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ほの研ブログ - 行事カテゴリのエントリ

海浜ニュータウン共想法 実施報告

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ほの研日誌 » 行事
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NoguchiM 2014-4-6 8:00
  千葉県の海浜ニュータウンは、1970年代から、高度経済成長下の東京のベッドタウンとして開発が進められました。全国各地にあるニュータウンは、街と住民の高齢化の問題に直面しています。千葉大学の教員が設立した、NPO法人ちば地域再生リサーチは、海浜ニュータウンをモデル地区として、住宅のリフォームを中心とした団地再生に取り組んでいます。
  NPO法人ほのぼの研究所は、高齢化に対応した住まいづくりについて学ぶため、海浜ニュータウンにある高洲団地を訪問し、リフォームされた団地を見学し、共想法をすることを計画しました。千葉大学 コミュニティ再生・ケアセンター、NPO法人ちば地域再生リサーチ、UR都市機構にご協力頂き、計画が実現しました。
  2014年3月17日(月)、JR柏駅に9時集合、マイクロバスで高洲団地に向かい、高洲第一ショッピングセンター内の千葉大学サテライトキャンパス準備室に11時過ぎに到着。現地に集合した団地住民、企業の方と合流しました。大武先生の挨拶と、参加者全員による自己紹介の後、UR都市機構が管理する高洲団地の高齢者向け賃貸住宅の改装前、改装後を見学しました。


千葉大学サテライトキャンパス準備室にて、大武先生の挨拶と自己紹介



UR都市機構の職員の説明を聞く参加者


  UR都市機構の職員の方に、住宅の改良点や新設設備について解説して頂きながら、そこの場所で各自が、感じたものや目に留まったものの写真を撮り、キャンパス準備室に再集合しました。共想法のテーマに沿って3つにグループ分けし、Aグループは外装、Bグループは内装、Cグループは工夫としました。グループ毎に、話が重ならないように、写真の選定をして昼食となりました。昼食と並行して、撮影された写真のパソコンへの取り込みを行い、共想法の実施となりました。写真、一人一枚です。持ち時間は、一人当たり、話題提供一分、質疑応答二分ずつです。例えば、次のことが話題になりました。

【外付けエレベータ】 五階建ての建物の外階段に、階段の上り下りを補助するため、外付けエレベータが設置されています。二階と三階の間、四階と五階の間の踊り場に止まります。(Aグループ 外装)


外付けエレベータの外観



外付けエレベータの出入口


【転倒防止金具取付壁】  台所の向かいの大きい壁です。従来、賃貸ではむやみに釘が打てませんでした。地震防災のために、転倒防止金具が取り付けられるよう、壁が厚くなっています。(Bグループ 内装)

転倒防止金具取付壁


【フローリングの床に新素材の襖】は面白い。 通常の襖は、紙製か布製ですが、新しい素材を使っていて、掃除が楽です。この襖はとりはずしが簡単で掃除が楽です。(Cグループ 工夫)

フローリングの床に新素材の襖



共想法の実施風景

  共想法終了後、参加者でお茶と、高洲団地第一ショッピングセンター内の和菓子屋さんで買ったお団子や桜餅を囲んで懇談しました。話が盛り上がり、終了は定刻を過ぎて16時半過ぎになりました。
  今回の共想法は、現地集合と、柏集合の2通りの参加方法を用意しました。特にこの団地にお住まいの方の参加が得られて、直接お話を伺えたことがよかったように思います。千葉大学 コミュニティ再生・ケアセンター、NPO法人ちば地域再生リサーチの方には、会場の手配から、地域住民の参加募集、UR都市機構との連絡調整等、全般にわたりお世話になりました。また、UR都市機構の方には、リフォーム前後の部屋を詳しくご案内頂きました。ここに感謝申し上げます。

市民研究員 根岸勝壽

真壁のひなまつり共想法 実施報告

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ほの研日誌 » 行事
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NagataE 2014-3-30 8:00
  前日までは、震えるような冬の寒さでしたが、当日は一変して穏やかな春の陽気に包まれた2014年2月25日、ほのぼの研究所初めてのバス研修が行われました。
  目的は、見学と共想法を組み合わせた新しいプログラムをつくることです。茨城県桜川市真壁町のひなまつりを見学し、一週間後の3月4日、千葉県柏市の介護予防センターほのぼのプラザますおに於いて、共想法を行いました。交通が不便な場所であっても、足が悪い人でも参加しやすいよう、バスを使って現地まで往復する進め方を試しました。

<行きのバス>
  バスには、東武野田線増尾駅から6名、JR常磐線柏駅から 15名乗り込み、合計21名がルンルン気分で、時間通り9時に柏を出発しました。バスの座席はあらかじめグループがまとまって座れるように、名入りの袋が置いてあります。中に、真壁町出身の市民研究員、永田映子さんが集めて下さった、詳しい地図やいろんな資料が入っていて、見学ルートについて相談出来るよう、細かく配慮されていました。


バスの中で一日の流れの説明

  高速道路に入ってからは、以下のことを実施しました。
・司会を担当した市民研究員、根岸勝壽さんより、一日の流れの説明(配布資料使用)
・大武先生の開会挨拶、街歩き共想法のポイントと趣旨説明
−できるだけ独自の視点で世界を見て、写真と話題を用意すること
−今回のバス研修は、千葉大学後援で、街歩き共想法の実践研究である
・参加者確認、名簿を確認しながら、グループリーダーが、名簿番号のSDカードを渡す
・デジカメに渡されたSDカードを入れ、各自動作確認を兼ね自分で自分を記念撮影
・グループ毎に、グループリーダーの連絡先確認
・全員、簡単に自己紹介
・地図を用いて、真壁のひなまつりの主な見所の説明(配布資料使用)
・バスを降りる直前に歩数計確認、歩数記入
予定通り、11時に真壁町庁舎駐車場に到着し、真壁町で開催されている共想法参加者のY.H.さんと合流しました。柏からバスで参加した殆どの皆さんは、真壁町は初めての方が多く、全く土地勘は有りませんでしたので、Y.H.さんの参加は大変助かりました。バスを降りてからは、昼食に全員集合する以外、5名または6名ずつの4つのグループ毎に見学しました。


桜川市真壁市町庁舎駐車場に到着、バスを降りグループ毎に見学開始


<真壁町にて>
  真壁家は、平安時代末期から戦国時代まで約430年の歴史が有り、真壁町の基礎を築きました。206軒もの商家や民家に、江戸時代から平成まで伝えられている、さまざまなおひな様が所狭しと飾られ、数多くの見学客で賑わいを見せていました。


江戸時代(面は貝殻)から平成までのおひな様

  真壁町は、おひな様だけでなく、街並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていて、国の登録有形文化財に選定されている歴史的建造物が多くあります。昔の城下町の風情を残し、鍵の手に作られた町割りや、旧家の長屋門、店舗・住居を兼ねた見世蔵、土蔵等を沢山見ることが出来ました。


潮田家住宅 見世蔵



細谷家住宅 長屋門

  現在、町の人口は約2万人ですが、ひな祭りの期間中に真壁を訪れる観光客は10万人を超えると言う事です。テレビの影響もあってか、年々盛んになるようです。3月3日を過ぎると、片付けが始まるのですが、これがひどく大変と仰っていましたので、暫く飾っていたら如何ですか?とお尋ねしたら、誰も見る人がいなくなるので片付けるのだそうです。宝物のおひな様を褒めて、眺めて頂けるから、飾って嬉しいのでしょうね。
  老舗の伊勢屋旅館にて昼食をとり、すいとん、五目ちらし、みそおでんを楽しみました。お食事中、真壁町で開催されている共想法参加者のK.O.さんが、真壁のひなまつりの歴史について語り、おみやげに和菓子まで下さりました。住民の発案で始まり、年々盛り上がっている真壁のひなまつりは、町おこしの成功例として、参考になります。
  お菓子屋さん、小物屋さんでお土産を買い、酒蔵で試飲し、私以外の皆様は甘酒やコロッケに舌鼓を打ち、楽しく真壁町を堪能出来た一日でした。最後にユニークな屋台の焼き芋屋さん。美味しい焼き芋をたらふくご馳走になりましたが、食べるのに夢中で、焼き芋の写真を撮るのを忘れてしまった事が残念でした。
  どの方も、良い思い出がいっぱいだったと見え、満足そうな顔が印象的でした。

<帰りのバス>
  帰りのバスでは、以下のことを実施しました。
・乗車したら直ぐ、歩数計確認、歩数記入 
・ベスト3の写真の番号と、そのテーマを、配布資料に記入
・ベスト3の写真が決まった人から、SDカード、配布資料をグループリーダーに提出
・翌週の共想法の案内(3月4日)
・真壁での体験を、日常生活に活かす方法について、大武先生より解説
−旅人になったつもりで、家に帰ってからも身近なものごとを観察すること
−気づいたことを、沢山写真に撮ること
高速道路を降り、そろそろ柏が近づいた頃、今回の計画を担当した市民研究員の、閉会の挨拶が有りました。時間に正確で怪我人なし、楽しく大満足なバス研修でした。
  この様に素晴らしい研修が出来たのは、全般計画を立てて下さった二人の市民研究員と、真壁在住の参加者がいらした事、お天気に恵まれた事でしょうか。詳しい地図やいろいろな資料等を準備して下さったり、真壁の歴史やおひな様を説明して下さったりと、大勢の方に御協力頂いたことは、大変幸せだと思います。

<後日の共想法>
  3月4日には、「街並み」、「食べ物/おみやげ」、「歴史/自然」の三つのテーマで共想法を開催しました。見学してから一週間でしたが、随分日にちが経ったように感じました。共想法にご参加の皆様は、思い出すように楽しかった話を沢山して下さいました。見学と共想法を組み合わせる、共想法の新しい進め方が、また一つ増えました。


真壁のひなまつり共想法

市民研究員 佐藤由紀子記

台東区生涯学習講座 実施報告

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ほの研日誌 » 行事
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fri 2014-2-23 8:00
2014年2月8日(土)14:00-16:30、生涯学習講座「共想法体験〜写真を使って、会話をしよう〜」が台東区生涯学習センター5F研修室において、台東区教育委員会主催で開催されました。
  この講座は、高齢者施設ボランティアの養成を目指す、連続五回の生涯学習講座の第二回として開催されました。最終回の第五回では、実際に介護施設にて実習を行います。第二回の目的は、初対面の高齢者と効果的にコミュニケーションを図る方法の一つとして、受講者が共想法を学ぶことです。台東区研修担当の方が、大武美保子著「介護に役立つ共想法」を読み、共想法のことを知ったことがきっかけで、開催の運びとなりました。


複合施設、台東区生涯学習センター

以下、実施状況をご報告いたします。
参加者は、受講者5名(2名欠席)、生涯学習課研修担当3名、大武先生、市民研究員5名、合計14名でした。会場は、参加者が十分入れるような広さで、スクリーンも設置され、窓からの眺望も楽しめる、落ち着いた豊かな環境でした。
  この日の天候は開催日の夜半から当日は、天気予報通り、吹雪と積雪の荒天候に見舞われ、一時、予定通りの内容での開催が危ぶまれるような状況でした。研修担当の方からは、天候状況にあわせ、その時点、時点で、交通状況や参加者一人ひとりの状況を把握した対応や、温かいお茶のもてなし等、きめ細やかなご配慮がありました。


当日、会場からの雪景色

以下は当日の流れです。
13:30 研究員集合、講座用の資料の配布準備、椅子とテーブルを共想法用に配置、プロジェクタ設置の準備等を行いました。
  配布資料は、1.レジメ、2.ケアワーク2012年9月号「ふれあい共想法で認知症予防を」、3.アンケート2件(共想法体験、講演会に関して)、4.チラシ2件(真壁ひなまつり共想法、谷中で共想法)、5.ほの研通信15号と、最新版の資料でした。


講座用に配布した資料と回覧した書籍「介護に役立つ共想法

14:00 講座開始     
1.はじめのあいさつ 台東区研修担当の方より 連絡事項・紹介
2.講座、講師大武先生
以下、レジメに沿ってテキストや動画、その他の資料を活用し、進められました。
1) 配布資料確認、自己紹介(ほのぼの研究所市民研究員、受講者) 、動画上映
2)高齢者にとってのコミュニケーション
3)介護施設で初めて出会う高齢者の方と会話をするきっかけを作るひとつの方法である共想法、書籍「介護に役立つ共想法」回覧
4)共想法の実施手順、動画上映

15:00 休憩 
その間、写真を当日持ってきた方の写真をシステムに登録しました。
5)共想法体験 1人 写真1枚、話題提供時間1分、質疑応答時間2分
  1回目  テーマ 「谷中」、PC司会:田崎
  参加者:大武先生、研究員…田口、松村、永田、清水
  2回目  テーマ「近所」(台東区) 、PC司会:大武先生
  参加者 受講者…K.Tさん、K.Hさん、Y.N.さん、K.Sさん


受講者Y.N.さんの話題提供「言問橋からのスカイツリー

6)介護施設での実習に向けて、まとめ
7)質疑応答
3.終了あいさつ 台東区研修担当の方より 連絡事項
16:30 講座終了

  講座の前半、全員の自己紹介では、参加された受講者の方には、受講したきっかけや、期待するものなどを紹介していただき、交流が図られていました。傾聴を学んでいる方が多いことが分かりました。特に、大武先生とほのぼの研究所の紹介として、講座翌日の2月9日に放送されたTBS「夢の扉+」の「楽しい会話でさらば!認知症」の予告動画の上映も行いました。

  4)共想法の実施手順では、介護老人保健施設マカベシルバーピアの動画上映を行いました。熱心に受講されていた受講者の中からは、「興味があるが遠慮がちな高齢者は、共想法に参加しているのか?」、といった、的確な質問が出ました。この質問には、実施者の永田さんが、「そのような方は、まず見学頂いて、入院などにより欠員が出た時に参加頂けるよう、工夫している」、と具体的にお答えしました。参加者が自然に引き込まれた1時間だったのではないでしょうか。

  講座後半の5) 共想法体験では、写真が持ってこなかった受講者も会話に参加できるように、その方に適した話題のタイミングのところで、入ってこられるように、振ってみられました。そのことで、見学から参加へと話の輪が広がりました。共想法は、実施者の対応の仕方によって、皆が参加して楽しめることを、体験を通して伝えました。共想法を行ってからは、参加者一人ひとりの存在をより意識し、打ち解けた雰囲気が流れだしたように感じられました。


共想法後の打ち解けた雰囲気

  6)介護施設での実習に向けて、以下のまとめがありました。
(1)共想法という、良く知らない方とでも会話をしやすくする方法がある。
(2)写真を使うと、良く知らない方とでもスムースに話をすることができる。
(3)共想法を活用(応用)して、実習やボランティア活動に役立てることができる。

  7)質疑応答のところでは、受講者の方から、「共想法で提供された話題に対する質問について、話題提供者以外の人が答えてもよいのか?」といった質問がだされました。それに対して、大武先生は、話題提供をみんなで会話を楽しむための「呼び水」に喩えた上で、「呼び水から、参加者の皆さんで話を膨らませながら会話を盛り上げて行くので、一つの話題に対し、できるだけ多くの参加者が発言するのがよい」ということでした。講座は、時間があっという間にすぎたように感じられたのではないでしょうか。閉講後も残られて、先生と質疑応答が続き、そこでも、とても意欲的な姿に出会えました。


講座風景

  即日、受講者の方から、話題の200字要旨が、研修担当の方からは、今回の研修に対する熱い思いが寄せられました。天候は厳しかった替わりに、得ることが多い出前講座を行うことができました。今回の講座が介護施設での実習にお役に立つようにと祈っております。

  ここで余談となりますが、講座のお話があった時、ほのぼの研究所は、初の試みとして、街歩きと組み合わせた共想法を、台東区浅草で開催する案を練っていたところでした。その台東区からの連絡でしたので、びっくりしました。星の巡り会わせでしょうか。その後、浅草ではなく、谷中で開催することができました。詳しくは、「谷中共想法 実施報告」をご参照下さい。

  報告の最後になりましたが、今回の講座を開催するにあたり、多大なご支援とご協力をくださいました、台東区教育委員会関係の方々に、ほのぼの研究所一同より心から感謝とお礼を申し上げます。

市民研究員 清水きよみ

ほのぼの研究所では、話題探しのコツを楽しみながら学ぶことを目的として、街歩きと共想法を組み合わせた新しい企画に取り組んでいます。初めての取り組みとして、台東区役所のご協力を得て、朝から昼過ぎにかけて台東区谷中を散策し、午後、谷中区民館で共想法を行いました。街歩きしたグループ毎に報告します。歩く速さにあわせて、「ゆっくりグループ」、「ぶらりグループ」、「健脚グループ」の3グループができました。今回は、「健脚グループ」からの実施報告です。

企画全体の報告については、谷中共想法 実施報告をご覧下さい。

実施日:2013.01.18(火) AM10:00〜PM16:30
参加者:男性6名、女性1名の7名
実施内容:
  私達健脚グループは、谷根千すべてを回ろうと、地図の縁をたどってみることにしました。
  
  AM10:00 日暮里駅を出発。谷中の案内板の前で自己紹介をビデオ撮影。
御殿坂を登り、夕焼けだんだんを下り、谷中銀座に入りました。


夕焼けだんだん



谷中銀座商店街入口

色々なお店を見ていると、時間のたつのが早かったです。早速おやつ兼朝食を買われた方もいたようです。
  AM10:50 谷中銀座を抜け、よみせ通りを左折すると饅頭屋がありました。
ここでおやつに、10円饅頭を買いました。


10円饅頭屋さん

笑吉の指人形を見て時計を見ると早11時を過ぎており、人形公演の見学は次の機会にして、団子坂を上り、森鴎外記念館に立ち寄りましたが、ここもじっくり見たら予定時間までに回り切れないことがわかっているので、中庭を通り抜けて塩見公園より根津神社を目指すことにしました。この塩見公園は、その昔はここから東京湾が見渡せ、船の出入りが見えたことからこの名がついたと、案内に書いてありました。それにしても平地の少ない坂ばかりの町でした。


森鴎外記念館


根津神社

  AM11:15 根津神社到着、本殿に参拝して本日の共想法に参加の皆様のご健康をお祈りし、池のカメさんの甲羅干しを見ながら、あかじ坂を登り次の大名時計博物館に向かいました。ここも中には入らずに、表にある勝山藩下屋敷跡の石碑を見て、路地を抜けて言問通りへと向かい、途中に幹回り約3M位ある大ヒマラヤスギの木を抱いたお家の前を通りました。


甲羅干しのカメ

  AM11:45 言問通りに面したカヤバ珈琲店を見つけ、昼食休憩をとることにしました。昼食は、A,B,C,Dのランチがあり、値段は、コーヒー付きで900円とリーズナブルでした。2階の和室でちゃぶ台を囲んでの食事もたいへんおいしかったです。


ランチタイム

路地の向いは、下町風俗資料館付設展示場(旧吉田屋酒店)になっており、古民家が残されていました。このお家も年代物の家でした。


旧吉田酒店

  PM12:20 カヤバ珈琲店を出て谷中で最後まで営業していたという銭湯の建屋を見て、築地塀のある観音寺に行き、塀を見ながら谷中区民会館へと向かいました。
到着は、PM1:00過ぎだったと記憶しています。
  途中休憩をはさみ3時間での谷根千散歩は、少し忙しかったようにも思います。ちなみに私の歩いた歩数は、約10,000歩でした。
  幼少の頃(6歳まで)ここ初音町に住んでいたというM.N.さんの案内が周到で、大変助かりました。M.N.さん有難うございました。

健脚グループリーダー 市民研究員 根岸勝壽

ほのぼの研究所では、話題探しのコツを楽しみながら学ぶことを目的として、街歩きと共想法を組み合わせた新しい企画に取り組んでいます。初めての取り組みとして、台東区役所のご協力を得て、朝から昼過ぎにかけて台東区谷中を散策し、午後、谷中区民館で共想法を行いました。街歩きしたグループ毎に報告します。歩く速さにあわせて、「ゆっくりグループ」、「ぶらりグループ」、「健脚グループ」の3グループができました。今回は、「ぶらりグループ」からの実施報告です。

企画全体の報告については、谷中共想法 実施報告をご覧下さい。

リーダー以下総勢7名の「ぶらりグループ」は、全員が女性でした。比較的年齢が低いため、下見をしてきた人、ネット検索した人などもおり、皆さん下準備にも積極的でした。そこで事前にご希望の場所を伺い、それをもとにして当日の下見をして緩やかなルートを決めました。


日暮里駅構内の案内地図

ぶらりグループは谷中銀座の見物を最後にして、夕やけだんだんの手前を左折し、初音小路、朝倉彫塑館、築地塀、すぺーす小倉屋、谷中小学校、指人形笑吉などを見て回りました。懐かしい風情の建物を眺めながら散歩をしていると、気持ちが落ちつくと同時に、自分の人生を辿っているような不思議な気分になりました。


夕やけだんだんの坂道

平成4年のまちかど賞に輝いた築地塀では、その意外な厚みに感嘆し、どうやって作ったのでしょうと不思議に思って調べてみると、万里の長城の作り方と近いようでした。


築地塀(ついじべい)

重厚な外観とは打って変わって華やぎを見せてくれたのは、すぺーす小倉屋の絵葉書とお雛様でした。絵葉書は館主のお母さんが生前描いたもので、お雛様だけは撮影許可がおりました。ここで見学している間に、数名が創業明治33年岡埜栄泉(おかのえいせん)の豆大福を買いに走り、お昼のデザートに皆さんで頂きました。


すぺーす小倉屋の雛壇

谷中は猫で有名な街で、半数が猫好きな班だったため、お土産も猫がらみのものが多くなりました。運よく谷中霊園や街なかでも猫に遭遇しましたが、人に慣れた猫が多いようでした。谷中公民館で実施された共想法では、寝転がった猫がのびのびする姿に、「これは本物ですか?」という質問が寄せられ愉快でした。


谷中で出会った猫



谷中堂の猫のおみくじ

谷中銀座で手に入れたお土産のねこのしっぽは、ユニークな形と模様が楽しいお菓子でした。


ねこのしっぽという御菓子

また小倉屋で買った絵本は、一人で見ているのがもったいないので、後日施設の高齢者と貼り絵をしました。女性達に大好評だったのは、言うまでもありません。


絵本を使った貼り絵

  公民館では、次の真壁共想法はいつですかと質問された方がいましたが、早速参加申し込みをされたそうです。このような楽しい機会を作って下さった、台東区の職員の方々にお礼を申し上げます。

ぶらりグループリーダー 市民研究員 永田映子

ほのぼの研究所では、話題探しのコツを楽しみながら学ぶことを目的として、街歩きと共想法を組み合わせた新しい企画に取り組んでいます。初めての取り組みとして、台東区役所のご協力を得て、朝から昼過ぎにかけて台東区谷中を散策し、午後、谷中区民館で共想法を行いました。街歩きしたグループ毎に報告します。今回は、「ゆっくりグループ」からの実施報告です。

企画全体の報告については、谷中共想法 実施報告をご覧下さい。

2014年(平成26年)1月18日10時JR日暮里駅北口(改札内)集合、ずっと気になっていた天気は、曇りのち晴れ少し寒いけれど穏やかな日でした。グループは女性6名です。「ゆっくりグループ」の名前のように、谷中界隈をゆっくりと散策しながら、午後から始まる共想法の写真を撮ります。


地図を片手に日暮里駅を出発するメンバー

散策コース:10:15日暮里駅西口出発 ― 御殿坂 ― 夕焼けだんだん ―岡倉天心記念公園 ― 蛍坂・築坂 ― 観音寺、築地塀 ― 初音小路 ― 朝倉彫塑館前 ― 11:10小さい路地のせんべい屋さん<お土産のせんべいを購入> ― 夕焼けだんだん ― 谷中銀座商店街<おみやげの焼かりんとう購入・あつあつのコロッケ立ち食い> ― 11:40よみせ通り商店街 ― 11:55谷中三崎坂商店街 ― 昼食・すしや ― 13:10指人形笑吉<店主より説明と指人形劇観賞> ― 谷中区民館着13:30(区民館にて、共想法開催)


人懐っこく毛並みのきれいな谷中の猫<夕焼けだんだんで>

谷中界隈散策に参加してよかった、一緒に歩けて楽しいとの感想が聴かれました。ゆっくりグループの中には健脚のかたも居りまして足を活かして沢山の写真を撮っては追いついて合流していました。


陽が射して古い築地塀が輝く<観音寺の東京都に一つだけ残る築地塀>

青空をバックに冬枯れの大銀杏がきれいです。初音小路の小さい路地に古い看板のおせんべい屋さんを見つけました。店の奥で息子さんがおせんべいを焼いていました。


初音小路の古い民家を撮るゆっくりグループの皆さん



店の奥が仕事場のおせんべいや

三崎坂のすし屋はアナゴ寿司が得意です。アナゴのように細長く狭い店です。2階に席を確保、ゆっくり座ってから注文、飛び入りの大武先生と研究員が加わり、総勢8人でテーブルを囲んで賑やかに昼食をいただきました。


昼食は握り寿司

昼食後に立ち寄った「指人形笑吉」の人形劇「笑い」「酔っ払い」は共におかしくて、面白くて見ごたえがありました。一人で左右の手に人形を持ち動作します。動きが細やかなのと、ツボを心得た両人形の動きに見とれました。人形は店主が粘土で表情豊かに顔を作り、人形の服は和服も洋服も、昔縫製業をしていた店主のお手製だそうです。古い街の片隅にある指人形店で、時間を忘れて見とれておりました。


指人形笑吉<店主より説明と指人形劇観賞>

昼食を除いて、出発から谷中区民館までTBSの取材が同行しておりました。グループ皆さんの晴れ晴れとした笑顔が記念に残ると思うと嬉しいような恥ずかしい気持ちです。


TBSの取材が同行

谷中区民館に着くと、グループ内で話し合い、共想法の割り当てと各自の写真を決めました。
 テーマ1(街並み):☆谷中の猫☆岡倉天心と水仙
 テーマ2(食事):☆昼食は握り寿司☆店構えが粋なうなぎや
 テーマ3(おやつ、お土産):☆店の奥が仕事場のおせんべいや☆指人形笑吉
写真の取り込みとほのぼのパネルへの入力はリーダーの作業でしたが、待機組の研究員と大武先生にお願いしてしまいました。区民館に30分早く帰れたらよかったと反省しました。

共想法は、健脚グループ、ぶらりグループ、ゆっくりグループが混ざって、テーマ毎に始まりました。
今日撮った余韻の残る写真が1分で説明され、2分で質疑です。参加した皆さんは、たとえご自身が行かなかった場所でも、自分が歩いた延長上にあるその写真の説明を、全く共有した気分ですっと受け入れて聞き、質問されます。答える方も構えることなく、自然の会話が成り立っています。会場の皆さんも身を乗り出して室内の空気が一体になっているのを感じました。

初めて企画された「谷中で共想法」は大盛会でした。健康作りをしながら脳が活性化される今回試作の共想法が、また一歩進化・前進します。

ゆっくりグループリーダー 市民研究員 田口良江

谷中共想法 実施報告

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ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
TasakiT 2014-2-9 8:00
  2014年1月18日(土)10:00-16:30、有名な観光スポット、谷中・根津・千駄木地区において、「谷中共想法」が開催されました。本部と共想法の会場は、谷中区民館でした。この企画は、高齢者の健康づくりのための話題発見の街歩きと、共想法を組み合わせた初の試みであり、その企画第一弾になりました。

  参加者は23名、NPO法人ほのぼの研究所、NPO法人きらりびとみやしろ、介護老人保健施設マカベシルバーピアの関係者、応募し共想法初体験の方数名でした。その他に、台東区教育委員会関係、TBSテレビの取材関係者を含めますと、総勢27名でした。
  今回の街歩きの工夫の1つ目は、参加者を4つに分けたグループ行動の形式でした。編成したグループは、「健脚グループ」7名(男性6名・女性1名)、「ゆっくりグループ」(女性6名)、「ぶらりグループ」(女性6名)と、会場づくりや共想法準備、本部の役目の仕事を受け持った「待機組」(男性2名・女性2名)でした。グループ編成は、誰もが無理なく行動できるよう配慮されていました。
  次に、工夫の2つ目としては、街歩きをする上での課題を設定したことです。その内容は、各参加者は3つのテーマ「街並み」、「食事」、「おみやげ・おやつ」に沿った話題を発見し、写真を撮ってくること、各グループ全体に対しては、みんなでお土産のおやつを買ってくること。現地で昼食をとり、谷中区民館に13:30に集合することでした。
  この日の天候は、日中、穏やかな日差しがやさしく注ぎ、参加者が一時この冬の寒さを忘れてしまうような「街歩き日和」でした。

以下、この日の活動の流れです。


集合場所 日暮里駅北口

10:00 参加者集合
  ・グル―プの各メンバーは、日暮里駅北口へ集合。グループリーダーからの出席確認、コース地図の配布、説明を受けた後、街歩きを開始しました。
  ・待機組は、会場準備と本部業務を開始しました。
12:00 昼食
  ・各グループ、現地でそれぞれ格好のお店を見つけて食事をしました。待機組の女性陣は、グループに合流し、ゆっくりグループと一緒に食事が出来ました。
  ・食後は、また街歩きをしながら会場へと向かいました。


谷中銀座 薬膳カレー料理店界隈

13:30 谷中区民館集合・グループ活動
  ・グループの共想法準備を行いました。どのテーマの回に、誰がどんな写真で話題提供するのか、互いにダブらないように話し合いで調整し、決定していきました。


話し合う健脚グループ

余った時間は、仲良くなった仲間と情報交換をしたり、会話を楽しんだり、お茶や休息の時間にも当てられていました。
  ・写真の取り込む係は、参加者の写真をパソコンに取り込み、さらに、使う写真を共想法支援システムに登録し、共想法の準備をしました。その日のうちに、限られた時間の中で、たくさんの写真を取り込むのは、熟練と集中を要す作業となりました。
  パソコンのトラブルも発生し、予定の時間より手間取りましたが、取り込みが無事に完了しました。


全員の写真を取り込む準備作業

15:00 共想法開始
街歩きに参加した19名全員は、1人1回、写真1枚、話題提供時間1分、質疑応答時間2分で、共想法を行いました。
1回目テーマ「街並み」は、健脚G3人、ぶらりG2人、ゆっくりG2人、
2回目テーマ「食事」は、健脚G2人、ぶらりG2人、ゆっくりG2人
3回目テーマ「おみやげ・おやつ」は、健脚G2人、ぶらりG2人、ゆっくりG2人
司会や記録操作は、待機組が担当しました。
共想法が始まると、それまでの会場の雰囲気が変わるほど、皆さんは集中し、どなたの話題の時も大変盛り上がりました。


街歩きを楽しんだ後の共想法

16:00 講評その他
  大武先生は、今回の企画と実施を総括し、次の第2弾企画「真壁のひなまつり共想法」の話へとつなげていました。
  台東区教育委員会生涯学習課・小林様から、後日コメントを頂きました。参加者の会話は話者交代がスムーズ、初対面の人も、旧知の友達のようだった。1枚の写真で深く理解した気分だった、とのことです。
(閉会・おやつ交換、片付け)
16:30 解散
  以上のような経過で、ほのぼの研究所の意欲的な初の企画を、無事、開催することが出来きました。話題発見支援と共想法の一日は、楽しい課題もあり、気軽に声を掛け合えて、大人の遠足に参加したように感じた方もおられたのではないでしょうか。
  報告の最後になりましたが、この企画にあたり、多大のご支援ご協力を下さいました、台東区教育委員会関係の方々に、ほのぼの研究所一同より、心から感謝とお礼を申し上げます。

市民研究員 清水きよみ

  2013年12月17日(火)に開催されたクリスマス講演会に先だって、クリスマスワークショップ「日本語の複雑さを評価する」が開催されました。以下、少し専門的な内容になりますが、NPO法人ほのぼの研究所の協賛行事として開催しましたので、ここにご報告します。

  2013年12月15日(日)10時より18時まで、千葉大学西千葉キャンパス自然科学系総合研究棟1 小会議室において、クリスマスワークショップを開催しました。主催は、科学技術振興機構「大規模会話データに基づく個別適合型認知活動支援」プロジェクト、共催は、「ことば工学研究会」、協賛は、NPO法人ほのぼの研究所です。


ホワイトボードを用いて言語特徴量を検討

  認知機能と相関があることが、英語では知られている言語特徴量である意味密度は、日本語に適用されていません。意味密度とは、文章に含まれる命題の数を単語の数で割った値を指します。言語学において、命題とは、主語と述語、修飾関係など、単語と単語の結合の数を表します。「ナン・スタディ」の中で、修道女が20歳代で出家する時に決意を表明するために書いた作文の意味密度を評価し、80歳代になった時の認知症発症率が相関することを明らかにしたのが、米国・カンザス大学教授のスーザン・ケンパー先生です。ワークショップの目的は、認知機能と相関があることが英語で知られている言語特徴量について、文法の異なる日本語でどのように評価すればよいかを、議論を通じて新たに考えることです。ホワイトボードを用いて、例文の言語特徴量を具体的に検討しました。

  ワークショップには、前日に開催したクリスマスセミナー参加者、講演者の一部に加え、九州大学、京都大学から、日帰りでの参加がありました。言語学、自然言語処理、ことば工学、回想法、アルツハイマー病、会話支援ロボットなど、異なる切り口から、言語と認知機能に興味がある研究者、学生11名が議論しました。


会場の様子

  ワークショップでは、午前中、ケンパー先生に「Analyzing language and assessing complexity(言葉を分析し複雑さを評価する)」と題して、意味密度を始めとする、認知機能と相関のある言語特徴量を幅広く解説して頂きました。

  昼食をはさんで午後は、まず、報告者であり本ワークショップを企画した、千葉大学准教授の大武美保子が「Survey on Idea Density(意味密度に関する調査)」について報告しました。意味密度解析に関する論文や、英語の文章の意味密度を自動解析するソフトウエアCPIDR、意味密度解析のマニュアルを紹介しました。


英語例文とその意味密度解析を基に議論

  次に、千葉大学大武研究室修士一年の永松剛太が、「Idea Density(意味密度)」と題したスライドで、意味密度解析のマニュアルの英語例文とその意味密度解析を一つずつ示し、日本語の同内容の文章を意味密度解析する方法について議論しました。

  意味密度の計算において、主語と述語、修飾関係など、単語と単語の結合の数を表す命題の数は、ほぼ一意に数えることができます。一方、単語の数は、どこを一単語と数えるか、区切り方によって大きく変わります。その部分がなくなった時に意味が分かる単位で区切るとよい、日本語の文法構造に合せた規則を策定するとよい、という提案を頂きました。当初は、日本語の文章を英訳した上で、意味密度を計測することを考えていました。しかし、翻訳の仕方により意味密度が変わってしまい、意味密度を保存したまま翻訳をすることが困難であることが分かりました。異なる言語同士の意味密度を比較することはできないが、同一言語の中で、意味密度の個人差や、認知機能との相関、同一人物の時間的変化は、可能であるとの結論に達しました。

千葉大学・NPO法人ほのぼの研究所
大武美保子

長崎北病院共想法

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ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
TaguchiY 2014-1-12 8:00
 長崎県西彼杵郡時津町の社会医療法人春回会長崎北病院では、2010年10月から、認知症患者を対象とした『脳リハビリ外来』にて、共想法を実施しています。


共想法に参加する患者さんとスタッフ

 メンバーの編成を経て、現在は毎週水曜日に、男性1名、女性3名、70代から80代の方が参加されています。対象となる方は全て認知症を患っている方々です。認知症の方にとって覚えておくことは困難なことであり、話をしていても言葉を思い出せないことがしばしば起こるため、苦手意識から会話が得意ではありません。そのため、当院では写真を撮影することをプログラムとして組み込むなど,様々な創意工夫を重ねてきました。同じ時間、同じ場所、同じメンバーで継続的に行うことにより、皆さんの中に仲間意識が芽生え、共想法の意味や実施方法などを覚えておくことが出来るようになりました。そして、苦手であった会話そのものを楽しむようになり、共想法を待ち遠しく感じている方もいます。共想法は,認知症の方にとって難しい側面もありますが、それぞれに合った工夫をすることで実施することは十分可能です。ルールが明確である共想法だからこそ、参加者皆さんが充実した時間を過ごすことができ、脳へのよい刺激になっていると思っています。

長崎北病院共想法担当:小僕了辧Πて醉希江・岩下利沙

2013年ほのぼの研究所クリスマス講演会

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ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NegishiK 2013-12-29 8:10
  2013年12月17日(火)13時30分より、千葉大学柏の葉キャンパスシーズホールにおいて、恒例の『ほのぼの研究所クリスマス講演会・交流会』が開催されました。講演会112名、交流会65名と、多数の方々に積極的にご参加頂くことができました。師走の半ば過ぎの開催は懸念材料のひとつでしたが、参加お申し込みは猛烈にラストスパートをかけました。仲間に声をかけて一緒に参加するなど、この機会を一人でも多くの方と共有できるよう、働きかけて下さった皆様に、感謝申し上げます。

  「ことばの力で老化に強い脳をつくる」という、時流のニーズにマッチしたテーマの魅力も奏功したのでしょうか、ちょっぴりクリスマス色に染まった開演前の会場は、期待感と穏やかな熱気に包まれていました。
  代表理事の大武先生の開会挨拶に続いて、来賓挨拶を頂きました。千葉大学大学院工学研究科長:北村彰英先生の、大きなエールを込めたご挨拶も、女性研究者として極めてポジティブな研究姿勢に期待を寄せて下さった情報・システム研究機構理事、郷通子先生のご挨拶も、大武先生、ほのぼの研究所の背中を強く押して下さる、心温まるものでした。


来賓挨拶の北村先生



来賓挨拶の郷先生

  最初は、この日のためにアメリカ、カンザス大学からお招きした「言葉と老化の関係」研究の第一人者である、スーザン・ケンパー先生の「ことばの一生」(一生を通じて会話を楽しむために)の講演です。


講演するケンパー先生

  私たちが正しく理解しているつもりの、特に認知機能の衰えが顕著になる80歳代、90歳代の高齢者の気持ちや立場、心身の機能への認識、そして正しく実践しているつもりの彼らとの接し方について、様々な調査・研究から導き出された、沢山の提案・助言をいただきました。それらは、既存の認識や概念を無意識に踏襲し、日々に流されて、おざなりになりがちだった、老親と接する機会の多い報告者にとって、原点に立ち戻り、見直す機会を提供する意義深いものでした。


講演会場風景

  講演は、高齢者とよい関係を保つためには、何よりもよりよいコミュニケーションを図ることが大切との話から始まりました。そのためには、彼らの特徴や立場を理解して、良いイメージを持った上で、認知機能の変化に配慮した話し方をすることが効果的です。具体的な工夫として、次のようなものが挙げられました:「わかりやすく言い換える」「繰り返す」「単純な構文で話す」「一度に複数のことをいわない」「具体的な言葉を使う」「考えを聞く開かれた質問をする」「単語が思い出せずに探している時、音や意味が似た単語をヒントに出す」。この他、言葉以外の工夫も添えて、お互いが集中して対等に向き合う環境づくりが必要である、という大きな助言で締めくくられました。
  気さくなお人柄とお見受けしたケンパー先生と、名通訳のロボット:ぼのちゃんとの初共演は、張り詰めた緊張感がありつつも、絶妙に感じられました。日本人聴衆へのご配慮もあったと思いますが、高齢者ばかりでなく、すべての世代とよりよいコミュニケーションを図るためのお手本となるような、程よいスピードの、丁寧ではっきりした心に染み入る語り口でした。テーマはもとより、ロボットの通訳つき英語での講演という、魅力的企画にひかれて参加された方々も、十分に満足、納得されたことと確信しました。

  続く基調講演は、大武先生の「100歳の美しい脳に学ぶ」です。まずは、ケンパー先生の研究成果が記された書籍『100歳の美しい脳』(Aging With GRACE)との出会いと、この度の講演会に至るまでのケンパー先生への積極的アプローチが熱っぽく語られました。ケンパー先生の研究成果とは、修道女達が修道院に入る前に書いた短い自伝の「意味密度」と、高齢になってからの彼女達の「認知機能」とに相関があるというものです。


基調講演する大武先生

  英語おいて認知機能との関係が示された、意味密度や発話速度等の尺度を、日本語に当てはめるのには、言語学的にかなりの困難や課題があります。この課題を解決する方法について、ケンパー先生から、有意義なヒントやアドバイスを頂いたエピソードも紹介されました。例えば、同一人物の若年期と高齢期の言語能力の比較であれば、言語が異なっても可能ではないか、といったことです。
  そして、「防げる認知症」予防のための会話訓練としての共想法の開発経緯やメソッド、現時点での効果、ケンパー先生の講演内容との関係、ほのぼの研究所の活動が紹介されました。最後に、千葉大学での臨床試験の計画、来年早々の企画「谷中で共想法」を含めた、今後の方向性の披露となりました。

  研究所メンバーの熱い思いが通じたのでしょう、講演終了後間もなく、交流会飛び入り参加、さらには谷中のイベント参加のお申し込みもいただくことになり、一同、今後の活動継続への意義を改めて噛みしめたことでした。

市民研究員 長久秀子