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ほの研ブログ - 行事カテゴリのエントリ

2021年設立記念オンライン講演会

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ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2021-8-22 8:00
 2010年7月20日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念講演会「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」を、昨年度からニューノーマルとして継続して採用しているオンライン形式にて開催しました。講演会のテーマは、認知症の主な原因疾患であるアルツハイマー病の仕組みについて学び、認知症予防に役立てることを意図して設定しました。招待講演「前臨床性アルツハイマー病と先制医療の最前線」、基調講演「言語活動を通じて認知機能の低下を防ぐ」、対談「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」の三部形式としました。


                   
 ほのぼの研究所代表理事・所長の開会の挨拶に続き、ご来賓の公益財団法人キリン福祉財団の常務理事・事務局長 大島宏之様より、心強いご言葉をいただきました。ほのぼの研究所が提案するコロナ禍「自宅でできる共想法アプリ開発」プロジェクトは、2021年度の当財団の「地域のちから・応援事業」助成事業として、採択していただくという栄に浴しました。そこで、助成元として上記財団からご参加頂く運びとなりました。
  

ご来賓の助成元公益財団法人キリン福祉財団大島宏之常務理事・事務局長
   

 招待講演の理化学研究所脳神経科学研究センター 神経老化制御研究チーム チームリーダー西道隆臣先生に、埼玉県和光市の理化学研究所よりご登壇いただき、「前臨床性アルツハイマー病と先制医療への展望」の講話が始まりました。
  

招待講演 西道隆臣先生

 西道先生は筑波大学生物学類卒業後、東京大学大学院薬学系研究科修了 博士(薬学)。大学院在学中に米国コーネル大学に留学(応用物理)。東京都臨床医学総合研究所・遺伝情報研究部門主事を経て、1997年より現職。2014年に(株)理研バイオを設立、代表取締役を兼務。日本認知症学会理事。早稲田大学客員教授、慶應義塾大学医学部客員教授兼任。横浜市立大学・日本女子大学・千葉大学・東京大学・東北大学等の非常勤講師を歴任されております。また、「アルツハイマー病原因物質を分解する酵素ネプリライシンの発見」、「次世代型アルツハイマー病モデル動物の作製」等多くの業績を挙げられております。

まず、講話のタイトルの「前臨床性アルツハイマー病」とは、病気の原因となる現象が始まっているものの、症状がない状態であることを指します。「先制医療」とは、その段階で進行をとめてやることです。すなわち、先生の研究の目標は「アルツハイマー病がない世界をつくること」。そして団塊の世代の認知症有病率が特に増加する危険年齢:80歳代後半に及ぶまでが、研究開発の勝負の時であるとも述べられ、早々に研究に対する熱い思いを感じることができました。
 認知症発症者の6〜7割がアルツハイマー病、次いで脳血管性認知症が2割を占めるとされます。脳血管障害において、脳の血液の行き場がなくなることで神経細胞死が起きてしまうため、両方の病変がオーバーラップしており、脳血管障害もアルツハイマー病のリスクがあるとされました。
次いで アルツハイマー病の以下を3大病変として、挙げられました。
(1) 老人班(アミロイドβの蓄積)―脳内神経の外に蓄積
(2) 神経原繊維の変化(タウたんぱく質の蓄積)―脳内神経の中に蓄積
(3) 神経変性(神経細胞死→脳の萎縮

 さらに、アルツハイマー病の確定診断方法が、死亡した人の脳を解剖する剖検から、生きているうちから脳内の状態を可視化できるPET(Positron Emission Tomography):陽電子放出断層撮影法によるアミロイドイメージングやタウイメージング、MRIによる神経変性診断へと進歩したと、病変像を示して説明されました。

PETイメージングによる発症前診断画像

 また、1906年にアルツハイマー博士が脳の病気として発見して以来の、アルツハイマー病の研究や、それに伴う治療薬開発等の歴史を、図1によってひも解かれ、病変のもとになるアミロイドβがやくざの親分、タウたんぱく質がヒットマンとして脳細胞を殺してしまうと考えるとわかりやすい、と説かれました。

アルツハイマー病研究史概略(図1)

               
 そして、2000年以降のアルツハイマー病の機構研究から、アミロイドβの蓄積が発症20年前から既に始まっていることがわかったことを含めて、以下のように説明され(図2)、アルツハイマー病を予防する遺伝子変異の発見により、アルツハイマー病の治療標的が1)アミロイβ蓄積(老人班)、2)タウ蓄積(神経原線維変化)であることが確定するに至った経緯を述べられました。

アルツハイマー病の病理的時系列(図2)

               
 なお、先般話題となった18年ぶりにFDAで条件つきで認可された抗体医療であるアデュカヌマブについては、アミロイド蓄積を確かに抑制されるものの、効果が期待される病期が限定的であること、高額な薬価、副作用等に関して問題点を挙げられました。

アデュカヌマブに関する問題点

               
他方、脳内アミロイドβの沈着を抑制するためには、西道先生チームが世界で初めて発見した、アミロイドを分解する酵素【ネプリライシン】が鍵を握ります。すなわち、加齢やアルツハイマー病の進行に伴い低下する脳内ネプリライシン活性を増強することが有効と考えられます。この、ネプリライシン活性を高める遺伝子を、アルツハイマー病モデルマウスの脳に導入、遺伝子治療を試し、蓄積したアミロイドを除去することに成功しました。
まだ不安のある遺伝子治療以外で予防する方法も模索していますが、この実験結果をもとに、安価で安全な経口の先制医療薬の研究開発に邁進していることを強く述べられました。また発症メカニズム研究に欠かせない、アルツハイマー病の病理を持つ次世代型モデルマウスの作製にも世界で初めて成功され、それらは現在ほぼ世界中に供与され、アルツハイマー病治療研究のために貢献しているというエピソードも披露されました。   

 脳の遺伝子治療の概念的進歩

               

 ルツハイマー病の病理を持つ次世代型モデルの作製に関する記事と
アルツハイマー病の病理組織の3次元的再現(緑:アミロイド、赤:血管)


 最後にアルツハイマー病のリスクを抑制するための要件を以下のように述べられ、さらに自身や身近な人に認知症の疑いがあった場合は、日本認知症学会の認定医資格を持つ医師による正しい診断を早め受けるようにとのアドバイスを下さり、終講となりました。
    

 アルツハイマー病のリスクを下げるためのアドバイス


 次いで、大武美保子代表理事・所長が東京の日本橋の理化学研究所から「言語活動を通じて認知機能の低下を防ぐ」と題して、基調講演をいたしました。
  

 基調講演 大武美保子 

 まず導入として、脳や身体の疾患を原因として記憶、判断力などの障害が起こり、普通の社会生活を送れなくなった状態が認知症の定義であると確認した後、認知症発症の原因の大部分がアルツハイマー病と脳血管障害であることから、アルツハイマー病と脳血管障害の危険因子を挙げて、それぞれ予防(進行を遅らせる)ための有効なアプローチ方法を説明しました。
危険因子の一方である生理的要因には、有酸素運動など適度な運動や抗酸化作用がある飲食物を摂るといった食生活の改善等により、認知症の主たる原因疾患である脳血管障害や、アルツハイマー型認知症の病理的徴候のひとつであるアミロイドβ蛋白の沈着をおさえ、神経病理変化を遅らせるという生理的アプローチで対応することが有効です。他方、認知的要因には、複数の料理を同時に準備したり、新聞を読んだりするなどの知的活動や、家族や友人と会うなどの社会的交流により、認知症になると衰える認知機能を必要とする認知活動を行うことで、神経病理変化が認知機能へ与える悪影響を減らすー認知機能の低下を遅らせる認知的アプローチで対応することが有効だと述べました。

 

認知症の予防

  

アルツハイマー病の予防


また、特にアルツハイマー病の予防の観点から、神経病理変化が進行しているにもかかわらず、認知機能が保たれる場合―知的行動や社会的交流が多い人は認知機能低下の幅が小さい―があると付け加えました。
 そうした神経病理変化があっても、認知機能が保たれるケースを示すもののひとつとして、アメリカの修道女の研究“Num Study”(修道女の剖検をしたところ、生前認知機能が保たれていても、アルツハイマー病にかかっていた修道女がいた。言語能力が鍵を握るとの知見)があります。この研究については『100歳の美しい脳』(Aging with grace)という書籍でも紹介されています。その著者らの書いたと論文の中に、20歳代に書かれた文章から推定される、青年期の言語能力が高い修道女は、低い修道女と比べて、80歳代におけるあるアルツハイマー型認知症発症率が低かったこと、その言語能力は意味密度で推定された(意味密度:一文に含まれる命題数÷単語数)ということが導かれていたことを紹介しました。
  

修道女研究が紹介されている『100歳の美しい脳』

 そして、この研究に着目した大武所長がその研究に関わった言語学者であるSusan Kemper先生を日本に招聘、日本語と英語の構造の違いを超えて言語特徴量から認知機能を推定するための考え方について議論することを経て、会話に用いられる語彙の豊かさから認知機能を推定することができるという研究論文を出す至った経緯を述べました。
  

 「会話に用いられる語彙の豊かさから認知機能を推定できる」

 また、言語活動と認知的アプローチの関係について、言語は知的活動(論理や思考)の基盤であると共に、社会的交流や感性・情緒の基盤でもあり、その言語能力を高めるためには言語活動(話す・聞く・書く・読む)をすればよく、このうち、話す・聞くが会話に相当すると整理しました。
 さらに、話す・聞くという言語活動をより効果的に行うために開発実践していた共想法の会話の効果を検証すべく、「ロボットが司会する写真を用いた会話による認知機能介入プログラム(PICMOR)のランダム化対称群付比較試験」を実施したことを報告しました。
   

  PICMORプログラム<

 共想法に参加する人はテーマに沿った写真を用意し、参加者が用意した写真を見ながら会話を行い、さらに(直後・1週間後)に写真を提供した人を当てるというプログラムを1週間に1回、12回行い、この共想法方式の会話をした人と、雑談に参加した人とを比較しました。プログラムに参加する前後に検査をしたところ、共想法形式の会話参加者の方が、言語流暢性という言語能力に関連した認知機能が向上したこと、共想法形式の会話中に用いられる単語数に対する単語種類数が雑談の場合よりも多く、共想法形式の会話は、雑談に比べて、言語能力をより発揮する機会を提供するものであることが確認できました。以上を論文として発表したことを報告しました。

 こうしたことから、神経病理変化がたとえ起こったとしても、言語能力を高めておくことで、認知機能に与える悪影響を小さくできる可能性があり、その言語能力を高めるためには会話を注意深く行うことが有効と説明しました。今後も長期的な影響を調査する実験を継続し、さらにどのような言語活動が認知機能低下の予防に役立つか究明していきたいという抱負を述べて、終講となりました。

 10分間の休憩を挟んで、和光市の西道先生と東京の大武所長との「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」題した対談が始まりました。
 

 対談 西道先生・大武美保子


対談は、招待講演について、視聴者が難しく感じるであろう内容について大武所長より質問し、西道先生からよりかみ砕いた答えを伺うことから始まりました。西道先生が発見された【ネプリライシン】という酵素を活用した、誰もが手ごろな価格で利用できるような治療薬として開発が成功するまでの要件、点滴薬と経口薬の違い、実験モデル動物、遺伝子治療に関する質問にも丁寧に解説して下さいました。また、言語能力を高めるようなテレビの視聴方法は?睡眠導入剤を使った睡眠でも、脳の中で記憶が整理されるのか?という参加者からの質問を取り上げながら、幅広く議論しました。

分野や手法は異なるものの、西道先生は先制医療を通じて「アルツハイマー病のない世界をつくること」を、大武所長は非薬物療法をもって「防ぎうる認知症にならない社会づくり」を目的として、認知症発症者を一人でも少なくするという、喫緊の大きな課題解消のために同じ方向に向かって日々研究に邁進している研究者同士です。この専門用語が飛び交うことがあり、その道に詳しくない視聴者が入り込みにくい時もありましたが、そうした雰囲気から、かえって両講師の真摯な研究姿勢を感じることのできた対談でもありました。両者の研究がいずれ繋がり、その大きな目的に一歩でも近づく糸口がみつかる時を待ち遠しく思うのは、私達だけではないと感じたことでした。

 事後のアンケートでは、諸般の都合よる音声、進行の不備へのご指摘はいただきましたが、講演内容については、9割以上の方にご満足いただき、同率で「役立つ情報が得られた」というご意見をいただき、開催者として休心しております。今後は機器、進行に関する技術を向上させ、快適な環境で貴重な情報や知見を共有させていただく機会を提供していきたいと思っております。
ご視聴いただいた方々に感謝申し上げます。
なお、本講演会の講演および対談は、弊所公式You Tubeチャンネルにてご覧いただけます。

 https://www.youtube.com/channel/UCz7L-TE_oqgoLORFqNoIoZA

市民研究員 鈴木晃 ・長久秀子

 2021年7月20日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念講演会「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」を、昨年度からニューノーマルとして継続して採用しているオンライン形式にて開催しました。講演会のテーマは、認知症の主な原因疾患であるアルツハイマー病の仕組みについて学び、認知症予防に役立てることを意図して設定しました。招待講演「前臨床性アルツハイマー病と先制医療の最前線」、基調講演「言語活動を通じて認知機能の低下を防ぐ」、対談「アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線」の三部形式としました。それぞれの動画を、Youtube上で配信しますのでご案内します。アルツハイマー病を予防したい方、アルツハイマー病になっても認知症を予防したい方、必見です。

 動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。


招待講演
【アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線】前臨床性アルツハイマー病と先制医療への展望―西道 隆臣


基調講演
【アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線】言語活動を通じて認知機能の低下を防ぐ―大武美保子


両講師の対談
【アルツハイマー病と認知症予防研究の最前線】対談ー西道隆臣×大武美保子


 2021年3月2日、2020年度ほのぼの研究所合同研修を開催しました。これは、毎年1回、防ぎうる認知症にならない方法について、共に考え行動するために設立された、NPO法人ほのぼの研究所の存在意義を改めて確認し、通期で得られた知見を持ち寄り、確認し、次の1年に繋げるために行われているものです。

 2020年度の活動は4月7日の緊急事態宣言でスタート。在宅高齢者の外出自粛による認知機能低下リスクが高まる中、集合して会話をすることが認知症予防につながるという考えから会話支援手法「共想法」の研究開発と普及に取り組んできたほのぼの研究所は、感染予防上集合して会話することが危険であるとして、活動をオンライン中心に切り替えた1年でした。
 果たしてオンライン活動にもかなり慣れてきたことから、昨年度同様、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、共想法継続コース参加者、「お江戸共想法」の実施者、理化学研究所の担当者、そして市民研究員の20数名が、延べ4時間以上にわたり、オンラインにて参加いたしました。
 

2020年度合同研修参加者

 合同研修の開催意義と2020年度活動の概要を述べた大武所長のあいさつを皮切りに、以下の順にて各拠点の活動報告をしました。今回は司会の鈴木晃研究員の、10分間の持ち時間終了3分前にベルで合図するなど、徹底したスケジュール管理のもと、遅滞なく進行していきました。それぞれの発表報告を順にご紹介いたします。※氏名後(S)は発表者

≪2020年度活動報告≫

発表資料

【協働事業者 きらびとみやしろ】「令和2年度「きらりびと共想法」活動報告-<きらり姫宮〉〈子育て支援事業〉のコロナ禍の工夫・過ごし方」

野口宗昭市民研究員・田崎誉代市民研究員(S)


 10年目に入ったきらりびと共想法が、集合形式での実施が中断していること、他拠点で試行が始まった遠隔共想法のスタートが、諸般の都合で遅延しているとの報告がありました。2020年後半から準備が始まったということで、2021年度の本格導入を待ち望む気持ちが述べられました。福祉活動を広く行っている認定NPO法人きらびとみやしろが、綿密な感染予防対策を施して展開している「きらり姫宮」「子育て支援事業」の活動の実態報告もあり、ご苦労を痛感しました。そして、1日も早いきらりびと共想法のメンバーとの遠隔共想法を通しての交流再開が待たれることでした。

【協働事業者のマカべシルバートピア】「マカベ゙シルバートピアの活動報告」

永田映子市民研究員(S)


 2011年のスタートから9年16期を迎えた介護老人保健施設における共想法やお話の会の実施報告がありました。参加者の平均年齢が90歳近いこともあり、もとよりその実施のご苦労は並大抵ではありません。さらにコロナ禍で、参加が制限されたり、家族との交流が途絶えた中で、認知機能検査結果(長谷川式)が明らかに低下したという報告は、察せられる結果とはいえ、コロナ禍の影響を現実のものとしてとらえたのでした。
 最後の、全国介護老人保健施設記念大会別府大分(2019年度開催)での「会話支援ロボットと高齢者とともに創る共想法の未来」の研究発表が奨励賞を受賞したという嬉しい報告は、多忙の業務の中での絶え間ない研究活動に敬服、誇らしく思うと共に、メンバーへの良い刺激にもなりました。

【協働事業者有限会社野花ヘルスプロモート】「野花cocofit共想法から報告及び現状と報告」

「共野花cocofiモート 正木慎三(s)・篠倉拓


 施設関係者のコロナ感染者発生はなくても、介護福祉施設としては、参加者募集や集合、固定が不可能になり、加えてスタッフの勤務体制変化などもあり、共想法の実践はできなかったとの報告がありました。また、メンタルを傷めた方々を対象にした「こころと行動を支える施設」として、2019年に開設された同社が運営するcocofitは当初利用者への支援プログラムとして「共想法」を取り入れていましたが、コロナ禍で悩みを抱える利用者は増えるも、個別ニーズに応じた対応や心療内科との連携、Zoom等のツールも用いてのプログラム変更等があり、活用できていないという課題が報告されました。
 そのため、大武所長からは、次年度からの、使い勝手が改善された次世代遠隔共想法支援システムの活用の提案がありました。
 なお、事後のWEBアンケートでは、心に不安を持つ人々が多くなっているという時世がらもあるのでしょう、cocofitについては参加者の関心の高いテーマとされました。
 
 協働事業者3拠点の発表を終了した時点で設けた質疑応答の時間では、諸般の事情はあるものの、感染や自粛に対する誤った反応が、高齢者のQOL低下や、施設運営やスタッフへの影響にもつながったという現実が語られ、新型コロナウィルス感染を「正しく恐れる」ことの大切さを改めて実感しました。なお、事後アンケートでは、コロナ禍で難題、課題を有しながらも様々な工夫をこらして、果敢かつ柔軟に対応している3施設の事例の発表が、興味を持ったり、参考になった発表のトップに挙げられました。


発表資料
 
          
【ほのぼの研究所 共想法継続コース】「共想法継続コース」

田口良江市民研究員(S)・根岸勝壽市民研究員(S)


 10年目を迎える継続コースは「認知症になりにくい暮らし」を年間テーマに設定し、実施しました。コロナ禍により、実施会場:柏市介護予防センター:ほのぼのプラザの利用制限時期もあり、集合しての共想法を実施せず、可能な方から順に、遠隔共想法を実施しました。その間、参加者十数名それぞれと、Eーmail、ショートメッセージ、電話、郵送と、参加者の都合に合わせた手段で連絡を途切れずに行ったこと、ほのぼのプラザが制限を設けて利用可能になった時には、個別に時間を決めて1対1からの遠隔共想法を始めるサポートを丁寧に行ったこと、参加者と相互学習をしながら遠隔共想法の参加方法を会得していった事例など、交流の途絶えがちな方々とも密に連絡を取りながら、徐々に遠隔共想法の参加者が増えていったプロセスを語りました。まだ共想法と遠ざかっている方々の近況報告からは、誰もがいつでも快く参加を継続、再開できるよう、たゆまず、フラットな信頼関係を築いている熱意を感じました。最後に根岸研究員から、コロナ禍でも遠隔共想法を通して繋がることができることへの感謝が述べられました。

【ほのぼの研究所 柏市認知症予防講座】「柏市認知症予防講座『今こそおうちで認知症予防』」

松村光輝市民研究員・魚谷茜市民研究員(S)


 まず初めに、コロナ禍でありながら、9月から会場のほのぼのプラザますおの利用制限が緩和され、予定どおり9〜10月の3日間開講できた幸運を述べました。長い自粛期間による認知機能低下への懸念や、学びや外出の機会を得たいという気持ちの反映か、30名を超える応募者がありました。しかし、感染予防の観点で、会場の定員が本来の半分以下と定められたことから、参加者9名、現地スタッフ3名での開催となったとの報告がありました。その代わり、遠隔会議システム(Zoom)を活用し、講師の大武所長が東京から、市民研究員とテクニカルスタッフがそれぞれ神奈川、埼玉からサポートし、会場の千葉県と合計4カ所をつないでの、初のハイブリッドオンライン講座としたとの報告が続きました。
 会場スタッフの多大なご協力と入念な準備の結果、大過なく終講しました。しかし、オンライン会議システムの音声が対面と比べて聴き取りづらかったこと、遠隔共想法に用いるスマホ端末を感染予防上直接触って操作していただけなかったことなど、コミュニケーション上の制約を実感しました。withコロナ、afterコロナを含めた、魅力ある講座の企画や、より若い高齢者層や、男性の参加を促す講座タイトルについてが課題として挙げられ、その後の質疑応答に続きました。

【ほのぼの研究所 講演会】「2020年度講演会実施報告」

鈴木晃市民研究員・長久秀子市民研究員(S)


 例年、会場で開催してきた設立記念講演会、クリスマス講演会を、共にオンラインにて開催した報告をしました。2020年8月25日には、疲労学の権威である理化学研究所の渡辺恭良先生を講師にお招きして、設立記念講演会「今こそ、実践!真の健康づくり」を開催しました。2020年12月22日には、認知症予防学会副理事長で園芸療法を第一線で実践研究される西野憲史先生を講師にお招きして、クリスマス講演会「コロナ禍での認知症予防」を開催しました。いずれも、招待講演・大武所長の基調講演・両講師の対談の3部形式としました。
 12月末にはほのぼの研究所の公式YouTubeのチャンネルを開設し、2講演、計6講演の動画配信も始め、2020年度がオンライン講演会元年であったと述べました。
 2回のオンライン講演会と、2019年度までのオフラインの講演会の時系列の参加実態と比較して得られた、集客の課題、賛助会員様の特典としての講演会のあるべき姿、そして視聴しやすく、魅力的なオンライン講演会企画のための、運営初心者としてスキル獲得の必要性等の課題を述べて結びました。


合同研修資料

【お江戸共想法】「2020年度実施報告 お江戸共想法」

お江戸共想法実施者斉藤千鶴子(S)・江口美代子(S)


 お江戸共想法もコロナ禍で開催が中断されましたが、夏からは遠隔共想法を12名が参加して継続して実施しているという報告がありました。ほのぼの研究所の参加者同様、1人対1人から初めて、最近はシステムの扱いにも慣れてきて4名間でのグループ会話を楽しんでいる模様を報告しました。9月には、直接会ったことがない者同士で遠隔共想法ができるか確かめることを目的として、お江戸共想法参加者と、柏のほのぼの研究所の市民研究員、継続コース参加者とで、「早寝、早起きしてみた」のテーマにて遠隔共想法を実施、交流したとの報告がありました。
 次に、遠隔共想法に対する感想や、コロナ禍前後の交流の比較についてのアンケート結果報告では、コロナ禍での交流機会が激減した中、顔が見えなくて残念でも、遠隔地や在宅でも楽しんで交流ができることを楽しめるようになったこと、機器の不慣れ、不具合や使い勝手に課題があることが述べられました。最後に、コロナ禍がおさまった折には、実施したことのない街歩き共想法をしたい!という熱い思いで締めくくられました。

【ほのぼの研究所】「遠隔共想法アンケート結果」

松村光輝市民研究員(S)・清水きよみ市民研究員


 お江戸共想法と同じアンケート調査の、市民研究員と継続コース参加者の結果報告がありました。遠隔共想法については、在宅で、同世代の人に先駆けて、オンラインで共想法を通して交流が可能になったとの意見と共に、お江戸共想法で挙げられた課題の他、非対面であることにより、会話が対面ほどスムーズではないことが挙げられました。交流については、外出・対面機会が激減したため、電話やZoomでのコミュニケーションが増加したという実態や、空いた時間、いわゆるおうち時間の有効活用を考えたという前向きな意見に加えて、遠隔共想法参加や、定例のオンラインの研究会が心のよりどころになっているという、市民研究員の声もありました。
 質疑応答では、試作段階ながら、コロナ禍によるニーズに応えるために試験運用している現システムと平行して、次世代遠隔共想法支援システムを急ピッチで開発しており、間もなく試用できるという明るい情報を知るに至り、大いに期待を膨らませたことでした。

【企業連携】「企業連携を主として」

小暮純生理化学研究所 認知行動支援技術チーム 技術経営顧問


 各拠点の報告に続いての小暮先生の報告では、2020年度の概要報告に続いて、最近の主要活動として、飲料メーカーや和光市との共同研究の支援を引き続き行うこと、また新規の連携開拓、推進案件として、松戸PJ関連の東葛エリアで活動を開始したNPO法人と、さらにマスコミでも広く報道されたポテンシャルがあるとされるW社や、高齢者向けロボットの評価を期待するV社との連携開拓が推進されているという、興味深いトピックの報告がありました。これまで連携していた研究機関、企業との、別の形での関係維持等、幅広い分野での進捗状況の報告がありました。
 
【2020年度まとめ・2021年度方針】

NPO法人ほのぼの研究所 大武美保子代表理事・所長


 まず、2007年から5年ごとに設定した共想法研究の中期計画について、改めて整理しました。共想法を種(シーズ)とした時に、どのように展開するかをまとめたものです。
2007年- 種を苗(サービス)に
2012年- 苗を畑(非営利事業)に
2017年- 畑を試験農園(検証事業)に
2022年- 試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援
2027年- 農園を各地、各国に
2020年度に至るまでの共想法の研究体制の推移、ほのぼの研究所の役割、さらにほのぼの研究所の実施・普及・支援・育成・研究という5つの柱の事業の進捗説明がありました。
 続けて、2020年度の5つの事業の実績を述べた後、2022年- 試験農園を各地、各国に、農園(営利事業)の立ち上げを支援、を見据えた、前タームの最終年としての2021年度のイメージを述べました。
 次いで2020年度には「新型コロナウィルス流行により、薬やワクチンが確立するまで、集まって行動することができないこと」を前提に「目的に即して新しいやり方を考えて実践する」という目標を目指して活動した以下の成果を具体的に述べました。
〆濛陲任粒萋以法の確立(研究会・研修)
一カ所に集まらないで社会的交流を実現し、認知機能を訓練する方法の考案、実践
 続いて「ワクチン接種が進んでも、集合しての活動は慎重に行うことが求められること」を前提として、2021年度の目標を「新しいやり方の実践の輪を広げる」と掲げ、2020年度に構築を始めた遠隔共想法を基盤とするサービスを外部に展開すること(遠隔共想法参加者から実施者へ・連携先の遠隔共想法を支援)をメインに、これまでの事業を続けながら、さらに新しく取り組む活動案が示されました。


 すべての発表後の総合討論では、「初めての人に共想法の良さを伝え、参加してみたいという気持ちになっていただくためにはどうしたらいいか」という根本的かつ難しい質疑に対して、各拠点から経験に基づいた妙案が多数挙げられたのは大変興味深いことでした。一般的に、高齢者は何かを始めること自体に前向きでない場合が多いためです。共想法のよさは体験すると伝わるので、詳細に説明するよりもまず体験してもらった方がよい、といった意見が寄せられました。
 近々の高機能な次世代遠隔共想法支援システムの試用開始という、期待できる報告に加えて、「世の中に高齢者が受け身で使うシステムは多数あるものの、高齢者がシステムを使いながらサービスを提供する側に回ることができる、遠隔共想法のようなサービス・システムは最先端である。それによって、みんなを元気にする推進力になるよう一歩一歩近づいていきたい。」という、大武所長の熱い思いを伺い、2021年度の活動への意欲が高められたことでした。
 
 そして、1年間オンライン活動、相互学習を重ねた結果、合同研修への初参加者が増え、大変スムーズに遂行できたこと自体が、大きな成果のひとつであると確認し、無事終会となりました。

市民研究員 長久秀子

 2020年12月22日(火)13時30分より、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。ご存知のように、新型コロナウィルス感染拡大中のため、夏の設立記念講演会同様、今回もオンラインで行いました。ライブのオンライン講演会には60名近い方々、事後の動画のご視聴にも多数のお申込みいただきました
 新型コロナウィルス感染の拡大防止のために人との交流が制限された結果、高齢者の認知機能低下・認知症発症者増加へのリスクが高まっています。今回はその防止の取り組みにフォーカスした「コロナ禍での認知症予防」をテーマに掲げ、認知症予防学会を設立し、研究とその実践に日々ご尽力の西野憲史先生を招待講演講師としてお招きし、招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の三部形式としました。

講演会投影資料表紙

 大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、早速招待講演講師の西野憲史先生に北九州市のご自身の医療施設よりご登壇いただき、「認知症予防の基礎―コロナ禍における実践」と題した講話が始まりました。

招待講演講師 西野憲史先生

西野憲史先生は日本大学医学部ご卒業で、同大学循環器科にて動脈硬化症の予防にて博士号を取得なされました。1986年にご出身の北九州市に西野病院を開設、以降医療法人、社会福祉法人、NPOを設立され理事長として、地域での医療並びに認知症予防活動を実践なさっております。また2011年日本認知症予防学会(2019年に一般社団法人日本認知症予防学会に名称変更)の設立に寄与され、現在副理事長として幅広くご活躍です。また2007年以降、アメリカ、アジア各国の園芸療法士と連携され、園芸療法の非薬物療法としての認知症予防の実践、研究に積極的取り組まれております。
 
 なお、西野先生には、師走のお忙しい中、急遽のご登壇の依頼に加えて、ほのぼの研究所クリスマス講演会恒例のクリスマスコスチュームのご着用までご快諾いただきましたこと、心より感謝申し上げます。今回は視聴希望者にはガーデニングや家庭菜園などで園芸を楽しんだり、身近なテーマと感じたり、施設関係者も多く、先生のご講話への期待は高いものでした。
 ご自身の施設の美しい庭園をバックにご登壇の西野先生は1.わが国の高齢化、2.コロナ禍の暮らしの変化、3.認知症の原因、4.認知症の予防と対策、5.園芸療法の有用性について、興味深い資料や実生活の事例を挙げながら、大変わかりやすいご講話をご提供下さいました。
 講話早々、「加齢に伴う各種身体機能の変化」のグラフで示された20〜24歳の時の身体機能を100とした場合の55〜59歳の人の変化には、日頃の実感を証明されて大いに納得、各項目の変化の落差に愕然としたものでした。

加齢に伴う各種身体機能の変化

また、高齢化が進むにつれ、健康寿命の短縮の可能性があること、さらに、そうした背景や癌に比べて予防や治療が難しいとされていることからも、認知症が、高齢者が一番なりたくない病気でも、子供世代が親になってほしくない病気でもトップだという、厳しい現実を語るデータも示され、日本の超高齢社会の課題、大きな変化は認知症の発症者の増加だとされました。

 さらに、世界中で認知症に関する研究が進む中、認知症発症の様々な危険因子とされるもののうち、特に大きな危険因子として挙げられるのは、アルツハイマー型認知症では糖尿病、脳血管性認知症では高血圧症であること、しかしながらこれらを含めた危険因子の多くはライフスタイルの見直しでリスクを減らす可能性があるという研究が進んでいることを述べられ、アルツハイマー型の発症にかかわる脳へのアミロイドβの沈着を抑制、認知症予防につながるものとして、7時間以上の良い睡眠が注目されているというトピックも提供されました。


認知症の発症にかかる危険因子

 次いで、2011年の設立以来日本認知症予防学会が提唱する認知症予防の3段階予防法に基づき、2500人余の会員の認知症予防のためのエビデンス創出とそれに基づいた研究・実践活動により認知機能の障害を改善できる部分があるということがわかってきたと説明されました。

日本認知症予防学会が提唱する認知機能の3段階予防法

  最後に西野先生が欧米やアジアでその有用性への注目が高まっており、それらの地域の実践・研究の連携も通して、ご自身の各施設、NPOで研究、実践を推進していらっしゃる園芸(自然)療法について熱く語られました。施設で行われる様々なアクティビティに加えて、MCI(軽度認知障害)の進行抑制、認知症のBPSD(行動障害等の周辺症状)の予防と改善のための非薬物療法として、障害のレベルや能力に応じて(すべての予防段階において)取り入れられたところ、園芸療法のもつ「賦活」と「沈静」両作用が見られたと述べられました。BPSD症状を軽減するばかりか、様々な園芸活動に付随する関わりを通じて活動を活性化し、五感を豊かに刺激することになり、長期間実践することにより認知機能の改善が維持されたというエビデンスを解説、園芸(自然)療法の有用性や意義を述べられました。



園芸療法の有用性・効果

 そしてWHOの提唱するQOLの実現に向けての身体面、社会面、精神面に並ぶやる気、意欲の領域において、この不思議な力を持つ園芸療法等による自然とのかかわりが生活の質を大いに高めることができると確信していると結ばれました。

 画面に映し出された、美しい自然豊かな施設や、素晴らしい環境の中での様々な園芸療法の場面の画像から、充実した時間を満喫され、幸福そうにお見受けするご参加の皆様の表情に、心が潤う思いがいたしました。また、事後アンケートでは、自然豊かな環境での取り組みに心を打たれた、園芸療法に改めて興味を持った、やってみたい、できそうという感想や、自らが植物と対峙して心が癒された経験など、嬉しい声が届きました。
 最後に日本認知症予防学会からの新型コロナウィルス拡散に対する提言をお示しいただき、終講となりました。

日本認知症予防学会からの提言

  次いで、大武美保子代表理事・所長から「オンライン認知症予防活動」と題して、基調講演をいたしました。
 遺伝以外の要因が大きい病気に対しては病気ごとにその方策が存在するも、「人との密な接触をさけるべき」新型コロナウィルス感染症と「人との交流をすることが有効である」認知症では、その方策が衝突しており、それがまさしく今般のコロナ禍の課題であるとしました。そこにおいて、「人と交流する以外に、有効とされる活動をする」西野先生の講話にあった園芸療法、五感刺激療法、音楽療法等と並びうるものとして、「人との密な接触を避け、オンラインで人と交流する」方策として、2020年より本格的に取り組んでいる、集合することなく、「同じ写真が表示される端末を見て会話する」遠隔会話支援システムを用いる方策(手法)について解説しました。これらの手法は五感を刺激するという要素は欠ける面がありますが、その分を言葉の力を使う方法として位置づけているとしました。

 会話の認知機能訓練効果が認められているものとして、先行研究として行われた定期的に一定期間高齢者が会話を継続するWEB会議システムによる会話実験では、電話によるインタビューに対して言語流暢性※が向上したという研究とがあります。また、さらにエビデンスの収集が必要ですが、大武研究室が行った会話ロボットが司会する写真を介して行う会話実験研究(共想法)でも自由会話に対して同じような結果が見られています。(言語流暢性:ある文字で始まる言葉、あるカテゴリーの言葉を一定時間内にどれだけいうことができるかで測られる能力)
 
 今回の講話では、コロナ流行下、認知症予防につながると考えて継続してきた「集合して会話する」会話支援手法、共想法の研究開発及び普及が叶わなくなったため、感染症拡大以前より遠隔地との会話を実現するために開発していた、在宅で会話ができる遠隔会話支援システムを活用することで、集合しなくてもオンラインにて交流ができる方策に切り替えた経緯と実態を説明しました。

遠隔会話支援システムの動作フロー(一部抜粋)

 これは、スマートフォンおよびタブレットアプリケーション上に、順に映し出される、参加者が撮影した写真を見ながら、順に会話ができるものです。テーマに沿った写真を持ち寄り、時間と順番を決めて話題提供、質疑応答する、その後自分が話した内容を200字にまとめるという、共想法本来のルールとその活動に伴って加齢により落ちやすい認知機能を活用できるという原則を述べ、IT端末に慣れていない人とは地道にステップを重ねながら、併せて端末の機能評価・改善を図りながら、徐々に多くが参加できるようになった経緯を述べました。
 また、認知機能訓練として共想法に参加し、一定の質を保つ会話をするためには、決められたテーマを心に留めて観察、行動するライフスタイルが求められ、そのことが五感の感度を高め、言葉の理解力が上昇する、すなわち共想法で使われる「見る」「聞く」「話す」の感度が高まり、それが脳の働きにも反映するとの考えと述べ、この6か月間に行った共想法の「観察する」「行動する」カテゴリーのテーマの中から、「歳を重ねて気づいたこと」「免疫力を高める工夫」のテーマで提供された2つの話題を紹介しました。

共想法による認知機能訓練により高められるとされる感度

 最後に、今後しばらくは続くと思われる集合や外出が制限されるwithコロナ、そしてafterコロナの時代に向けて、新しくスタートを切ったこのオンラインによる認知症予防活動ツールを進化、拡大させていく展望と抱負を述べて、終講としました。

 5分間の休憩を挟んで、北九州市の西野先生と東京の大武所長との「コロナ禍での認知症予防」と題した対談が始まりました。今回は短い休憩時間でしたが、講師に質問する機会を設けました。最初に20件ほど寄せられ質問のうち、西野先生が関わっていらっしゃる園芸療法や音楽療法に関する質問に答えられました。なお、当日回答ができなかった全ての質問に対して後日メールにて回答しました。
 

西野憲史先生と大武美保子所長との二元対談

  その後、西野先生は、それまで認知症治療は精神科における重度患者の治療が中心だったため、「認知症になりたくない」という人々の思いを背景に、また内科医の立場から早期発見、生活習慣病の予防・治療を含めた幅広い予防が必要だという思いから、日本認知症予防学会を立ち上げた熱い思いを語られました。

 またご自身で園芸療法を始められたきっかけとして、通院、入院患者さんたちが植物や自然と接する活動の受容性が最も高く、植物が持つ賦活と沈静という不思議な両作用が人間をニュートラルな状態にしてくれることが実感できたからと述べられました。
 認知症の予防となる生活習慣病改善のために必要でも、どうしても食生活の節制ができない人は、入院も視野に入れて一定期間身体によいものを食して、身体にその心地よさを感じさせる方法も一法だとアドバイスされました。
 そして、認知症予防において重要な三要素である〕酸素運動、楽しく頭を使うことコミュニケーションをはかることのうち、共想法は、楽しく頭を使うことコミュニケーションをはかること、を具体的に高めていく上で素晴らしいツールになるとの励みになるコメントを頂きました。

 オンライン講演会は2度目、今回はウェビナーを利用しての開催となりましたが、準備はしたものの不安は尽きず、果たして音声等については、貴重なご意見をいただくことになりました。しかしながら、講演内容や今後の参加意向につきまして、好評価をいただき、大過なく終えることができたことを、安堵すると共に、ここに改めて、ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。
 今後もしばらくはオンラインでの講演会や企画が続くと思います。いただいた貴重なアドバイスやご希望に添える、よりよいものにしていきたいと思っております。

 なお、本講演会の模様は以下YouTubeにてご覧いただけます。
 https://www.youtube.com/channel/UCz7L-TE_oqgoLORFqNoIoZA

市民研究員 鈴木 晃・長久 秀子

2020年12月22日(火)13時30分より、ほのぼの研究所クリスマスオンライン講演会を開催いたしました。 コロナ禍による外出自粛で、高齢者の認知症発症リスクが高まる中、いかにして認知症を防ぐか、役に立つ情報を共有することを目的として、テーマを「コロナ禍での認知症予防」としました。「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の三部形式とし、それぞれの動画を、Youtube上で配信しますのでご案内します。自分が認知症になりたくない人、親が認知症にならないようにしたい人、必見です。
動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。

招待講演
【コロナ禍での認知症予防】認知症予防の基礎−コロナ禍における実践―西野 憲史

基調講演
【コロナ禍での認知症予防】オンライン認知症予防活動―大武 美保子

両講師の対談
【コロナ禍での認知症予防】対談−西野 憲史×大武美保子

2020年8月25日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念オンライン講演会を開催いたしました。 講演会のタイトルは、いわゆる巷にあふれる健康情報とは一線を画す、確たる研究、知見に裏付けされた健康に関する情報をお届けすることを目的として、「今こそ、実践!真の健康づくり」としました。前回の設立記念講演会より好評の、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の三部形式としました。 この三部形式に沿って、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の動画を、それぞれYoutube上で配信しますのでご案内します。
それぞれの動画をクリックすると動画が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。

報告記事:2020年ほのぼの研究所設立記念講演会

招待講演
【今こそ実践!真の健康づくり】疲れにくく、生き活きとした毎日を送るために―渡辺恭良

基調講演
【今こそ実践!真の健康づくり】認知機能を保つ、くらしの工夫ー大武美保子

両講師の対談
【今こそ実践!真の健康づくり】対談ー渡辺恭良×大武美保子

 柏市認知症予防講座は、今年で実施開始から5年目、6講座目を迎えました。新型コロナウィルス禍、開催が危ぶまれましたが、当初の予定通り、9月29日、10月13日、27日の3回にわたり、ほのぼの研究所大武美保子代表理事・所長を講師として開講致しました。
 感染症対策として、会場の定員が、スタッフを含めて13名となったため、例年18名募集のところ10名の募集と縮小しました。想定外の定員を大幅に上回る34名の応募者があり、抽選の結果、9名の方に受講していただくことになりました。応募者の内訳は60〜70歳代が3分の2、80歳代が3分の1でしたが、34名中、女性が32名と大勢を占めました。

 会場の実施者は人員縮小して、ほのぼの研究所のスタッフ3名のみ、ほのぼのプラザますおのスタッフ1名とし、マスク着用の上、ほのぼのプラザますおの広い会場スペースまなび館にて、十分な間隔をとっての実施となりました。


感染予防を配慮した講座会場

 大武美保子講師、テクニカルサポート1名、ほのぼの研究所スタッフ1名は、東京都、神奈川県からZOOMを利用しての参加で、文字通り遠隔での講座となりました。リハーサルを繰り返す中で、Wi-Fiがうまく繋がらなかった際の対策等の準備を整え、無事に終講することができました。


大武所長のリモート講座画面
 
 「共想法」は元来、テーマに基づいた写真を持ち寄り集合し、それを大きなスクリーンに投影してその話題について説明し、質疑応答を通して想いや情報の交換を行うものです。今年度の講座は認知症予防に関する座学と、新型コロナ流行禍集合することができないために、集合しなくても在宅(おうち)で共想法に参加できるように開発された、スマホアプリを使っての共想法の体験の構成としました。

 共想法のテーマは「好きな物」とし、1日目は研究員の実演をみていただき、2、3日目には9名の参加者に3名ずつ3グループに分かれて共想法を体験していただきました。
 感染を防ぐため、実際にはスタッフがスマホを操作しましたが、参加者は各写真が映し出されるスマホ画面が大きく映し出されるスクリーンの写真を見ながら、説明、質疑応答を交わし、活発な共想法が実現しました。「マスクの端切れで作った手提げ」やお嬢さんがお母さんのために完成させた「紙ひものカゴ」など、参加者の多くを占めた女性ならではの、いまどきの話題が提供されたのが印象的でした。

 すべての参加者がZOOMによる講座が初体験であり、スマホの扱いに不慣れな方もいらした中、ご苦労も多かったとお察しいたしますが、事後アンケートには、この講座に「満足」「ほぼ満足」の回答が寄せられ、「共想法を初めて知ってよかった」「共想法をしてみたい」という意見を多くいただきました。一方、不慣れで難しい面もあったとみえ、遠隔でないほうがよいという本音のご感想もいただきました。

 グローバル化が進み、コロナ感染症だけでなく、様々な感染症の広がりは防ぐことが難しくなると思われる中、コミュニケーションにも、これまでとは異なる方法の工夫が必要に迫られることが想定できます。実施者として、初めての試みでしたので、改善すべき点は多々ありますが、新しい活動方式のひとつの最初の一歩を踏み出せたことは、私たちの明日への糧になると思っています。

 本講座運営に多大なご助力をくださった、柏市ならびに社会福祉協議会のスタッフの皆様、受講者の皆様に厚く御礼申しあげます。

市民研究員 魚谷 茜

2020年ほのぼの研究所設立記念講演会

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ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2020-10-4 8:00
 2020年8月25日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念オンライン講演会を開催いたしました。ご存知のように、新型コロナウィルス禍、皆様にご集合いただくことは叶わない世情でありましたので、多々逡巡いたしましたが、今までどおり皆様と認知症やヘルスケアに関する知見、情報の共有は絶やすことなく続けたいという思いから、感染予防を鑑みて、ウェブ会議サービスZoomを使ったオンラインで行いました。ライブのオンライン講演会には40名の方にご参加いただき、事後の動画でのご視聴に約同数の方からお申込みをいただいております。

 講演会のタイトルは、いわゆる巷にあふれる健康情報とは一線を画す、確たる研究、知見に裏付けされた健康に関する情報をお届けすることを目的として、「今こそ、実践!真の健康づくり」としました。前回の設立記念講演会より好評の、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」の三部形式としました。

講演会資料表紙
 
 定刻どおり、大武美保子弊所代表理事・所長の挨拶にて講演会が開始、早速、招待講演講師の渡辺恭良先生に、神戸の研究室よりご登壇いただき、「疲れにくく、生き活きとした毎日を送るために」というタイトルの講話が始まりました。

 渡辺恭良先生は京都大学医学部ご卒業の医学博士で、講演会開催時、理化学研究所生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム・チームリーダー並びに大阪市立大学・健康科学イノベーションセンターの顧問でいらっしゃいます。「疲労」の正体を解明し、疲労のメカニズムを科学的に解明し、抗疲労対策にも多くの貢献をすることに成功した、世界の疲労研究をリードする疲労研究の第一人者で、一般社団法人日本疲労学会理事長等多くの要職に就かれております。なお、渡辺先生には、これまでと異なる環境下、ご多忙にもかかわらず、急遽のご登壇の依頼をご快諾いただきましたこと、心より感謝申し上げます。

 繁忙な日常や加齢、そして、今般の新型コロナウィルス感染禍、疲れを感じる日々は少なくないため、学問として伺う「疲労」について、期待を抱いて拝聴いたしました。

招待講演講師 渡辺恭良 理化学研究所チームリーダー
 
 まず、「疲労」いわゆる「疲れ」は、元気な時を100%とした作業効率が60〜70%など、統計的に有意に落ちた状態と定義づけられ、休憩や眠りで治る「急性疲労」、疲れ気味が1週間ほど続く「亜急性疲労」、そして6か月以上続く「慢性疲労」に3分類されます。疲労は、「これ以上仕事や運動等を続けると、心身の正常状態が損なわれることになります」と、それ以上の活動を制限させようとする重要な生体警報(アラーム)であり、多数の病気の下地:未病でもあります。発熱や痛みと並ぶ3大重要警報である、と説かれました。疲労は、近くのお医者さんにかかる2番目に多い(一番目は痛み)主訴でもありますが、医療は疲労に対して体系的な診断法や治療法が確立していません。

疲労と疾病の連続性


疲労と症状
 
 驚くことに、疲労による日本の経済的損失は、単純な因果関係からは、年に1.2兆円、交通事故などの疲労に起因すると思われる事故をも含めると、少なくとも年間約7兆円:日本の総予算の1割近くにも及ぶという衝撃的な数字も示されました。そして、大人ばかりでなく、子供も多くが睡眠不足などから慢性的に疲労を感じているという実情も述べられました。

 もともと身体には、活性酸素の働きを弱めたり無毒化したりする機能が備わっていますが、激しい運動や精神的なストレスなどで大量のエネルギーが必要になると、処理できる以上の活性酸素が発生して体中の細胞内部品をつぎつぎにサビつかせてしまいます。このような活性酸素によって細胞機能が一時的に低下し、身体のある特定の場所での炎症を起こした状態が「疲労」であり、それは長引くと「老化」にもつながるメカニズムである、と解説されました。疲労はまず、全身に張り巡らされた交感神経と副交感神経:自律神経の乱れから始まり、睡眠障害、取れない疲労、未病へと進むこと等を述べられました。また、認知機能と自律神経機能に大きな相関が見られ、とくに高齢者は疲労している時の認知機能低下が大きいことを伺いました。

 疲労そのものについて、渡辺先生を中心に、多くのことが解明され、それによる総合的に評価する主観的、客観的な指標や方法に基づき、防止や快復、治療のための研究が長年にわたり綿々と続けられていること、健康度のアップのための研究に邁進なさっていることに、非常に感謝をしたことでした。被験者の負担の少ない疲労度検査方法も続々開発されているとのこと、ぜひ既存の健康診断に組み込まれるようにと願っています。

 次いで、大武美保子代表理事・所長から「認知機能を保つ、暮らし方の工夫」と題して、基調講演をいたしました。

 まず、認知症予防とは、認知機能低下遅延、認知症発症遅延であるという定義と共に、認知症予防の認知的アプローチとして、知的行動や社会的交流を行う活動をすることが有効と知られていると述べました。防ぎうる認知症にならない社会づくりを目指して、加齢による認知機能低下を遅らせ、認知機能が低下しにくい生活の仕方を実践する手法として、『共想法』を開発し、言語能力と認知能力の生涯発達を支援する研究を進めてきています。

 会話に注目した研究を行う根拠を、次のように述べました。すなわち、1) 言語能力は生涯にわたって向上するとされる結晶性知能であり、全般的に言語能力が高い人の認知機能は低下しにくく、言語能力が認知機能の維持に重要な役割を果たすこと、2) 社会的交流の多寡が、加齢に伴う認知機能低下や認知症発症リスクに関係するという報告に基づいています。会話が言語能力と認知機能に立脚した活動であり、認知機能の維持につながると考え、ルーの法則:器官や機能は、適度に使えば発達し、使わなければ退化・萎縮する;に則り、会話支援手法『共想法』では、認知機能のうち低下しやすい体験記憶、注意分割機能、計画力を、会話を通じて自然にバランスよく使えることを目指しています。

 次いで、『共想法』を考案した経緯、一連の実施プロセスと、それぞれのプロセスで活用される認知機能(体験記憶、注意分割機能、計画力)ついての説明や採用する写真(話題)のテーマについて説明を行いました。そして、東京大学、千葉大学を経て、現在理化学研究所で行っている基礎研究、そして、ほのぼの研究所における実践研究の取り組みを紹介しました。

 最後に、新型コロナウィルス感染下、活動が制限され、高齢者の認知機能低下リスク防止と認知機能維持のためのニーズの緊急性が増した中、元来の目的である、防ぎうる認知症にならない社会の実現に立ち返り、集合せずに会話することを通じて認知機能を訓練する研究テーマに、重点的に取り組むこととした、と述べました。話題提供し質問に答える対話ロボットや、タブレット、スマートフォンを用いた話題共有システム、在宅で会話可能な遠隔共想法システムの開発、利用評価を、急ピッチで進めていること、また、ほのぼの研究所の活動をほぼオンラインにしたことを報告しました。

 

 
 10分の休憩を挟んで、神戸の渡辺先生と、東京の大武所長との「今こそ、実践!真の健康づくり」と題した対談が始まりました。渡辺先生は、本講演会で最も伝えたかったこととして、「疲労は発熱や痛みと同様、大きな生体アラームであり、それを正しい指標で判断を行うことが、それに陥らないようにする対策・予防につながっていく、このプロセスは認知症に関してもあてはまる」と改めて強調されました。また、従来の健康診断結果にAIの分析を添え、疲労度を判断する自律神経と生体酸化等の検査を追加することで、疲労度の高い国民の未病化予防、健康度アップにつながると思うとも述べられました。

 最後に、疲労を蓄積させないためにできることとして、渡辺先生より、以下の2つのアドバイスをいただき、オンライン講演会は閉会いたしました:1)自分を縛りすぎることのない、自らのオリジナルのナビゲーションをつくって、受動的にならずに自分の意思で活動すること。予測できないことがふりかかることが、一番疲れにつながってくるとされているので、不測の事態に対しある程度の準備は整えておくこと;2)楽しいことを思い浮かべること。

両講師の対談
 
 Zoomで招待された会議に参加するレベルで、主催者としての知識も経験もない担当者が、初のオンライン講演会開催まで過ごした日々は、親身のアドバイスを下さる方がいらしたとはいえ、不安の多いことでした。これも初体験のオンラインアンケートでは、音声や資料の判読不備等に対して、貴重なご意見をいただくことになりましたが、満足度や今後の参加意向では、高評価をいただけました。寛容な皆様に支えられて、大過なく終えることができたことを、安堵すると共に、ここに改めて、ご参加いただきましたことに感謝申し上げます。

 今後もしばらくはオンラインでの講演会や企画が続くと思います。いただいた貴重なアドバイスやご希望に添える、よりよりものにしていきたいと思っております。

市民研究員 鈴木 晃・長久 秀子

 2020年4月20日、2019年度ほのぼの研究所合同研修を開催しました。これは、毎年1回、共想法実施者が、通期の行動で得られた知見を持ち寄り、相互に確認し、次期の展望や行動の方針の参考とするために行われているものです。

 2019年度はCOVID-19感染拡大のため、活動そのものや、使用施設の使用が大幅に制限されたため、開催予定3月17日から約1カ月日延べして、オンラインシステムを活用して実施しました。初めての経験のため、理化学研究所の実施者により事前に各自のIT環境や手順等の確認作業を行ったため、当日は大武所長・代表理事をはじめ、三宅徳久副代表理事、小暮純生理化学研究所技術経営顧問、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、「お江戸共想法」の実施者、理化学研究所の実施者、そして市民研究員の総勢22名が、オンライン時間延べ4時間にわたって無事参加することができました。


オンライン合同研修参加者画面

 大武所長の開会挨拶で始まり、下記の順で2019年度の活動報告と、2020年度の方針に関する発表がありました。各担当者が10分間の持ち時間で発表をする間は、事前に提出した資料が画面に映し出されました。以下、発表を順に紹介いたします。※氏名後(S)は発表者

【協働事業者 きらびとみやしろ】

野口宗昭市民研究員・田崎誉代市民研究員(S)

 9年目に入った健常高齢者を対象にした共想法は、2人の新スタッフと共に、共想法の効果を定着させるために、事後に写真の確認をし合ったり、200字要旨の本来の意味を再確認したりと、工夫を重ねていることが報告されました。また、参加者の加齢に伴う問題点や、共想法操作機器、事業者の諸般の事情に伴って発生した課題とその解決方法、そして今後の展望が述べられました。
 最後に「共想法の実施に大事なこと」として挙げられた「誰もが無理をせず、とも危機管理につとめながら、思いやりを忘れずに、次回も快く参加できるため、楽しい雰囲気づくりに努めること」という結論は正に「言うは易し、行うは難し」、大いに納得したのでした。

【協働事業者 マカべシルバートピア】

永田映子市民研究員(S)

 2011年11月のスタートから8年が経過した共想法について、介護老人保健施設という特性上、参加者の多くが90歳以上で、加齢に伴う体調・認知機能低下が進む中、参加者に、楽しく、負担なく参加していただけるよう、テーマや実施方法、サポート方法にきめ細かい工夫を施して、継続実施している努力と、実施者としての自己管理の必要性が述べられました。超高齢社会において、早晩どこの拠点でも起こり得る課題であるため、努力に敬服するとともに、今後の貴重な情報として大変参考になりました。

【協働事業者 有限会社野花ヘルスプロモート】「共想法〜 Cocofit ver〜」

正木慎三・篠倉拓(S)

 Cocofitはメンタル不調で休職・離職あるいは自宅療養中や、不安や焦りから欠勤が増えた等で悩んでいる人を対象にした「こころと行動を支える施設」として、野花ヘルスプロモートが運営する施設。2020年1月にそこの利用者への支援プログラムとして「共想法」を取り入れるに至った目的や準備、初回実施に至るまでのプロセスが説明されました。併せて、参加者の「冬を感じるもの」をテーマにした大変美しい写真とほのぼのとした話題の幾つかも紹介されました。
 なお、これまで共想法を認知症予防以外にも活用する研究事例武先生から伺ったことはありましたが、今後Cocofitでの共想法からも参考になる新しい知見を得られそうで、大変興味深く思いました。

合同研修会資料1

【お江戸共想法】

斉藤千鶴子(S)・今城悦子・沖桂子・山藤千賀子

 お江戸共想法開催に至るまでの誕生「秘話」に続き、2019年度の実験参加者である新しいメンバーを加えての2年目の実践の様子を詳細に解説しました。理研のスタッフのサポートを受けながら、発足から携わっている共想法に熱い思いを持つ参加者でもある実施メンバーが、共想法参加の意義:「認知機能を高めること」を懸命に周知徹底させ、情報を共有しながら、積極的参加を継続させるために、様々な工夫をこらしていることが紹介され、参考になるアイデアも伺うことができました。
 報告の最後に、今年度の念願のひとつに挙げられた「街歩き共想法」は、拠点の柏でも久しく実施していないだけに、世の中が落ち着いた折りには、できれば合同で実施し、さらに交流を深め、切磋琢磨することができればと思いました。
           
【ほのぼの研究所 共想法継続コース】

田口良江市民研究員(S)・根岸勝壽市民研究員(S)

 
 実績として、第一に2018年度から始まった2本立て体制、すなわち、柏市の認知症予防講座修了者や、講演会などで興味を持った方々を受け入れ、途中からでも参加可能な初心者グループと、長年共想法をしている経験豊かなグループとが、異なるテーマに沿って行う進め方が定着したこと、そして、司会ロボットぼのちゃん5号にも慣れてきたこと、第二に、企業をはじめとする見学者が増加傾向であるも、さまざまな属性の方々のやみくもな参加を避けるため、ステップを踏む丁寧なルールに則っていること、そして第三に、昨年度に引き続く頭の健康チェックにも参加者が増えたことを述べました。また、年々難易度の上がるテーマにも果敢に取り組み、常に生活の質の向上に努力を惜しまない経験豊かなメンバーへ感謝するとともに、快く参加を継続できるよう、欠席者宛ての密なコミュニケーションを図るなど、啓発しあい、フラットな信頼関係を築くように努めている旨が報告されました。
 最後に、司会ロボットぼのちゃん5号のソフト・ハード両面での使い勝手についての改善要望が出されました。なお、蛇足ですが、市民研究員の誰もが司会ロボットの操作を完全マスターするべく、鬼?の特訓を重ねていることを付け加えさせていただきます。

【ほのぼの研究所 柏市認知症予防講座】

「柏市認知症予防コミュニケーション体験講座『今から始める認知症予防』」

松村光輝市民研究員(S)・魚谷茜市民研究員

 はじめに、単に認知症予防について学ぶだけでなく、認知症予防と共想法の関係について体験を通して理解を深めていただき、終了生の受け皿として設定されている共想法継続コースに参加し、さらに認知予防に積極的に取り組んでいただくとした企画の目途が述べられました。6月〜7月の3回の講座には認知症予防に関する意識の高まり、あるいはテーマのコピーに惹かれてか、『広報かしわ』やチラシの広域配布なども奏功して、定員をはるかに上回る応募者があり、60〜80歳代以上の30余名に受講いただき、3日間皆勤の方が14名ありました。事前に共想法用の写真をスマホ等で送ることのできる方も大幅に増加。また、共想法参加体験で、会場からも質問を受け付ける形式をとったり、200字要旨の記入の体験等、参加意識を高めた講座内容が好評で、受講生のうち3名が共想法継続コースへご参加下さるという、果たして2016年からの講座結果を踏まえた試行錯誤を経た嬉しい報告となりました。

合同研修会資料2

【ほのぼの研究所 講演会等普及活動】

鈴木晃市民研究員・長久秀子市民研究員(S)

 市民活動フェスタ2019「認知機能を見てみよう」出展、恒例のNPO法人設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」、初の試みであった設立記念講演会ビデオ観賞会と、異なる形態の普及活動企画の実施報告と、これまでの企画実施から得られた課題・仮設の検証結果を説明しました。
 2019年度に最も寄与したのは、「今からなら間に合う!」というキャッチ―なタイトルと、ニーズの高い情報を、大変わかりやすく解説して下さる講話テクニックに優れた、高名な島田裕之先生に講師にご登壇いただいた設立記念講演会であり、その後の講演会ビデオ観賞会の成功にもつながったこと、来場ターゲットの精査が及ばずも、柏市民活動フェスタではCogEvoを使った認知機能を見てみる体験者を呼び込み、他出展者との繋がりの端緒ができたと述べました。
 以上の3つの企画を通して、課題解消度が上がり、賛助会員入会・継続増加につながるという結果が導かれるも、さらに今後もターゲットのニーズに合った企画を目指してアンテナを張り巡らし、タイミングよく丁寧な集客(募集)や情報提供に努めて、より効果的な普及活動につなげたいと結びました。

【ほのぼの研究所 動画制作】

根岸勝壽市民研究員(S)・長久秀子市民研究員

 2019年度太陽生命厚生事業団社会福祉助成事業として採択された「認知症予防の啓蒙と認知症予防手法の実践、普及活動に使用する動画資料、小冊子作成」事業のメインとなる「ほのぼの研究所PR動画制作」を説明。8年前に専門家に委ねて制作した既存版と併用し得るよう、その後の知見を盛り込み、ほのぼの研究所の存在や活動をわかりやすくアピールするために、市民研究員の意見を反映、さらに継続コース参加者の友情出演の協力を得て、専門家とコ・ワークした制作過程について述べました。
 また併せて取り組んだ改訂ほのぼの研究所の紹介パンフレットについても紹介しました。

合同研修会資料3

【企業連携】「共想法の社会展開に関する活動概況」

小暮純生 理化学研究所技術経営顧問

 残念ながら、どれもがCOVID-19感染拡大の影響を受けて、実施に変更や遅延が生じていますが、飲料メーカーとの共同研究、和光市との「在宅高齢者の認知機能脆弱化予知予防研究」、損害保険会社研究所との連携、生命保険会社との意見交換並びに情報交換の進捗状況の報告がありました。

【2019年度のまとめと2020年度方針】 
 以上の各発表を踏まえ、大武美保子代表理事・所長より、2019年の活動総括並びに2020年度の方針が示されました。

 まず、ほのぼの研究所の5つの事業(実施・普及・支援・育成・研究)を軸に、2019年度のモットー「続けつつ、やり方を変える 効果的に」に沿って実施した活動の進捗報告がありました。
 次いで、2020年は活動を通じての基本概念を「長持ちする脳の使い方を生活の中で実践する」ことと明文化し、COVID-19の治療薬やワクチンが確立するまでは、集合活動はできないことを前提として「目的に即して新しいやり方を考えて実践すること」をモットーに活動するとし、5つの事業それぞれの具体的活動案が多く示されました。

 これらの事業・活動の継続、試行のためには、新しいIT技術や方法の習得、習熟を含めて、相応の気力、体力、時間が必要だと実感しました。しかしながら、しばらくはCOVID-19と共存しなければならない日々が続くとして新しい生活様式が求められる中、ほのぼの研究所の新しい活動様式として、受け止め、構築していかなければと、士気を喚起されたのでした。

 限られた時間の中、例年のような侃々諤々の質疑応答は叶わなかったのは少々残念でしたが、かわりに各参加者が一言ずつ初オンライン合同研修会の感想を述べました。トレンドであるオンラインミーティングに参加、知見と情報の共有・確認が叶ったことについては勿論ですが、それ以上に久方ぶりにお互いが元気な様子を画面上で確認できた喜びの声もたくさん寄せられました。最後に集合写真を撮影して、初オンライン合同研修はお開きとなりました。

市民研究員 長久秀子

「お江戸共想法」 スタートから1年

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NegishiK 2020-2-2 8:00
  2018年暑い夏の3カ月間の共想法参加は、私たちにとって大変意義ある体験となりました。この体験の余韻が残る11月、大武先生の助言をいただきながら、月1回13時30分から15時30分の2時間、共想法に継続して参加するグループへの応募を、共想法体験者に呼びかけました。果たして12名が集まりました。そして、大武先生、理研のスタッフの方々のご指導、サポートをいただきながら、同年12月、日本橋にある理化学研究所(以下理研)の一室をお借りして、第一回目をスタート致しました。グループ名は、意見を出しあい、発足の地お江戸日本橋にちなんで、「お江戸共想法」としました。

お江戸共想法実施風景

 第1回のテーマは「私の好きな色」としました。夏の共想法体験とは違った、12名3グループのメンバー構成を毎回変えること、個々の写真の説明と、質疑応答を写真1枚につき1分間で行い、参加したグループの会話については、フェイススケールと写真当てクイズ、参加しなかったグループの会話については、会場からの質問と聞き取り確認を行う、という進め方には、最初は戸惑いましたが、徐々に慣れてきました。現在、よりよい運営方法については、まだまだ模索中です。

テーマ「江戸をイメージさせるもの」
 築地波除神社の獅子殿

 この進め方に慣れてきたメンバーのひとりで、皆勤参加者のTさんから発せられた「毎回の ″テーマ“ってホントに難しいよね。ホントに悩むよね。」 の一言が、「共想法」の研究の狙いのひとつでは、と思っています。日々頭を使って悩むことが、脳を刺激し、鍛える手段でもあるのです。
 11回目からは、2019年度体験者からの新しいお仲間が増え少し雰囲気も変わってきました。今後も、「話す」「見る」「聴く」「考える」を楽しく実施することを続けていきたいと思っております。また、大武先生も述べられた、「お江戸共想法」の1日も早い「自立」を目指すべく精進しなければと思っています。 

お江戸共想法実施参加者 齋藤 千鶴子