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ほの研ブログ - お知らせカテゴリのエントリ

ほのぼの研究所代表理事を務める大武美保子の所属する理化学研究所と、2015年より、ほのぼの研究所と協働事業を行っている有限会社野花ヘルスプロモートと、岸和田市の三者が、共同研究契約を締結し、岸和田市において、共想法に関する実証研究を行うことになりました。この共同研究は、ほのぼの研究所と野花ヘルスプロモートとの協働事業が出発点となっていることから、当研究所ウェブサイトでご紹介します。

以下、岸和田市役所公式ホームページ、報道発表「国立研究開発法人理化学研究所と有限会社野花ヘルスプロモートとの共同研究契約締結式を執り行いました」の記事より、岸和田市の許可を得て、編集、転載します。


理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームと有限会社 野花ヘルスプロモートと岸和田市とが協力し、「遠隔会話システムを用いた新しい社会参加とその認知機能向上効果に関わる実証研究」について共同研究を行うことになりました。2023年2月14日に、岸和田市役所において、共同研究契約締結式が行われました。
 
 共同研究は、共想法アプリケーションの高齢者への効果を明らかにすること、及び地域での効果検証を通して遠隔システムを用いた地域包括ケアシステムの中での新しい社会参加の可能性を模索することを目的とします。
 岸和田市在住の認知症のない高齢者から介入プログラム参加を募り、ランダム化比較試験を行います。介入群は、アプリケーションを用いて自宅で他の参加者とのグループ会話プログラムを定期的に行い、その認知機能への効果を非介入群と比較することで検証します。加えて、遠隔で実施する会話プログラム遠隔で実施する会話プログラムが、孤独感など高齢者の社会的健康に寄与するかを明らかにしていきます。
 
 理化学研究所革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームは、高齢者の認知機能低下を予防するために、認知予備力を高める認知行動支援技術を重点的に開発や写真を用いた会話支援技術『共想法』に立脚した会話支援技術を開発し、人間の認知面、心理面に与える影響を評価するなどの研究を行っています。

 2023年2月14日(火)に執り行われた共同研究契約締結式には、岸和田市 永野 耕平 市長、有限会社野花ヘルスプロモート 代表取締役 冨田 昌秀 氏、理化学研究所 革新知能統合研究センター 認知行動支援技術チーム チームリーダー 大武 美保子(ほのぼの研究所 代表理事・所長)が出席しました。

岸和田市における共同研究契約締結式


永野 耕平 市長 コメント
全ての方が幸福に生きていくことが我々の願いです。科学技術を活用し人の関係性を支える、技術で支えることができないところは、生身の人間で支える。すごく意義ある研究を岸和田市で実施していただけることに感謝しております。我々と一緒に歩んでいただいて成果を一緒に得たいと思います。

冨田 昌秀 代表取締役 コメント
二十数年認知症ケアに携わってきて、早い段階で専門職とつながれば、もっと進行を抑制できるのではと感じていました。共想法と出会ったときに、認知症の発症予防と進行の抑制ができるのではないかと思いました。地域住民の皆様が心も身体も社会的にも健康で、幸福度を高められる「良い状態態」を体現し、豊かな時間を得ていただけるよう私たちも尽力して参ります。

大武 美保子 チームリーダー コメント
「この研究は、人間に寄り添い時間をかけて一歩一歩進めていくものです。岸和田市の皆さんからどのようなお話が飛び出すのだろう、と今からとても楽しみにしております。世界に誇る文化の発信地である岸和田市で一緒に世界に飛び出していける、皆さんに使っていただける技術、手法になっていけたらと願っております。

新年のご挨拶2023

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2023-1-1 8:00

をくずれ水仙郷

あけましておめでとうございます

旧年は、世界的な感染症流行が始まって3年を過ぎ、ロシアによるウクライナ侵攻が本格化したり、安倍元首相が銃撃されたりするなど、不穏な出来事の多い年でした。共想法による認知症予防という切り口から、ほのぼのとした社会の実現を目指す当研究所は、その実現の難しさを改めて実感しました。写真を用いた会話で想いを共有する共想法が、どのような状況に対してもしなやかに対応し、折れない心を育むことに貢献できればと願っています。2022年は、コロナ禍になってから始めたことを深化させ、質的な変化を遂げた一年となりました。活動を引き続きオンラインを中心に行い、そのことにより、参加者の輪が広がりました。皆様の御参加、御支援、御協力に感謝申し上げます。

第一に、スマートフォンおよびタブレットアプリを用いた遠隔共想法支援システムを用いて、月1回のペースで実施している、共想法継続コースに、大阪や長野など、各地から個人で参加頂くようになりました。これまでも、研究拠点である千葉から地理的な離れたところの方にも、共想法に参加頂いてきましたが、実施運営拠点となる介護施設や病院があり、そこに参加者が集まっていました。遠隔共想法支援システムにより、そのような拠点がない地域の方にも、参加頂けるようになりました。病を得て、以前ほど活発に活動できなくなった親を心配する子どもに勧められ、参加された方もいます。システムを構想した当初に想定した用途で、使って頂けることが明らかになりました。本挨拶をご覧になり、興味を持った方、また、周りに勧めたいと思われた方は、是非事務局までご連絡下さい。

第二に、研究所設立当初より、年2回ペースで開催してきた講演会をオンラインで開催し、2020年から数えて合計6回となりました。夏の設立記念講演会は、「人とのつながりで、脳を育む」をテーマとし、脳の発達や加齢のメカニズムを研究され、ベストセラーの著書「生涯健康脳」がある瀧靖之先生に、仙台からご講演頂きました。冬のクリスマス講演会は、「超高齢社会のサクセスフルエイジング」をテーマとし、第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会大会長である三村將先生に、東京からご講演頂きました。そして、2022年の新たな取り組みとして、講演会終了後に、オンライン交流会の開催に挑戦しました。招待講師の先生を囲んで、参加者全員が感じたことや考えたことを一言ずつ発言し、交流を通じて、元気を与え合うことができました。

第三に、これは共想法継続コース参加者の方の取り組みになりますが、共想法をきっかけに撮り貯めた風景写真を展示する展覧会、「二人の軽井沢・春夏秋冬」展が銀座にて開催されました。コロナ禍前に、対面で行う共想法実験にご夫妻で参加され、コロナ禍が始まって以降、オンラインで開催する共想法継続コースに参加頂いています。コロナ禍を機に軽井沢に移住されたご夫妻の、自然豊かな写真と話題を、他の参加者の皆様と共に、毎回楽しんでいます。そのようにして撮影された写真が、展示されました。共想法参加者で、展覧会を開いた方は初めて、お二人にとっても展覧会を開くのは初めてでした。

新年は、NPO法人ほのぼの研究所を設立して15年を迎える節目の年となります。共想法をきっかけに、会話だけでなく、生活行動全般を整える方法を、実践研究を通じて明らかにするとともに、より本格的な普及に向けた情報発信や、そのための仲間づくりに取り組んで参りたいと思います。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2023年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子

 7月19日13:30〜弊所設立記念オンライン講演会を開催いたします。
今回は招待講演講師として、16万人分の脳画像を見て、脳の解析・研究を続けられている脳医学者東北大学加齢医学研究所教授・東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長の瀧 康之先生をお招きしております。お暑さの中、会場にお出かけになることなく、長い人生を身体も脳も元気に過ごすための耳よりの情報やヒントに関する講話のご視聴が可能でございます。以下チラシを覧いただきぜひお申し込み下さい。(お問い合わせ等はfrioffice@fonobono.org迄)





事務局 鈴木晃・長久秀子

 光文社のSTORY2002年3月号のJunior Storyコーナーの【「家庭用ロボット」がSTORYファミリーに効く!】という特集にて、様々なAIロボットの紹介の中で、ほのぼの研究所 代表理事・所長大武美保子が「研究者に聞きました AIロボットと過ごすことで、子どもにはどのような効果がありますか?」という問いかけに以下のようにコメントを寄せております。

「会話」というものは、本来、頭を使う作業です。最近はAIでも会話ができるものが多い。
この「会話力・対話力」というのが、子どもの知育にも効果があるのでは、と考えています。
話をよく聞き、質問を考え、それを口に出し、逆に質問をされたときは回答する。子どものうちから身につけておきたい大事な能力です。
(STORY 2022年3月号 P.187 インタビュー記事より許可を得て引用)


STORY取材対応の様子

市民研究員 長久 秀子

新年のご挨拶2022

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2022-1-2 8:00

2022年 大津川の白鳥


あけましておめでとうございます

  旧年は、世界的な感染症流行が始まって2年が経過し、その状況においていかに日常を組み立てるかが問われる年でした。長期戦であることは当初より予想されたことでしたので、会話による認知症予防手法、共想法の実践研究を行うほのぼの研究所は、2020年に活動をオンライン中心に切り替えました。2021年は、新たな日常が定着する中で、オンライン中心の活動を継続しつつ、感染症対策を取り、できることを広げる方向で活動を展開しました。いずれの活動も、関係の皆様のご協力、ご支援により実現したものです。改めて感謝申し上げます。

 第一に、共想法継続コースを、スマートフォンおよびタブレットアプリケーションを用いた遠隔共想法形式で実施しました。感染症を恐れて外出を控えすぎると、認知機能低下リスクが高まるばかりでなく、心身の虚弱化につながり、総合的な健康が失われるおそれがあります。人との密な接触を伴わない外出は、感染リスクを高めないことも明らかになっています。そこで、通年のテーマを「安全に外に出よう」とし、外出のきっかけとなるテーマを設定して、遠隔共想法を通じて、外出して発見したことを報告し合うこととしました。季節に合わせて、春には「花と団子」、夏には「水辺に行ってみた」、秋には「ハザードマップを持って出かけてみた」などとしました。参加者は、何をしようか、どこに行こうか考えて実際に出かけ、オンラインでの会話において、お互いにどこに行ったのだろうと興味を持って話を聞きました。

 第二に、高齢者であるほのぼの研究所の市民研究員が中心となる、遠隔共想法の実施に取り組みました。もともと、対面では、市民研究員が中心に共想法継続コースをはじめとするプログラムを実施してきましたが、試作段階であった遠隔共想法支援システムを用いた遠隔共想法に切り替えた2020年は、理化学研究所の職員が中心にシステムの導入を支援し、市民研究員は、最初の高齢者利用者として、それを使いこなすこと、そして、これを共想法継続コース参加者が使いこなせるよう支援する役割を果たしました。2021年は、遠隔共想法支援システムの設定、運用ノウハウを、市民研究員が順次学び、遠隔での共想法継続コースを運営しました。

 第三に、2016年より毎年実施協力してきた、柏市主催の認知症予防講座を、2020年はハイブリッド形式で開催したのに続き、2021年は、柏市介護予防センターを会場として現地開催しました。後から考えると、新型コロナウイルスのデルタ株の流行が落ち着き、オミクロン株が出現する前の谷間のタイミングでした。引き続き、会場の定員は通常の半分以下で、参加者は最大10名でした。そこで、それまでの年には3回連続講座だったところ、内容を圧縮して単発講座を3回開催することとし、会場定員を超える、合計16名の方に参加頂くことができました。そして、3名の方に、講座終了後引き続き、共想法継続コースに参加頂いています。

 第四に、研究所設立当初より、年2回ペースで開催してきた講演会を、2020年に引き続きオンラインで開催し、合計4回を数えました。夏の設立記念講演会は、「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」をテーマとし、アルツハイマー病研究の第一人者である西道隆臣先生に埼玉からご講演頂きました。冬のクリスマス講演会は、「科学的に認知症予防を考える」をテーマとし、日本認知症予防学会設立代表理事である浦上克哉先生に、鳥取からご講演頂きました。直近の冬のクリスマス講演会では、柏市介護予防センターで市民研究員がオンライン講演会に接続し、オンライン講演会を視聴する環境がない90歳代の賛助会員に、講演をリアルタイムで見て頂くことができました。その後、講演の動画をYouTubeに掲載し、より幅広く多くの方に視聴いただけるようにしました。2020年に開設した「NPO法人ほのぼの研究所」というYouTubeチャンネルには、2022年年始において、4回の講演会について、それぞれ、招待講演、基調講演、招待講演者と基調講演者による対談の3本ずつ、合計12本の動画を掲載しています。

 新年は、研究拠点ほのぼの研究所を設立して15年を迎える節目の年となります。地理的、時間的制約を超えることが可能な、オンラインの活動の輪を広げるべく、相互学習を通じて実施者、参加者ともにスキルアップを図りながら、スキルによらず認知症予防の実践の輪から取り残される方がないような、活動の仕方を探求して参りたいと思います。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2022年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー
大武 美保子

ほのぼの研究所 2021年度活動方針

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
TasakiT 2021-6-6 8:00
 2021年度は、2020年より始まった新型コロナウイルス流行から約一年、当研究所理事会を開催する5月26日現在、3回目の緊急事態宣言下にあります。流行の長期化により、高齢者の認知症リスクがさらに高まり、待ったなしの状況にあります。2020年度は、活動を基本オンライン、一部ハイブリッドとして対応し、新しい活動様式を作りだしながら、実践しました。2021年度も、基本的に在宅で活動することを前提とした上で、オンライン活動から取り残されがちな方に配慮しながら、以下の事業に取り組みます。

 第一に、遠隔による共想法実施、研究事業に、引き続き取り組みます。具体的には、スマートフォンおよびタブレットアプリケーションを用いた共想法に、引き続き取り組みます。2020年度、2019年度まで対面の共想法に参加していた継続コース参加者を対象に、遠隔共想法アプリを順次導入しました。導入に当たっては、電話による支援の他、緊急事態宣言が解除された期間中に、活動場所に一人ずつ来て頂き、少人数の市民研究員と、遠隔会議システムで接続した理化学研究所職員、市民研究員とで使い方を体験頂く取り組みをしました。今年度、どうしても導入が難しい方には、流行状況に配慮しながら、少人数で介護予防センターに来て頂いて実施するなどの取り組みを併せて行います。利用を通じたシステムの改良と使いやすさの評価、遠隔での会話が参加者に与える効果の評価をします。また、「安全に外に出よう」を遠隔共想法の通年テーマとし、人との密な接触を避けながら、身体を動かしてフレイルを防ぐ生活様式を提案、実践します。

 第二に、遠隔による人材育成、連携事業に取り組みます。2020年度、協働事業先である、きらりびとみやしろや、野花ヘルスプロモートにおいては、遠隔共想法支援システムの導入に至りませんでした。2021年度は、2020年度の利用を通じて改良を進めた、次世代遠隔共想法支援システムを、これらの協働事業先で導入する支援をします。また、新たな協働事業先として、柏市に拠点を置くNPO法人コミュニティ活性化応援団と連携し、遠隔共想法による認知症予防サービスの拡大に取り組みます。これを実現するため、支援システムを使い、サービスを提供できるよう、ほのぼの研究所の市民研究員自身が、そして、協働事業先のメンバーが、スキルを身に着ける学習プログラムを、実施を通じて作ります。

 第三に、オンラインによる普及事業に取り組みます。具体的には、講演会をオンラインで開催します。2020年度は、夏に設立記念講演会、冬にクリスマス講演会と、年2回、オンライン講演会を開催し、講演の動画をインターネット配信しました。2021年度もオンラインで開催すると共に、感染とワクチン接種の状況を見ながら、オンラインでの視聴が難しい方を対象に、ビデオ鑑賞会を開催する計画です。これまで開催した講演会についても、ハイライト部分を一部動画として配信する取り組みに挑戦して行きたいと考えています。

NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子

新年のご挨拶2021

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2021-1-3 8:00

2021年 丑年 北海道の牧場にて

あけましておめでとうございます

旧年は、感染症流行により、世界中が翻弄された年でした。ほのぼの研究所では、集まって会話をするという、日常の当たり前の営みを丁寧に行うことが、認知症予防につながるという考えから、会話支援手法、共想法の研究開発と普及に取り組んできました。ところが、集まって会話をすることが、感染予防の観点で、危険な行為となってしまいました。この状況は、しばらく続くことが当初より予想できましたので、活動をオンライン中心に切り替え、ますますニーズが高まった認知症予防を、感染症流行下において実施する方法について、実践を通じて研究しました。以下、2020年の主な取り組みについてご紹介します。

第一に、月1回定期的に集まって開催していた、共想法継続コースを、在宅、オンラインの、遠隔共想法に順次切り替えました。これは、感染症拡大以前より開発していた、在宅で会話ができる遠隔会話支援システムを活用するものです。スマートフォンおよびタブレットアプリケーション上に、順に映し出される、参加者が撮影した写真を見ながら、順に会話します。端末に慣れている方から順に導入し、電話などを活用しながら、まずは、実施者同士、次に、実施者と参加者の一対一、実施者に2名、3名の参加者と、ステップを踏んで実施しました。必要な方には、感染予防対策を施した上で、定期開催していた会場に1名ずつお越し頂き、遠隔の実施者と、会場にいる実施者と、参加者とでグループ会話をする、新システムを体験頂き、自宅でできるように練習をしました。

第二に、ウェブシステムを導入し、週1回定期的に集まって開催していた、研究会を、ウェブ会議システムを用いた月1回の研究会に切り替えました。具体的には、感染症流行下で普及が進み、高齢者にとっても比較的使いやすい、zoomを導入しました。1人ずつ練習を重ね、一対一で接続できるようになった後、実施者が一堂に会することができるようになり、各種活動の準備と振り返り、議論することができました。また、年1回開催していた、各地の協働事業者や関係者が一堂に会する合同研修を、同様にウェブ会議システムを用いて実施しました。遠方の参加者からは、移動時間がない分参加しやすいと好評でした。

第三に、2016年より毎年実施協力してきた、柏市主催の認知症予防講座を、感染状況が比較的落ち着いていた秋に、柏市介護予防センターを会場として、オンラインとオンサイトのハイブリッド形式で開催しました。会場から遠くに住む講師と実施者の一部は、ウェブ会議システムから参加、講義を行いました。会場の近くに住む実施者は、会場にいて、共想法を実演し、参加者による体験を支援しました。テーマは「いまこそおうちで認知症予防」とし、在宅で会話ができる遠隔会話支援システムの体験を通じて、認知症予防について学ぶプログラムとしました。

第四に、研究所設立当初より、年2回ペースで開催してきた講演会を、オンラインで開催しました。夏の設立記念講演会は、「今こそ、実践!真の健康づくり」をテーマとし、疲労の研究の第一人者である渡辺恭良先生に神戸からご講演頂きました。冬のクリスマス講演会は、「コロナ禍での認知症予防」をテーマとし、認知症予防の実践研究の第一人者である西野憲史先生に、北九州からご講演頂きました。その後、講演の動画をYouTubeに掲載し、より幅広く多くの方に視聴いただけるようにしました。これに伴い、「NPO法人ほのぼの研究所」というチャンネルを開設しました。2021年年始において、2回の講演会について、それぞれ、招待講演、基調講演、招待講演者と基調講演者による対談の3本ずつ、合計6本の動画を掲載しています。

年初には考えてもいなかった新しいことに、結果として挑戦する1年となりました。いずれの活動も、防ぎうる認知症にならない社会の実現を目指す同志である関係の皆様のご協力、ご支援により実現したものです。困難を共に乗り越える仲間がいることを心強く思います。改めて感謝申し上げます。

活動のオンライン化により、地理的な制約が少なくなったことから、会話による認知症予防研究に、関心があるより多くの方に参加いただくことが可能な状況になったと言えます。2021年も引き続き、2020年に始めた新たな活動を継続しつつ、より効果的な活動方法を、実践を通じて探索し、活動の輪を広げて参りたいと思います。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子

  2020年度は、4月7日の緊急事態宣言で始まりました。新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛により、在宅高齢者の認知症リスクは軒並み高まっています。このような中で、防ぎうる認知症にならない社会に近づけるべく、新しい活動様式を作りだして行きたいと思います。基本的に在宅で活動することを前提とし、今年度は、以下の事業に取り組みます。
 
  第一に、遠隔による共想法実施、研究事業に取り組みます。具体的には、スマートフォンおよびタブレットアプリケーションを用いた共想法と、紙面による共想法の二通りに取り組みます。前者は、足が悪くて外出が難しい、過疎地に住んでいて集まるのが難しい高齢者を想定し、開発を進めていたものです。これを用いて、在宅にて共想法形式で写真を用いた会話を実施するために必要な手順を、実施を通じて明らかにします。開発途上のため、実施しながら改良を加えます。後者は、毎月、その月のテーマを出題して、写真と話題を提出して頂き、集まった写真と話題を、翌月、お手紙で共有する、共有すると共に、次の月のテーマを出題する、というものです。様々な形式での、人との交流が参加者に与える効果を評価する方法について、検討します。

  第二に、遠隔による人材育成、連携事業に取り組みます。ほのぼの研究所では、2012年より、各地に広がった共想法実施拠点の実施者が集まり、得られた知見を持ち寄って共有し、次の活動に活かすことを目的として、合同研修事業を行ってきました。2019年度末に予定していた2019年度合同研修は、この時点で会場が利用できない状態になったため、2020年度初めに延期となりました。この合同研修を、初のオンラインでの開催としました。従来、出張のため業務の調整が必要であった遠隔地の実施者にとって、参加しやすくなるというメリットがありました。今後、さらに実施の輪が広がった場合に対応できるよう、効果的な研修の実施方法を、実施を通じて明らかにします。


  第三に、オンラインによる普及事業に取り組みます。具体的には、講演会をオンラインで開催します。2008年度より、夏に設立記念講演会、冬にクリスマス講演会と、年2回、講演会を開催してきました。2020年度は、講演を動画で記録し、インターネット配信する形で開催したいと考えています。そして、集まれるようになった時には、改めてビデオ鑑賞会を開催する計画です。これまで開催した講演会についても、ハイライト部分を一部動画として配信する取り組みに挑戦して行きたいと考えています。

NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子

 昨年夏、太陽生命厚生事業団の2019年度社会福祉助成事業に関する助成事業として、ほのぼの研究所の「認知症予防の啓蒙と認知症予防手法の実践・普及活動に使用する動画資料と小冊子の作成」事業が、幸いにも採択の栄に浴することができました。

 上記財団は高齢者・障がい者の福祉向上を目的に1984年 ひまわり厚生財団として設立され、2009年の公益財団法人太陽生命厚生事業団への移行を経てからも、地域に根ざし地道な活動をしている団体・グループの事業や研究・調査に対し、積極的に助成活動の助成を続けられております。

 既存の動画資料(PR動画)は10年近く前にプロにより制作されたもので、その後の活動の進展が反映されていないため、それを補完するものが求められていました。とはいえ、いざ制作となると、人生の後半期になって初めて一から体験する動画制作です。プロのアドバイスと撮影等全面的な協力をいただきながらの、なかなかやりがいのある事業となりました。

 まず、設立以来10年以上にわたる動画資料、写真、報告書等々の資料等の精査に着手、試行錯誤の結果、既存版には控えめだったほのぼの研究所とその活動紹介をコンセプトとしました。ほのぼの研究所とその活動、共想法の概要のご紹介の後、友情出演を快諾して下さった共想法継続コース参加者の賛助会員様に「共想法」に参加されているお気持ちや生活習慣の変化をお話しいただき、市民研究員がほのぼの研究所の活動について語り、最後に大武所長が共想法の極意を述べるというというシナリオとしました。

 数日間の撮影素材をもとにナレーションや音入れ、過去の記録動画・静止画の挿入などに推敲を重ねた結果の新PR動画と共に、以前よりお化粧直しを施し、わかりやすいものへと改訂したパンフレットが、3月末に無事完成、事業実施報告をすることができました。







新PR動画抜粋


新三つ折りパンフレット

 なお、上記2つの成果物につきましては、残念ながら、新型コロナウィルス感染拡大禍にてお披露目の機会は少々先になりそうですが、1日も早くお目にかける機会が訪れることを願っております。また、これらが今後の活動において、弊所の活動や共想法のご紹介に役立つツールになることを期待しております。
 最後になりますが、上記事業のために貴重な助成を賜りました太陽生命厚生事業団に改めて心より御礼申し上げます。

市民研究員 根岸 勝壽・長久 秀子

新年のご挨拶2020

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2020-1-5 8:00

2020年 子年
千葉県房総の早春の花々

あけましておめでとうございます

旧年は、元号が変わり、共生と予防を柱とする認知症施策推進大綱が決定された節目の年でした。これまで実施してきた一連の活動の目的と位置づけを整理し、丁寧に準備、実施したことで、体験から継続参加頂く流れが定着する、〆切前に講演会申込者が定員を超えるなど、参加の輪が広がる成果を得ることができました。この流れを加速するべく、認知症予防を目的とする共想法、ほのぼの研究所をPRする動画制作を開始しました。これを契機に、共想法とは、ほのぼの研究所とは何か、目的や経緯と共に、現時点での見解を含めて明文化しましたので、ご紹介します。

「共想法」の目的と経緯
共想法は、年を重ねると、誰にでも起こりうる認知機能の低下を、脳の使い方の工夫でなるべく防ぐことを目的としています。低下しやすいと知られている、「体験記憶」、「注意分割機能」、「計画力」を使うように設計されています。 2006年、大武美保子(当時、東京大学助教授、2020年現在、理化学研究所チームリーダー)が、認知症の祖母との会話をヒントに考案しました。

「共想法」の定義
 共想法は、写真を見ながら「話す」「見る」「聴く」「考える」を行う会話支援の方法です。参加者は、出題されるテーマに沿って写真を撮ってきて持ち寄ります。話し手の写真が順に映し出されると、時間内に話し、その後、周りの人から質問や感想を言ってもらって、自分の体験をより深く考えます。周りの人の撮影した写真を見て、話を聴き、ものの見方を広げます。低下しやすい認知機能を総合的に使い、長持ちする脳の使い方を、一連の活動の中で実践します。

「ほのぼの研究所」の目的と経緯
 ほのぼの研究所は、超高齢社会の課題である「認知症」を、高齢者を中心に全世代と共に考え、解決方法を提案する新しい学問を創り、「防ぎうる認知症にならない社会」を実現することを目的としています。その具体的な手段として、「共想法」の実践研究と普及を目指す組織です。2007年に開所し、2008年にNPO法人化しました。「共想法」実践研究の場を運営するのは、平均年齢70代の市民研究員、そこに参加するのは、20代から90代の個人と法人賛助会員です。

「ほのぼの研究所」の活動
 「共想法」を日々の生活の中に取り入れ、長持ちする脳の使い方を実践する高齢者が中心に活動しています。
・「共想法」継続コースの実施
・講演会開催、ニューズレターやブログで情報発信
・各地での「共想法」実施運営のサポート
・「防ぎうる認知症にならない社会」を共に目指す自治体や企業との協働事業
・活動を通じた人材育成、最先端技術の開発と評価
などを行っています。

この他、旧年を特徴づける事業を、いくつかご紹介します。講演会のビデオ鑑賞会を開催し、日程が合わなかった方を始めさらに多くの方と知識を共有することができました。参加者の一部が実施者になる参加型研究の拠点が、新たに東京日本橋に生まれ、お江戸共想法として定期開催に至っています。参加者実施者を対象に、共想法とほのぼの研究所に関する意識調査を行い、これらが生活や人生に及ぼす主観的な影響を明らかにしました。継続参加の効果を長期的に検証すべく、頭の健康チェックを導入しました。高齢運転者向けのサービスを展開する損害保険会社と共催で講演会を開催し、認知機能や運転技能を本人や家族に返すことで、安全性が向上する成功事例を共有すると共に、積極的に予防するサービスにつなげる方法について検討しました。皆様の支えにより一連の活動が実現しましたこと、心より感謝申し上げます。
 新年は、これまで取り組みや準備を進めてきた、企業や自治体と共に、新たなサービスの実践や、それに向けた研究をさらに進めて参ります。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子