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ほの研ブログ - 最新エントリー

20年位前に入会したボランティアサークルで、マージャンを教えてもらい、老人ホームにも訪問していました。サークルはコロナ禍で解散しましたが、マージャンは残して、公民館で月2〜3回楽しんでいます。点数計算はうろ覚えで、人任せで遊ばせてもらっていましたが、メンバーの入れ替えもあり、皆がどんどん点数計算を覚えていく環境になり、私も少々焦りを感じています。計算を覚える事で、会話も深まり知的会話に近づくかな?私にとってはかなり難しい課題への挑戦でもあります。

継続コース参加者  N.K.さん



脳トレにも役立つマージャンの点数絵計算


コメント:市民研究員 A.S.さん
定期的に麻雀で人に会うのも社会の繋がりの一つで良いですね。女性の方の参加も多いと聞きます、知人には90歳過ぎたおばあちゃんが孫と雀卓を囲むと、元気になると言っていました。認知症予防にもつながるのでしょうね。
 2024年8月20日(火))13時より、東京都中央区日本橋の理化学研究所革新知能統合研究センターのオープンスペースにて、代表理事・所長の大武美保子が勤務する理化学研究所とほのぼの研究所の共催で、NPO法人ほのぼの研究所設立記念講演会「創造的に老いる」を開催しました。

設立記念講演会チラシと『老いの失敗学』

 今回、東大名誉教授、畑村創造工学研究所代表で、失敗学の提唱者であるとともに、東電福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長、消費者庁消費者安全調査委員会委員長を務める等、多方面で失敗知識活用の活動をされている畑村洋太郎先生にご登壇いただくきっかけは、ほのぼの研究所の2024年度の理事会での、設立以来ご尽力いただいている元柏市医師会会長の小沼宗心先生のご提案でした。NHKの番組『ラジオ深夜便』で、ベストセラーとなった著作『老いの失敗学』出版後まもなくの畑村先生の対談を聴かれて、高齢者と触れ合いながら長年研究活動を続けているほのぼの研究所の講演会にお招きするのにふさわしい方ではないかと。
 
 なお、畑村先生にはほのぼの研究所の拠点千葉県東葛エリアへの往復等には体力的なご負担等がかかることがわかり、都内のご自宅から無理のない都内(理化学研究所)での開催、事前対談録画鑑賞+ミニ対談、ミニワークショップを兼ねての交流会という、例年とは異なる形式を取り入れての開催といたしました。
 
 立秋を過ぎたとはいえ、依然としてこれまでにない気温の残暑が続く中、千葉県東葛地域や埼玉県和光市を含む近郊からのご参加の70〜80歳代の方々を中心に、下は20歳代までと、多世代の40余名からお申込みをいただき、何社かのマスコミの方に取材もしていただきました。

ご来場の皆様

 開会後、まず畑村先生ご登壇の提案者であるほのぼの研究所理事小沼宗心先生の挨拶に続き、大武所長代表理事・所長が開会の挨拶を行いました。

開会


開会挨拶 小沼理事 と 大武代表理事・所長


  最初に、畑村先生はご自身の老いを当事者目線で失敗学的見地から表された『老いの失敗学』にて、「失敗は大事」であると述べられている。そのことと「高齢者がどうすれば認知機能を保って天寿を全うできるか」という自身の研究で見出された「失敗を避けて、チャレンジをしない=認知機能を使わない生活を続けていると、認知機能はどんどん低下する➨大きな失敗をしないため、上手に小さな失敗をしながら、チャレンジを重ねていくことが大切である」ということの間に、接点があると感じたと述べました。
そして、奇しくも、畑村先生は彼女の東大情報工学科時代に、後の研究にも役立つ考え方の基礎を授けて下さった、大変重要な先生方のお一人でもあったため、ぜひともと登壇をお願いし、ご快諾をいただき、約四半世紀ぶりの師弟対談が実現した経緯を述べました。

 講演会は事前撮影の対談を以下の2部に分け放映、それぞれにミニ対談を添えました。
第1部―1.失敗学と老いの関係、 2.よい老いと悪い老い、3.老いによる大事故を防ぐ、 4.人の話を聞く)
第2部―5.悪い老いを避けるヒント、 6.制御できない自分に気づいた、 7.気遣いが老いによる失敗を防ぐ、 8.今の楽しみ、 9.面白く老いるヒント)

対談動画では、先生の日常の様々な失敗の一部や、失敗から得られた教訓、そして失敗なさらないために工夫されていることを穏やかに紹介されながら、以下のことを述べられました。



対談録画鑑賞とミニ対談



対談要約

 また、ミニ対談で、畑村先生は、昨今多発している河川による水の事故について「川の水は(本当は深くても)浅く見える」といった研究者なら誰でも知っていることが、当事者目線でわかるように(その場のニーズに合うように)周知されていないことも課題であると、失敗学の権威として警鐘をならされました。これに対して、大武所長は、水の事故の問題は、物理学の知識が社会での問題解決に活かされていない事例であり、老いの分野についても同様に、当事者の目線でわかるように周知されていない課題があることが、畑村先生の近著「老いの失敗学」に書かれている、と述べました。

 対談後の休憩中には、参加の皆様に以下の「老いに関するアンケート」
Q1よい老い(ありたい)老いと、悪い(避けたい)老い 
Q2よい老いを実現し、悪い老いをさけるためにしている工夫 
Q3自分の老いに気づいたこと 
Q4今の楽しみについて 
にご回答いただき、併せてポストイットに書きうつして特設のホワイトボードに貼っていただきました。

ワークショップ

そして、ホワイトボードを正面に据えるよう、座席を90度回転させ、ミニワークショップと交流会をスタート。ホワイトボードに貼られた回答を大武所長が幾つか披露し、それらに畑村先生がご意見を述べられました。全ての回答を披露することができませんでしたが、寄せられた意見をまとめてみると(N=40 FA)以下のように、自らのひたひたと忍び寄る老いの変化を甘受しながら、周囲とのコミュニケーションをはかり、明るくポジティヴにお過ごしの様子やご意見を伺うことができました。




 その後、ほのぼの研究所副代表理事:三宅徳久先生の音頭で乾杯、しばし相互の交流のひとときをすごしました。

三宅副代表理事乾杯の音頭

 会場の都合で畑村先生との交流は時間のあまり長くありませんでしたが、お名残り惜しく散会をした後も、畑村先生と積極的に記念写真を撮る方もいらっしゃる等、特に参加者の2/3ほどを占めた70〜80歳代の方々から、最後まで大きな元気をいただいたことでした。
 そのことは、当日取材にいらしたある新聞社の方から、「高齢の参加者が多いと伺ってはいたが、元気に遠方から講演会に参加され、「老い」についての課題に向き合われていることに驚いたのに加えて、どなたもが若々しくお元気そうで、かつ考え方も前向きにみえて、会場全体の空気がアクティヴに感じられた」という声をいただいたことでも、おわかりいただけると思います。
 
 初めてづくしの企画で、案じることの多い開催でしたが、数名の方に賛助会員に御入会いただいたのをはじめ、皆様からたくさんのお励ましもいただき、笑顔で会場を後にされるのをお見送りできて安堵したことでした。最後になりましたが、この共催企画のために、心を込めてご尽力いただきました理化学研究所革新知能統合研究センターの大勢の方々に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

市民研究員 鈴木 晃・長久 秀子

 心の病を抱えている人たちを支えるボランティアグループに属しています。 写真はその人たちが描いた絵を表紙にした本です。活動を始めて20年以上経った時に 県の地域社会事業賞をいただきました。病気のことを多くの人に知っていただいて 差別のない社会になっていくように願って、これまでの活動を記録した記念誌を作りました。 1年に1回10回コースの病気のためのセミナーを開いて活動しています

市民研究員 A.U.さん


活動記念誌の表紙

コメント:市民研究員 H.N.さん
今でこそ、SDGsの中の大きな目的のひとつとして、重要視され、取り挙げられることも多くなったようですが、それでも差別はなかなかなくなりません。かなり前からご参加の活動と伺って、ご苦労が偲ばれました。記念誌の表紙に採用された作品(原画)をつぶさに拝見すると、どれもがほほえましいものばかり、心が温かくなりました。
 暇になったらやりたい事の一つが、保育園のボランティアです。孫がお世話になっている園は、感染対策にしても保育内容にしても、感謝しきれないほど手厚いので、いつか恩返しをさせていただきたいと考えています。園児がお迎えを待つ間、塗り絵を楽しんでいるそうですので、そのお手伝い位ならできるかもしれません。ずっと続けてきた仕事や研究の関係で、図案だけはたくさんあります。それを園でも活かせたならいいなと考えています。長い間高齢者と塗り絵を楽しんできましたので、今度は幼い皆さんと楽しみたいものです。

市民研究院 E.N.さん



長年蓄えた題材を使って、幼子達と塗り絵を楽しみたい

コメント:市民研究員 H.N. さん
認知機能が少し衰えた母のために大人の塗り絵の本を何冊がプレゼントをしたものの、絵が大得意だった彼女には見向きもされなかった苦い経験があります。それではと、自分でそれらの塗り絵を試してみたら、意外に難しかったり、つまらなかったり…。その点、E.N.さん長年多世代の方々と培われたノウハウと題材を沢山お持ちです。きっと幼い方々と素敵なコミュニケーションが図れることうけあいです。楽しみですね。

ウォーキング

カテゴリ : 
今日の共想法 » している/してみたい運動
執筆 : 
UotaniA 2024-8-25 8:00
 ウォーキングを5年ぐらい続けています。朝食後7時ぐらいに出かけて、40分ぐらい歩きます。呼吸を整えスクワット、片足立ち、つま先歩きなどをやってからこの写真の階段をのぼり、また坂道を入れたりして2000歩ほど。この頃は朝日がだいぶ強くなってきたので、日陰を選んでのウォーキングです 。行き合う人は ほぼ毎日同じ、またワンちゃんの顔も同じ、それらで癒されて心地よい朝のひとときです。人との交流は素晴らしいものですね。夕方も2000歩いていますが、程よい疲れが良い睡眠を導いてくれるそうで 、今のところ、だいたいぐっすりの睡眠を継続できています。

継続コース参加者 Y.A. さん



朝夕のウォーキングにとりいれている階段昇降

コメント:市民研究員A.U. さん
  ずいぶんと長い階段ですね。何階分くらいあるのでしょう。Y.A.さんは一休みしないで昇られるのでしょうか?降りるときにはお気を付けてくださいね。
 散歩コースになっていた市の施設が工事中でしばらく足が遠のいていましたが、最近新しくなりこのような健康遊具が5種類設置されているのがわかりました。バランスをとる―バランス円盤、アキレス腱などをのばす―ふみいたストレッチを試し、さらに背筋等をのばす遊具にちょっとぶら下がってみたら、自分の体を支えられない事がショックでした。それなのに2日後には筋肉痛になっていました。公園の遊具でもできる運動があるのは便利なので、散歩中に早速利用するようにしました。

継続コース参加者 T.M.さん



色々な運動ができる公園の健康遊具

コメント:市民研究員 H.N.さん
初めて奇妙なフォルムをした遊具を拝見して、さて?どのように使うのかしらと思いましたが、こうした大人の健康管理にもよい遊具がお近くにあるのは便利ですね。設置されて間もないようですが、しばらくすると、ランニングの途中にストレッチをしたり、ここでのトレーニングを日課にする中高年の方々が増えていくのではないかと想像しました。

電動自転車

カテゴリ : 
今日の共想法 » している/してみたい運動
執筆 : 
UotaniA 2024-8-11 8:00
 私がしている運動は電動自転車で、この電動自転車を乗る時は、平地はスイッチを切って足でがんばり、坂にさしかかった時だけスイッチをいれて、足に負荷をかけたらいいのだろうと思って実行しています。電動自転車はスイッチを切るとすごく重くて太ももを使います。重い自転車は降りて引いていくのもいいとのアドバイスをもらいました。色々試して、少しでも筋肉がついたら嬉しいことです。

継続コース参加者 T.M.さん



使い分けをしている電動自転車

コメント:市民研究員 A.U. さん
  スイッチをいれて、スイスイ買い物に、スイッチを切って筋肉トレーニングとまさに一石二鳥の使い方。私が自転車に最後に乗ったのは何十年も前のことですが、自転車はバランスをとるのが難しくても、電動三輪車があったら乗ってみたい、と思いました。

軽井沢街歩き共想法実施報告

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2024-8-4 8:00
 2024年7月3日(水)、ほのぼの研究所 大武美保子所長がチームリーダーとして勤務する、理化学研究所革新知能統合研究センター認知行動支援技術チーム主催の軽井沢街歩き共想法を実施しました。ほのぼの研究所は、研究協力の一環として、街歩き共想法実施運営のノウハウの共有および情報発信面で協力することとなりました。

軽井沢街歩き共想法の案内チラシ

 今回、軽井沢が散策地になったのは、コロナ禍に東京から軽井沢へ移住され、ほのぼの研究所賛助会員で遠隔共想法にも軽井沢からご参加の竹田様ご夫妻が、お二人で撮りためられた軽井沢の美しい風景写真で東京で個展を開かれるなど、この地の魅力を発信して下さっていたのがきっかけで、ぜひ散策してみたいということで決まりました。

 軽井沢というと避暑地のイメージですが、当日は軽井沢在住の方も暑いとおっしゃるくらいの猛暑日。そんな暑い中にも関わらず、ほのぼの研究所継続コース参加者、理化学研究所の研究者とスタッフ一同、総勢27名が参加。またそのほかにも記録動画を作成するため映像制作会社の方や信濃毎日新聞の記者の方も同行して下さいました。

 翌日(7/4)に信濃毎日新聞朝刊に掲載された記事が、Webにも掲載されましたので、ご興味のある方はご覧下さい。
<信濃毎日新聞デジタル>
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024070400583
 今回の街歩きは、Aコース50分、Bコース30分と2つのコースに分かれて行われました。
Aコース:駅前本通り→矢ケ崎公園
Bコース:駅前周辺
 Aコースではまず、軽井沢駅を出発して軽井沢本通りへ。道路脇には等間隔に木彫りの置物やオブジェが。木彫りの動物(ふくろうやうさぎなど)はとても愛嬌があって、皆さん、各々に自分のお気に入りの動物を写真に収めていました。

木彫りの動物             オブジェ

 次に矢ケ崎公園へ。広さ約4万6000平方メートルの多目的公園。ブランコや滑り台、鉄棒などの遊具が設置されていて、観光客らしい親子連れの方々が楽しく遊んでいる姿も見られました。公園に隣接した池にはスイレンの花が咲き、池から見える浅間山、離山は絶景。木々の緑が生い茂り澄んだ空気を満喫しました。

      矢ケ崎公園散策風景      矢ケ崎公園からの池から見える風景

 その後、バスに乗って軽井沢レイクガーデンへ。ガーデン入り口ではたくさんの白いアジサイ、アナベルが私たちを出迎えてくれました。また敷地面積1万坪のレイクガーデンにはたくさんのバラが見ごろを迎え、バラの香りを感じながらゆっくり40分ほど散策。

   白いアジサイ          見ごろを迎えたバラ
 
 日差しがとても強く、日傘を借りて散策する人も。またところどころにベンチが設置されていて、ゆったりとした時間の流れを感じました。

   木陰に設置されているベンチ

 参加者の皆さんは思い思いに自分のベストショットをスマホに収め、午後の共想法に向けて準備万端。
 たくさん歩いてお腹がすいたところで、レイクガーデンにあるマナーハウス2階のガーデンカルチャークラブへ。マナーハウスとは貴族の「領主の館」を意味し、ガーデンと一体化した建物となっているとのこと。重厚な空間に浸りながら楽しく昼食をとりました。

 午後からはご参加の方々が撮影した写真を使っての共想法です。

   共想法実施風景
 
 参加者が多かったため、1グループ4〜5名で、1人写真1枚で共想法を実施することになりました。写真説明時間は1分、質問時間は2分の設定、ぼのちゃんの司会で始まりました。ぼのちゃんが、参加者の名前をフルネームで呼ぶときの間の開け方が面白くて笑い声が起こる場面も。

   司会をしたぼのちゃん

 共想法の写真では、軽井沢駅のお店で見つけた旬のあんずや矢ケ崎公園で見つけたきのこ、ベンチで休憩した時にふと目に入った雑草など、それぞれが自分の五感をフルに使って撮影された写真がお披露目されました。写真の説明ではご自身が話しながらその時の気持ちが溢れ出して、1分で収まらない方もいれば、言葉に詰まって時間が余ってしまう方も。1分という時間で話すことの難しさを体験することとなりました。また、共想法では最近の話をすることになっていますが、質問の仕方によっては過去の話になってしまったり、質問ではなく少し雑談的になってしまったりするケースもありました。
また、質問はグループの方同士で行うのですが、場の雰囲気もあったのでしょうか?グループ以外の方や後方から質問が飛び交い、和気あいあいとした雰囲気を感じる場面もありました。

 街歩き共想法は、自分の五感をフルに活用して散策し、そこで経験したこと、感じたことをすぐに周りの人と共有するので、認知予防になることはもちろん、自分という人となりを再確認できる場でもあるように思いました。

   参加者集合写真

 共想法の会場は風通しはよかったのですが、外気が暑すぎることもあり、熱中症対策をしながらの実施となりました。街歩きに参加するほど元気な皆さんでしたので、誰一人具合が悪くなることもなく、無事終了することができました。参加してくださった皆様、本当にお疲れさまでした。

 次回の街歩き共想法は千葉県我孫子市で実施する予定です。ご興味のある方は是非ご参加ください。

市民研究員 三浦 真代

 2024年7月2日13:30より、ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)の2F多世代交流スペースにて、ほのぼの研究所主催の2024年度初めての「今から始める認知症予防 ロボット体験会」を開催いたしました。この講座は、コロナ禍以降、オンライン中心の活動が中心になり、新しいお仲間にお目にかかる機会が減少してしまったのを取り返す意味あり、とかく文章だけではイメージの湧きにくい共想法をデモンストレーションや直接ロボットを使う体験を通して理解を深めていただきたいと、昨年度来、開催している講座の一環です。
 
 柏市社協福祉協会の岩田様と、ほのぼの研究所の大武代表理事・所長の開会あいさつに続き、8月に開催する設立記念講演会や、街歩き共想法のご案内を含めた、ほのぼの研究所の活動のご紹介の後、60〜80代の市内在住者6名、見学者3名とほのぼの研究所の実施関係者全員が自己紹介を行いました。
 「入院中のご家族がロボット犬の声に反応するようになったので、ロボットに興味がある」、「認知症になりたくない思いが強い。介護ロボットについてはある程度知っているが、認知症予防にもロボットが使われることについて知りたかった」等、どの方もロボット、そして認知症予防と共想法との関連に興味を抱いてのご参加でした。

講座風景

 続く講話では、”認知症が進むと、人の話を聴き、理解して、それに対して質問をするということができにくくなる。「話す」「聴く」考える」という一連の作業を通して、加齢に伴い誰にでも起こりうる認知機能の低下を「脳の使い方を工夫するトレーニング」をすることで防ぐことを目指しているのが、会話支援手法:共想法である。”ということを、配布資料「共想法ガイドブック」をもとに説明しました。

 小休憩を挟んだ後、機器の不具合のため、予定していた研究員による共想法のデモンストレーションで司会ロボットぼのちゃんの活躍をご覧いただくのに替えて、「質問を考えることが大切であるも、なかなかそれを考えるのは意外に難しい」ことを体感していただくために、司会ロボットより小柄な対話ロボットミニぼのちゃんとの対話を参加者全員にご体験いただきました。
 これは在宅でもお一人で会話の訓練のできるロボットで、ミニぼのちゃんが発する30秒の話題写真の説明を聞いた後、4分間、AI搭載のミニぼのちゃんが、利用者の質問に答えてくれるものです。「健康に気を付けていること」「好きな食べ物」等のテーマの話題に対して、それぞれが順番に質問をなげかけると、最初はロボットと操作とのタイミングが合わなかった方も、次第になれて下さり、時には長々とした蘊蓄のある回答や、なるほどと思わせる回答に笑顔がこぼれてきました。



対話ロボット体験なさるご参加の方々

 体験後、「どのような仕組みでロボットが回答するのか」「複数人で行う共想法とこの対話ロボットとの脳の訓練の効果の違いは何か」等、今後の研究課題になるような質問も投げかけられ、皆様のロボットへのご興味は高まり、ロボットの進化が、認知症の予防に結びつく会話支援手法の進化に貢献する可能性も、ご理解いただけたようでした。
 
 事後アンケートでは、認知症予防に関心が高く、「今から始める」というタイトルに惹かれての来聴理由が上位を占めました。それだけに、対話ロボットの体験も興味を示されましたが、共想法と認知症予防との関係性をより詳しく知りたかった、共想法の実演も観たかったという声もあり、講座内容のバランスも課題だと思われました。
 
 最後にこの企画のためにご尽力いただきました柏市社会福祉協議会の関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

市民研究員 松村光輝 吉田美枝子

 2024年7月2日10時より千葉県柏市野村證券柏支店3階のホールにて、柏シルバー大学院B組の方々へ「高齢者の認知症予防」をテーマにした出前講座を行いました。当大学院は千葉県生涯大学校を修了した後も、さらに自主的に学習を続け、社会環境の変化に順応する能力を 高め、交遊の輪を広げ、併せて社会活動に参加し、生き甲斐の高揚に資することを目的として昭和56年5月に創立されました。学生により自主的に運営されています。在校の皆様は月2日、年間18回(約72時間)の学習のほか、年3回の校外研修及び年2回の合同研修をなどに参加されるなど、まさに生涯学習を粛々と継続中の方々です。
 
 今回の講座で以上のことを実感したのは、開講時刻10時の30分前には、大学院の生徒さん達で会場(シルバー大学院では【教場】が呼称のようです)は既に満席に近い状態で学習準備万端であったことと、講座の開始には「起立」「礼」「着席」の号令がかかったこと。さらには、お世話役の方から、小休憩時に「今回は睡眠学習(居眠り)をしている人が誰もいなかった!」というお声を漏れ伺ったり、当日の出席者は72名(男39名、女33名)で出席率92.3%とのことで、皆様の意識の高さ感じ取ることができました。

 今講座は講師を大武美保子代表理事・所長が務め、共想法デモンストレーションやPC操作行うアシスタントとして市民研究員の根岸、松村、吉田、三浦、長久が参加いたしました。
 
 開会のご挨拶、講師の紹介の後、早速講座が始まりました。まず、ほのぼの研究所のトピックスでもある8月20日に開催する設立16周年記念講演会のメインが、大学時時代の恩師でもある失敗学の提唱者:畑村洋太郎先生との師弟対談であることを伝えました。そして、畑村先生の話題性の高い近著『老いの失敗学』に表された「老いの小さな失敗に対する対策や考え方」=「上手に老いる」は認知症予防のために、小さな失敗を恐れず十分に対策をした上で挑戦することにつながると述べました。

『老いの失敗学」畑村洋太郎著

 次いで、畑村先生(1941年生まれ)と同じ、あるいはそれ以上の方々も十数人いらっしゃるようにお見受けした会場の皆様に対して認知症に関する認識や日々の健康長寿や認知症予防に対する工夫の有無などを問いかけながら、長く認知症を患った祖母と、写真を介して、また質問を工夫することで会話が広がり、コミュニケーションができるようになったという経験をきっかけに、認知症予防の研究を始めたいう話や、さらに、会話に着目して進めている研究の経緯、ほのぼの研究所を設立した意味などを述べ、自己紹介をしました。

授業風景

 今講座の本題「高齢者の認知症予防」についての講話は、まず「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が遅れなくなった状態」であると、認知症の定義を述べた後、人生100年といわれる中、95歳以上の高齢者の約8割が認知症と推計されるという喫緊の課題があることを述べました。

 加えて、80歳まで20本以上の歯を残すことをスローガンとした8020運動(口腔ケア習慣の徹底)で、55歳〜64歳で歯を失う人の割合が、1975年から2005年までの間に、20%から2%に減少した成功事例を挙げ、認知機能の低下を防ぐために認知機能能をバランスよく活用する認知ケア習慣を普及させれば、認知症有病率を劇的に減少させることは夢ではない、認知症予防対策はまだまだ伸びしろがある、歯を磨くように脳を磨こうという熱い思いも述べました。

 そして、その認知症予防対策として以下の2つを挙げ、詳細を説明しました。
1)生理的アプローチ(認知症の原因の約9割を閉めるアルツハイマー病と脳血管障害を防ぐこと=身体と脳の老化を防ぐこと)➨適度な運動、食事の工夫、充分な睡眠…エビデンスが豊富
2) 認知的アプローチ(たとえアルツハイマー病にかかったとしても、認知症の症状が出るのを防ぐこと)➨社会生活を送る上で必要であり認知症になると急激に低下するとされている体験記憶、注意分割機能、計画実行機能、言語流暢性といった認知機能を必要とする、知的活動や社会的交流を行い、言語能力を高める

 さらに、体験記憶の衰えを進行度別に示し、重度の「最近のことを思い出せない」症状になる前に表れる「最近のことを覚えない、思い出さない」ような生活習慣は、いずれ重度な症状に陥る危険信号が灯っている状態なので、毎日楽しくすごし、最近のことをきちんと憶えておいて、それを話すことが大切であると添えました。

 そうした観点から、会話(最近のことを話す)に注目して、2006年に提唱した、認知症になると低下する認知機能を活用する社会的交流を、高い確率で実現するための会話支援手法:「共想法」について次のように説明しました。設定されたテーマに沿った写真を撮影し、時間と順序のルール決めて、話す、聞く、質問する、答える(会話する)もので、一連の作業を通して、加齢と共に衰えやすい体験記憶、注意分割機能、計画力を、総合的に使うことで、衰えやすい認知機能の低下を防ぎ、長持ちする脳の使い方を実践するものです。

 10分間の休憩を挟んで、市民研究員の3人が参加の、「最近やってみたこと」がテーマの、ロボットぼのちゃんが司会をする共想法デモンストレーションをご覧に入れました。しかしながら、経験豊富な共想法ベテラン?だけに、それぞれが時間をきっちり守って話題提供と質問をしてしまったため、司会ぼのちゃんが時間どおりに会話をしない参加者を容赦なく遮って、正しい進行を続けようとする役目が果たせず、賢いロボットの見せ場をご披露できなかったことは反省事項でした、

共想法のデモンストレーション

 その後、配布資料をもとに、ロボットぼのちゃんが単なる司会でなく、会話量を計測して、参加者だれもにまんべんなく会話を促す機能もあることや、共想法のような、憶えたり、質問をしたりという頭を使った会話を続けることにより、言葉を取り出す脳の機能(言語流暢性)が向上したということがRCT調査でわかったことを伝え、ぜひとも生活習慣に取り入れていってほしいと勧めました。
 最後に、大武代表理事の研究活動を発信している各種SNSツールや、ほのぼの研究所の広報・普及等の活動内容を紹介し、在宅でもご参加可能な遠隔共想法や街歩き共想法へのご参加を誘いし、終講となりました。
 
 残念ながら、時間の関係で質疑応答の時間はありませんでしたが、クラスの責任者から「大変興味のある講義であり、真剣に受講することができました。配布資料を読み返すことでようやく「共想法」について理解ができたので、改めてまたそれに関する講義を視聴したい」という感想をいただいたことは、大変嬉しいことでした。
  

クラスの責任者との記念撮影

 この講座開催に当たり、ご尽力いただきました柏市シルバー大学院の関係者の方々に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 また、講義冒頭にご案内した8月に開催する設立記念講演会へのご参加お申込みを当日から引き続き沢山いただいておりますことも、大変ありがたく厚く御礼申し上げます。

市民研究員 長久秀子