(詳細は明らかにされていませんが、多分植物性蛋白製だと思われますが)、色々なレシピつきで月2回プレゼントされます。こうしたことを続けているせいか、私は最近 2.5kg 体重が減り、 筋肉量は0.5kg 増えました。

継続コース参加者 M.A.さん



写真を送ると、スマホに情報提供される毎食の栄養素摂取量

コメント:市民研究員 H.N.さん
「測る」「目で確認する」を継続することは、ダイエットを始めとする体調管理やその他の活動に大変効果的だということを聞いています。昨年末からの短期間に大きな効果が得られたとは、大変嬉しいことですね。奥様の協力もあってこそとも思いました。ご褒美のミートボールはとても魅力的ですが、たまさか写真に映せないレベルの手抜きの食事をする私には、なかなかハードルが高いなと感じ、それゆえ健康管理がなかなかうまくいかないのだと痛感、反省しました。

ナチュラルクリーニング

カテゴリ : 
今日の共想法 » 生活の工夫
執筆 : 
NagataE 2024-6-30 8:00
  生活の工夫の一つとして取り入れているのは、重曹やクエン酸を日常の掃除に使うことです。住宅用洗剤は「○○用〜」と、様々な種類の物が販売されていますが、わが家は住宅用洗剤を買うことがめっきり少なくなりました。重曹は台所の換気扇の掃除の時などに威力を発揮します。また、クエン酸は、風呂の鏡についた水あかを除去する時に使います。他には排水口のつまり予防に、排水口のあたりに重曹と、クエン酸を置いて、水を流してしばらく置いておくと発泡してきます。また、しばらく時間をおいてからお湯で流して終了です。水道屋さんもこの方法は有効だと言って下さいました。写真に載せたクエン酸は、薄めずに使えるようにスプレーに入っており100円ショップで購入しました。掃除に重曹とクエン酸を使うことで、気になった時にすぐに掃除ができるので便利だと思っています。ただ、使ってはいけない所もあるので、そこは注意が必要です。

継続コース参加者 N.K.さん



掃除に重宝しているクエン酸、重曹

コメント:市民研究員 E.N.さん
まめに掃除をされている様子が伺えて、素晴らしいと思いました。私は最低限のことしかやらないので、羨ましい限りです。日頃手間を惜しまずに綺麗にしておけばいいのですが、なかなかその気になれません。さっそくお風呂の鏡掃除から見習うことにいたします。

豆腐

カテゴリ : 
今日の共想法 » 蛋白質を摂る工夫
執筆 : 
NagataE 2024-6-23 8:00
  私は豆腐が大好きで、夕食には 一丁の豆腐を、欠かさず食べています。その豆腐は、減塩しょうゆで味付けし、 減塩を心がけています。昔 我が家で、会社の友人を招いて食事会をした時に、友人が お前の家は、朝から晩まで 、豆腐ばかり食べていると言っていたことを思い出しますが、確かに、私は豆腐が大好きなので 、その通りだと思いました。豆腐は安価で 、こんな美味しい食べ物はないと私は思います。これからも 、豆腐をたくさん食べて、健康に留意したいと思います。

市民研究員 M.M.さん



大好物の豆腐

コメント:市民研究員 E.N.さん
写真のお豆腐はなめらかで美味しそうです。これからの季節は更に美味しく味わえることでしょう。おすすめの食べ方がありましたら教えていただきたいものです。小学生時代に先生のご自宅でお昼をご馳走になった時、ひとりひとりに一丁のお豆腐が出てきて度肝を抜かれたことがありました。頑張って食べきりましたが、おなかがいっぱいで苦しかった思い出があります。

ほのぼの研究所2024年度活動方針

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2024-6-16 8:00
 新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行し、約1年が経ちました。2023年度は、コロナ禍の間控えていた、対面による講演会、対面による認知症予防体験会、街歩き共想法を、それぞれ注意深く開催し、安全に執り行うことができました。コロナ禍の間、また、5類への移行後も、約4年にわたって、いかにコロナ禍を乗り切るかに注力してきました。ところが、改めて振り返ってみると、4年分だけ、参加者も実施者も年を重ねたことに気づきました。年を重ねると、それまでできていたことが、困難になることもあります。コロナ禍対応というよりは、時間の流れへの対応が不可欠です。そこで、2024年度は、時間の流れへの対応を重点項目とし、持続可能な活動に必要な体制を作ることを目指します。

 第一に、実施者の年齢層の幅を広げることに取り組みます。これまで、当事者である高齢者の手で、認知症予防に有効な方法を創り出して行こうとの考えのもと、高齢者を中心に実施、運営をしてきました。活動を進める中で、より早い時期、現在の高齢者の定義である65歳より前から、認知症予防を意識して、加齢対策を進めることが有効であると、切実に実感するようになりました。認知症予防、そして、その土台となるフレイル予防には、運動が有効ですが、運動を安全にできる状態にない高齢者が多いのです。特に女性は、70代後半になると、2人に1人は骨粗しょう症を発症しているとされ、実際に、高齢者を対象に認知症予防の取り組みをしていると、転んで大腿骨を骨折したり、手首を骨折したり、重いものを持ち上げて背骨を複雑骨折したりする人が後を絶ちません。骨密度低下は、40代後半から50代の間に急速に進み、その後も減り続けて、70代以降になると、ついに生活に支障が生じるほど、骨密度が低い状態になり、問題が顕在化するのです。認知症も同様で、認知症の原因疾患の第一位であるアルツハイマー病も、神経変性は発症の20〜30年前から始まり、20〜30年かけて症状が顕在化するとされます。このことから考えると、認知症予防の当事者は、高齢者だけでなく、その前の、40〜50代であると言えます。そのことに気づいた40〜50代を、当研究所の仲間に加え、同世代に向けて普及啓蒙すると同時に、これまで主に活動してきた高齢者と共に、多世代で運営する体制を構築して行きます。

 第二に、多地域での実施を支援する体制と、そのための手順を構築します。当研究所が提案する認知症予防手法、共想法の参加者は、ある期間集中して共想法の実験に参加し、実験を終了後、参加継続を希望される方を中心に発掘してきました。最近では、東京都中央区、文京区、埼玉県和光市、大阪府岸和田市在住の方を対象に、共想法の実験を実施してきました。これらの実験の参加修了者を中心に、上記地域での継続的なサービス提供体制を作ることが求められています。より持続可能なサービス提供を可能とする新たな方法、事業モデルを考えると共に、研究所としてそれを支援する体制を作ります。具体的には、これまでも試験的に試行してきた研修プログラムを洗練し、実施者養成に向けて標準化し、以前より構想している資格認定や検定の仕組みづくりに向けて、準備を進めます。

 第三に、これまでの活動を整理し、それを一目で見ることができるよう、また、最近の活動にスムーズにアクセスできるよう、ウェブサイトを刷新します。たとえば、これまでに主催した講演会は、2023年度までで、30回の開催を数えます。講演会の情報を一覧で見ることができるページなどを、これまでのブログの記事を整理し、編集することにより、作成します。また、最新のブログ記事を、リンクだけでなく、トップページに掲載することによって、毎週更新していることが、トップページから直観的にわかるように整備します。街歩き共想法についても、これまでにのべ15回以上開催しており、これらを一覧して見ることができるようにする計画です。
 以上に述べた取り組みのうち、特に第一に挙げた実施者の多世代化は、2023年度、2022年度の活動方針でも取り上げてきている、懸案課題です。実際、前年度までに着手しており、今年度は、取り組みを加速して参りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。


NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子

「蛋白質を摂る工夫」という共想法のテーマを聞いた後で、ラジオで卵を使う懐かしいお菓子についての投稿を聴きました。寒天を煮溶かし、醤油と砂糖で味付けして、最後にとき卵を流し入れて冷やして完成というもので、卵を使うのでいいのではないかと、まずは具体的な量はわからず半信半疑で適当に作ってみました。 スマホで検索したら、なんと富山県の郷土料理で「べっこう菓子」だということがとわかりました。レシピが載っていたので、再度それに沿って作り、美味しくいただき、おやつとしてよく食べるチーズと一緒に写真におさめました。飴色に散らされた溶き卵が べっこうかんざしに見える事から名付けられたようです。 卵以外に野菜、素麺、カニを入れるのも良いそうです。

継続コース参加者 C.O.さん



作ってみた、卵を使うべっこう菓子

コメント:市民研究員 H.N.さん
常にアンテナをはって、興味のあることを色々試されるC.O.さんには頭が下がります。私はどの地方のものかは定かではありませんが、豪華な食材を入れた季節催事やお祝い・仏事などにふるまわれる郷土料理としてテレビで観た記憶がありました。農水省のHPに「次世代に伝えたい大事な味」として「べっこう」とあり、富山県東部は甘さが際立つ味わいからおやつとして食べる人もおり、西部では甘さを抑えて仕上げるためおかずとして食べられることが多い。最近では、卵以外に、野菜、素麺、カニなど、いろいろな食材を使いアレンジを利かせて作られてもいる」とありました。これからの季節、口当たりもよさそうです。身近な食材で応用できそうですね。

柏シルバー大学院C組出前講座

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-6-2 8:00
 2024年6月13日13時より千葉県柏市柏の葉の東葛テクノプラザ多目的ホールにて、柏シルバー大学院第C組33期の方々へ「高齢者の認知症予防」をテーマに出前講座を行いました。
 柏シルバー大学院は千葉県生涯大学校を修了した後も、さらに自主的に学習を続け、社会環境の変化に順応する能力を 高め、交遊の輪を広げ、併せて社会活動に参加し、生き甲斐の高揚に資することを目的として昭和56年5月に創立され、学生により自主的に運営されています。在校の皆様は月2日、年間18日(約72時間)の学習のほか、年3回の校外研修及び年2回の合同研修をなどに参加されるなど、まさに生涯学習を全うされている方々です。

 会場には荒天にもかかわらず、在籍者の出席率93.5%に及ぶ101名と、向学心にあふれた方々がご参集下さいました。講師は大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長が務め、アシスタントとして市民研究員の根岸勝壽、松村光輝、鈴木晃が参加いたしました。
 定刻13時より、開会の挨拶の後、講師側のご紹介があり、早速講話が始まりました。

東葛テクノプラザ多目的ホールにご参集の皆様

 まず「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が送れなくなった状態」であると、認知症の定義を述べた後、人生100年といわれる中、95歳以上の高齢者の約8割が認知症と推計されるという喫緊の課題があることを、聴講の皆様やご家族・周囲の方々の認知症に関する認識や状況等について問いかけながら、伝えました。

 そして、その認知症予防対策として以下の2つを挙げ、詳細を説明しました。
1)生理的アプローチ(認知症の原因の約9割を閉めるアルツハイマー病と脳血管障害を防ぐこと=身体と脳の老化を防ぐこと)➨適度な運動、食事の工夫、充分な睡眠…エビデンスが豊富
2) 認知的アプローチ(たとえアルツハイマー病にかかったとしても、認知症 の症状が出るのを防ぐこと)➨社会生活を送る上で必要であり認知症になると急激に低下するとされている体験記憶、注意分割機能、計画実行機能、言語流暢性といった認知機能を必要とする、知的活動や社会的交流を行い、言語能力を高める)

 併せて、1975年から始まった80歳まで20本以上の歯を残すことをスローガンとした8020運動(口腔ケア習慣の徹底)で55歳〜64歳で歯を失う人の割合が2005年までに20%から2%に減少したサクセス事例を挙げ、認知機能の低下を防ぐために認知異能をバランスよく活用する認知ケア習慣を普及させれば、認知症有病率を劇的に減少させることは夢ではないと認知症予防対策への展望と意欲を熱く語りました。

講話を行う大武代表理事・所長

 次いで、認知症の症状が出るのを防ぐために生活の中にどのようなことを取り入れたらいいかという観点から、講師が2006年に提唱した、認知症になると低下する認知機能を活用する社会的交流を高い確率で実現するための手法:「共想法」について説明をしました。設定されたテーマに沿った写真を撮影し、時間と順序のルール決めて、話す、聞く、質問する、答えることを行うもの。写真を撮影した時の体験について話題にすることで➨、体験記憶を、写真を見ながら、お互いによく聞き考えな がら、質問することで➨注意分割機能を、決められた時間内に話すことで➨計画実行機能をと、一連の作業を通して活用することになることを、NHKにEテレ2012年「あしたも晴れ!人生レシピ AIでどう変わる超高齢社会」で放映された会話支援ロボットぼのちゃん司会による共想法の紹介動画を御覧にいれながら、共想法の流れを説明しました。
 加えて下表左のような認知症につながる会話にはならないよう、共想法参加では下表右のような会話の訓練をすることにもなるので、会話支援手法より会話訓練法ともいえると述べました。

 認知症になるとできなくなる会話と認知症予防につながる会話

 10分間の休憩を挟んで、大武代表理事・所長、根岸、松村、鈴木市民研究員の4人で「最近でかけたところ」をテーマにロボットぼのちゃんの司会で、1枚/人の写真に対して、話題提供1分、質疑応答2分の共想法デモンストレーションを観ていただきました。各自が期せずしてこの連休に訪れたとした「家族旅行で訪れた伊東海岸での砂遊び」「霧の情景を撮ろうとはせ参じた廣幡八幡宮」「親族で訪れた善光寺」「大堀川河畔の空に勢いよく泳ぐ多数の鯉のぼり」の話題写真を提供、ついつい質問や説明が設定時間をオーバーし、容赦なく発話をさえぎるロボットには会場から笑いを誘うなど、実施の雰囲気を和やかな中でご理解いただけたようでした。

 「最近行ったところ」をテーマの共想法デモンストレーション

 その後、さらに前述の会話支援ロボットの発話量測定機能等を活用して、理化学研究所にて共想法ランダム化比較試験を実施した結果、介入群には言語流暢性(言葉を取り出す認知機能)が向上するというエビデンスが得られ、MRI検査からも、言語流暢性に関連する脳の領域間や大域的な領野間のつながりがよくなり、記憶機能や実行機能を司る脳の領域の体積が増加する可能性があることを明らかになったと述べ、現在、大阪府岸和田市と理化学研究所との共同研究で実証実験が継続されている等、認知症予防の研究の進捗状況を述べました。
 
 最後に配布資料をご覧いただきながら、ほのぼの研究所のご紹介や現在オンラインで在宅でスマホを用いて参加する遠隔共想法継続コースへのお誘いをさせていただき、終講しました。
 残念ながら、時間の関係で質疑応答の時間はありませんでしたが、視聴者の中にほのぼの研究所が設立間もない時に開催したさわやかちば県民プラザでの講座に参加された方がいらして、共想法や当所について、もっと知りたいというお声掛けをいただきました。こうしたご縁は、大変懐かしく喜ばしく、早速資料をお送りしたことでした。
 
 この講座開催に当たり、ご尽力いただきました柏市シルバー大学院の関係者の方々に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

市民研究員 根岸 勝壽

 

きな粉を効率よく摂る

カテゴリ : 
今日の共想法 » 蛋白質を摂る工夫
執筆 : 
ShimizuK 2024-5-26 8:00
 我が家での朝食はパン類が多いのですが、その時の飲み物はコーヒーとか甘酒 、そして 写真のような、 きな粉をスプーンに2杯入れた牛乳、 または 豆乳です。 今回の共想法のために、改めて調べてみたら 、きな粉を入れた牛乳は、きな粉の原料の大豆にはイソフラボンが多いため、 女性におすすめともあり 、高蛋白な飲み物であることがわかりました。きな粉はそのままでは胃腸での吸収が良くないので、栄養を一番効率よく摂るためのポイントは 、水分と一緒に摂取することで、ヨーグルトや 牛乳 、豆乳と飲食するのがベストだそうです。

市民研究員 A.S.さん



きな粉を効率よく摂取できるといわれているきな粉入り牛乳

コメント:市民研究員 K.S.さん
パン食の際の飲み物の種類が健康的でバラエティ豊かですね。発酵食品の利用や栄養素を一番効率よくとるための方法は、嬉しい気づきとなりました。大きな瓶牛乳にも注目して、新鮮さ、SDGs等へのこだわり方も想像しています。瓶牛乳を取り入れるのは、今の私にはハードルが高いので、甘酒、きな粉のご紹介から倣わせていただきます。
 休日の朝食は「パン派」です。お皿いっぱいの野菜と目玉焼きとハム、チーズ等とパンがやっぱり長い間の定番ですが、4月初めの朝のメニューは、前夜の鶏挽き肉(豆腐・タマネギ)のキャベツ包み蒸しと豆乳スープ、そして保存食のパプリカと玉ねぎの酢漬けを吸収率アップのためにチョイ足ししました。自己流「蛋白質の量」の計算は例として鮪刺身5切れ10、鮭一切れを10で自分の体重(私は内緒ですよ)が50kgなら50を目標にします。
 

継続コース参加者 N.S.さん



自分流蛋白質スケールを基準にして

コメント:市民研究員 K.S.さん
わっ、すごい!ここまで、理に叶った朝食のメニューで召し上がっているなんて、尊敬致します。目から鱗となる、吸収率アップをはじめ多々、工夫をされている休日の朝食をご紹介くださり有難いです。それに、N.S.さん流の計算方法は、具体例も面白くてわかりやすいので、私もはじめてみようかな…。