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ほの研ブログ - 行事カテゴリのエントリ

 2020年4月20日、2019年度ほのぼの研究所合同研修を開催しました。これは、毎年1回、共想法実施者が、通期の行動で得られた知見を持ち寄り、相互に確認し、次期の展望や行動の方針の参考とするために行われているものです。

 2019年度はCOVID-19感染拡大のため、活動そのものや、使用施設の使用が大幅に制限されたため、開催予定3月17日から約1カ月日延べして、オンラインシステムを活用して実施しました。初めての経験のため、理化学研究所の実施者により事前に各自のIT環境や手順等の確認作業を行ったため、当日は大武所長・代表理事をはじめ、三宅徳久副代表理事、小暮純生理化学研究所技術経営顧問、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、「お江戸共想法」の実施者、理化学研究所の実施者、そして市民研究員の総勢22名が、オンライン時間延べ4時間にわたって無事参加することができました。


オンライン合同研修参加者画面

 大武所長の開会挨拶で始まり、下記の順で2019年度の活動報告と、2020年度の方針に関する発表がありました。各担当者が10分間の持ち時間で発表をする間は、事前に提出した資料が画面に映し出されました。以下、発表を順に紹介いたします。※氏名後(S)は発表者

【協働事業者 きらびとみやしろ】

野口宗昭市民研究員・田崎誉代市民研究員(S)

 9年目に入った健常高齢者を対象にした共想法は、2人の新スタッフと共に、共想法の効果を定着させるために、事後に写真の確認をし合ったり、200字要旨の本来の意味を再確認したりと、工夫を重ねていることが報告されました。また、参加者の加齢に伴う問題点や、共想法操作機器、事業者の諸般の事情に伴って発生した課題とその解決方法、そして今後の展望が述べられました。
 最後に「共想法の実施に大事なこと」として挙げられた「誰もが無理をせず、とも危機管理につとめながら、思いやりを忘れずに、次回も快く参加できるため、楽しい雰囲気づくりに努めること」という結論は正に「言うは易し、行うは難し」、大いに納得したのでした。

【協働事業者 マカべシルバートピア】

永田映子市民研究員(S)

 2011年11月のスタートから8年が経過した共想法について、介護老人保健施設という特性上、参加者の多くが90歳以上で、加齢に伴う体調・認知機能低下が進む中、参加者に、楽しく、負担なく参加していただけるよう、テーマや実施方法、サポート方法にきめ細かい工夫を施して、継続実施している努力と、実施者としての自己管理の必要性が述べられました。超高齢社会において、早晩どこの拠点でも起こり得る課題であるため、努力に敬服するとともに、今後の貴重な情報として大変参考になりました。

【協働事業者 有限会社野花ヘルスプロモート】「共想法〜 Cocofit ver〜」

正木慎三・篠倉拓(S)

 Cocofitはメンタル不調で休職・離職あるいは自宅療養中や、不安や焦りから欠勤が増えた等で悩んでいる人を対象にした「こころと行動を支える施設」として、野花ヘルスプロモートが運営する施設。2020年1月にそこの利用者への支援プログラムとして「共想法」を取り入れるに至った目的や準備、初回実施に至るまでのプロセスが説明されました。併せて、参加者の「冬を感じるもの」をテーマにした大変美しい写真とほのぼのとした話題の幾つかも紹介されました。
 なお、これまで共想法を認知症予防以外にも活用する研究事例武先生から伺ったことはありましたが、今後Cocofitでの共想法からも参考になる新しい知見を得られそうで、大変興味深く思いました。

合同研修会資料1

【お江戸共想法】

斉藤千鶴子(S)・今城悦子・沖桂子・山藤千賀子

 お江戸共想法開催に至るまでの誕生「秘話」に続き、2019年度の実験参加者である新しいメンバーを加えての2年目の実践の様子を詳細に解説しました。理研のスタッフのサポートを受けながら、発足から携わっている共想法に熱い思いを持つ参加者でもある実施メンバーが、共想法参加の意義:「認知機能を高めること」を懸命に周知徹底させ、情報を共有しながら、積極的参加を継続させるために、様々な工夫をこらしていることが紹介され、参考になるアイデアも伺うことができました。
 報告の最後に、今年度の念願のひとつに挙げられた「街歩き共想法」は、拠点の柏でも久しく実施していないだけに、世の中が落ち着いた折りには、できれば合同で実施し、さらに交流を深め、切磋琢磨することができればと思いました。
           
【ほのぼの研究所 共想法継続コース】

田口良江市民研究員(S)・根岸勝壽市民研究員(S)

 
 実績として、第一に2018年度から始まった2本立て体制、すなわち、柏市の認知症予防講座修了者や、講演会などで興味を持った方々を受け入れ、途中からでも参加可能な初心者グループと、長年共想法をしている経験豊かなグループとが、異なるテーマに沿って行う進め方が定着したこと、そして、司会ロボットぼのちゃん5号にも慣れてきたこと、第二に、企業をはじめとする見学者が増加傾向であるも、さまざまな属性の方々のやみくもな参加を避けるため、ステップを踏む丁寧なルールに則っていること、そして第三に、昨年度に引き続く頭の健康チェックにも参加者が増えたことを述べました。また、年々難易度の上がるテーマにも果敢に取り組み、常に生活の質の向上に努力を惜しまない経験豊かなメンバーへ感謝するとともに、快く参加を継続できるよう、欠席者宛ての密なコミュニケーションを図るなど、啓発しあい、フラットな信頼関係を築くように努めている旨が報告されました。
 最後に、司会ロボットぼのちゃん5号のソフト・ハード両面での使い勝手についての改善要望が出されました。なお、蛇足ですが、市民研究員の誰もが司会ロボットの操作を完全マスターするべく、鬼?の特訓を重ねていることを付け加えさせていただきます。

【ほのぼの研究所 柏市認知症予防講座】

「柏市認知症予防コミュニケーション体験講座『今から始める認知症予防』」

松村光輝市民研究員(S)・魚谷茜市民研究員

 はじめに、単に認知症予防について学ぶだけでなく、認知症予防と共想法の関係について体験を通して理解を深めていただき、終了生の受け皿として設定されている共想法継続コースに参加し、さらに認知予防に積極的に取り組んでいただくとした企画の目途が述べられました。6月〜7月の3回の講座には認知症予防に関する意識の高まり、あるいはテーマのコピーに惹かれてか、『広報かしわ』やチラシの広域配布なども奏功して、定員をはるかに上回る応募者があり、60〜80歳代以上の30余名に受講いただき、3日間皆勤の方が14名ありました。事前に共想法用の写真をスマホ等で送ることのできる方も大幅に増加。また、共想法参加体験で、会場からも質問を受け付ける形式をとったり、200字要旨の記入の体験等、参加意識を高めた講座内容が好評で、受講生のうち3名が共想法継続コースへご参加下さるという、果たして2016年からの講座結果を踏まえた試行錯誤を経た嬉しい報告となりました。

合同研修会資料2

【ほのぼの研究所 講演会等普及活動】

鈴木晃市民研究員・長久秀子市民研究員(S)

 市民活動フェスタ2019「認知機能を見てみよう」出展、恒例のNPO法人設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」、初の試みであった設立記念講演会ビデオ観賞会と、異なる形態の普及活動企画の実施報告と、これまでの企画実施から得られた課題・仮設の検証結果を説明しました。
 2019年度に最も寄与したのは、「今からなら間に合う!」というキャッチ―なタイトルと、ニーズの高い情報を、大変わかりやすく解説して下さる講話テクニックに優れた、高名な島田裕之先生に講師にご登壇いただいた設立記念講演会であり、その後の講演会ビデオ観賞会の成功にもつながったこと、来場ターゲットの精査が及ばずも、柏市民活動フェスタではCogEvoを使った認知機能を見てみる体験者を呼び込み、他出展者との繋がりの端緒ができたと述べました。
 以上の3つの企画を通して、課題解消度が上がり、賛助会員入会・継続増加につながるという結果が導かれるも、さらに今後もターゲットのニーズに合った企画を目指してアンテナを張り巡らし、タイミングよく丁寧な集客(募集)や情報提供に努めて、より効果的な普及活動につなげたいと結びました。

【ほのぼの研究所 動画制作】

根岸勝壽市民研究員(S)・長久秀子市民研究員

 2019年度太陽生命厚生事業団社会福祉助成事業として採択された「認知症予防の啓蒙と認知症予防手法の実践、普及活動に使用する動画資料、小冊子作成」事業のメインとなる「ほのぼの研究所PR動画制作」を説明。8年前に専門家に委ねて制作した既存版と併用し得るよう、その後の知見を盛り込み、ほのぼの研究所の存在や活動をわかりやすくアピールするために、市民研究員の意見を反映、さらに継続コース参加者の友情出演の協力を得て、専門家とコ・ワークした制作過程について述べました。
 また併せて取り組んだ改訂ほのぼの研究所の紹介パンフレットについても紹介しました。

合同研修会資料3

【企業連携】「共想法の社会展開に関する活動概況」

小暮純生 理化学研究所技術経営顧問

 残念ながら、どれもがCOVID-19感染拡大の影響を受けて、実施に変更や遅延が生じていますが、飲料メーカーとの共同研究、和光市との「在宅高齢者の認知機能脆弱化予知予防研究」、損害保険会社研究所との連携、生命保険会社との意見交換並びに情報交換の進捗状況の報告がありました。

【2019年度のまとめと2020年度方針】 
 以上の各発表を踏まえ、大武美保子代表理事・所長より、2019年の活動総括並びに2020年度の方針が示されました。

 まず、ほのぼの研究所の5つの事業(実施・普及・支援・育成・研究)を軸に、2019年度のモットー「続けつつ、やり方を変える 効果的に」に沿って実施した活動の進捗報告がありました。
 次いで、2020年は活動を通じての基本概念を「長持ちする脳の使い方を生活の中で実践する」ことと明文化し、COVID-19の治療薬やワクチンが確立するまでは、集合活動はできないことを前提として「目的に即して新しいやり方を考えて実践すること」をモットーに活動するとし、5つの事業それぞれの具体的活動案が多く示されました。

 これらの事業・活動の継続、試行のためには、新しいIT技術や方法の習得、習熟を含めて、相応の気力、体力、時間が必要だと実感しました。しかしながら、しばらくはCOVID-19と共存しなければならない日々が続くとして新しい生活様式が求められる中、ほのぼの研究所の新しい活動様式として、受け止め、構築していかなければと、士気を喚起されたのでした。

 限られた時間の中、例年のような侃々諤々の質疑応答は叶わなかったのは少々残念でしたが、かわりに各参加者が一言ずつ初オンライン合同研修会の感想を述べました。トレンドであるオンラインミーティングに参加、知見と情報の共有・確認が叶ったことについては勿論ですが、それ以上に久方ぶりにお互いが元気な様子を画面上で確認できた喜びの声もたくさん寄せられました。最後に集合写真を撮影して、初オンライン合同研修はお開きとなりました。

市民研究員 長久秀子

「お江戸共想法」 スタートから1年

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NegishiK 2020-2-2 8:00
  2018年暑い夏の3カ月間の共想法参加は、私たちにとって大変意義ある体験となりました。この体験の余韻が残る11月、大武先生の助言をいただきながら、月1回13時30分から15時30分の2時間、共想法に継続して参加するグループへの応募を、共想法体験者に呼びかけました。果たして12名が集まりました。そして、大武先生、理研のスタッフの方々のご指導、サポートをいただきながら、同年12月、日本橋にある理化学研究所(以下理研)の一室をお借りして、第一回目をスタート致しました。グループ名は、意見を出しあい、発足の地お江戸日本橋にちなんで、「お江戸共想法」としました。

お江戸共想法実施風景

 第1回のテーマは「私の好きな色」としました。夏の共想法体験とは違った、12名3グループのメンバー構成を毎回変えること、個々の写真の説明と、質疑応答を写真1枚につき1分間で行い、参加したグループの会話については、フェイススケールと写真当てクイズ、参加しなかったグループの会話については、会場からの質問と聞き取り確認を行う、という進め方には、最初は戸惑いましたが、徐々に慣れてきました。現在、よりよい運営方法については、まだまだ模索中です。

テーマ「江戸をイメージさせるもの」
 築地波除神社の獅子殿

 この進め方に慣れてきたメンバーのひとりで、皆勤参加者のTさんから発せられた「毎回の ″テーマ“ってホントに難しいよね。ホントに悩むよね。」 の一言が、「共想法」の研究の狙いのひとつでは、と思っています。日々頭を使って悩むことが、脳を刺激し、鍛える手段でもあるのです。
 11回目からは、2019年度体験者からの新しいお仲間が増え少し雰囲気も変わってきました。今後も、「話す」「見る」「聴く」「考える」を楽しく実施することを続けていきたいと思っております。また、大武先生も述べられた、「お江戸共想法」の1日も早い「自立」を目指すべく精進しなければと思っています。 

お江戸共想法実施参加者 齋藤 千鶴子

 2019年11月5日(火)13:30より、千葉県柏市の文化・交流複合施設パレット柏の多目的スペースAにて、「今からなら間に合う!認知症予防」講演会ビデオ観賞会を開催いたしました。これはさる7月5日(金)に同市柏の葉のさわやかちば県民プラザで開催した、ほのぼの研究所設立11周年記念講演会のビデオ記録を観賞していただくという、弊所では初めての「ビデオ観賞会」開催の試みでした。

講演会ビデオ観賞会のチラシ

 実は、当該講演会は喫緊の課題である認知症発症者の増加につれて、予防への関心の高まる中、テーマの「今からなら間に合う!認知症予防」の文言がご興味を抱いていただける契機になったとも思われること、また「コグニサイズ」の普及にもご尽力のマスコミでもお馴染みの国立長寿医療研究センターの島田裕之先生がご登壇ということで、皆様のご期待も大きかったとみえ、お申込みが締切りを待たずに会場定員をオーバー、勢い当日飛び入りお申込みの方々をお断りするという申し訳ない事態も発生いたしました。
 果たして、大変喜ばしいことに、参加の皆様からは、島田裕之先生と大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の2人の認知症予防研究者の講話・対談の内容がタイムリーかつ大変わかりやすく、彼らの認知症予防にかける熱意が、認知症予防の必要性ややる気を喚起させたとして、ご好評もいただきました。そのため、当日ご参加が叶わなかった賛助会員をはじめとして、さらにより多くの方々とこの講演会の知見をぜひ共有させていただきたいと、企画した次第です。

 柏駅至近というパレット柏のアクセスの良さも奏功したのでしょうか、連休明けのおだやかな小春日和の昼下がり、都内、近県から、また当日お申込みを含めて、会場がいっぱいになる40名近い参加者をお迎えすることができました。

設立記念講演会ビデオ冒頭画面

 事務局の開会の挨拶と開催趣旨の説明に続き、先ず講演会1日のダイジェスト版ビデオにて概要をお伝えした後、早速島田裕之先生の「自分で行う認知症予防の方法〜この30年間の研究から見えてきたこと〜」の講話放映を開始しました。まず、現段階では認知症予防の薬物療法が未開発の中、認知症予防とは認知症発症を抑えるのではなく、(1)認知症発症遅延と(2)重症化遅延であることを述べられました。そして、ご自身の、またグローバルな研究データを駆使しながらの、複雑で難しい現状や認知症発症の実態、認知症予防に関する研究成果などの大変わかりやすい解説が進むにつれ、講話に引き込まれ、大きくうなずいたり、熱心にメモをなさる参加者が多くいらっしゃいました。

島田裕之先生の招待講演画面

 さらに、後半に島田先生ご所属の国立長寿医療研究センターが開発、普及に務められている運動と頭の体操を組み合わせた認知症予防手法「コグニサイズ」の初歩を会場の参加者と体験した場面になると、期せずして、ご参加の皆様全員が一斉に先生の指示に従って身体を動かし、声を出して体験して下さいました。画面と観賞会場の一体感に驚かされるとともに、何より思いがけないことでしたので、大変感激したことでした。

画面の島田裕之先生の指示に従って、コグニサイズをみんなで体験

 休憩を挟んで、大武所長が「頭の健康チェックのすすめ」と題した講話を行い、加齢による認知機能の低下は生活の仕方や脳血管系疾病の有無によって異なるが、その低下の傾きを緩やかにすることが予防の課題であるとし、血圧や体重と同様、加齢により低下する骨量、そして認知機能を測ることにより、自身の状態を知る勇気を持ち予防すべきだと述べました。またほのぼの研究所の設立の経緯を始め、活動の特長、内容、認知症予防の要点、そして認知症予防手法「共想法」について紹介しました。

大武所長の「頭の健康チェックのすすめ」の講話

 その後、島田先生、大武所長の2人の認知症予防研究者の熱い対談の様子をビデオでご覧いただき、島田先生から認知症予防のモチベーションを保つための秘訣を伝授していただいた後、「誰もが認知症は怖い。が、むやみに怖がることはやめて、一歩踏み出して認知症予防をすることが大事、認知症予防の怖さを忘れるほどアクティブに活動して下さい」というエールをいただき、ビデオ観賞は終了いたしました。

 最後に全員に、簡単な自己紹介と感想を披露していただきました。2時間強の短い時間でしたが、会場には画面を通して知見を共有したことで、和やかな雰囲気が生まれたようで、「次週の共想法継続コースを見学します!」という積極的なお声をはじめ、嬉しい評価やざっくばらんなホンネ、そしてこれからの認知症予防への意気込みなど、様々なお声を伺うことができました。
 その中で、ほのぼの研究所設立当初から講演会にほぼ欠かさずご参加・ご協力をいただいている賛助会員の方からいただいた「この講演会ビデオを拝見して、認知症予防がようやく政府が本格的に課題として取り上げるようになり、世界的に連携した調査研究にまで進んできたことを確認できました。時代が動いてきたと実感できて、感慨深いものがあります」との静かで凛としたお言葉には、長年のほのぼの研究所へのご支援への深い感謝の念を感じるとともに、心に深く浸みるものがありました。

 熱心な観賞中のご様子、そして終会後もしばらくご参加の方々との大武所長や市民研究員との歓談の輪が広がって行くのを目の当たりにして、初めての講演会ビデオ観賞会を実施したことに、ささやかな達成感を感じることができました。
 ここに改めて、お忙しい中貴重な時間をさいてご参加下さいました皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

(市民研究員 鈴木晃・長久秀子)

 2019年10月10日(木)13:30から千葉県松戸市のあいおいニッセイ同和損保松戸支社の会議室において、MS&ADインターリスク総研とNPO法人ほのぼの研究所共催による、「今からはじめる認知症予防」〜安全なカーライフを続けるために〜をテーマの、講演会・体験会を開催いたしました。

 あいおいニッセイ同和損保の保険代理店6社を含む関係者25名、MS&ADインターリスク総研の杉澤昇様、中井大介様、理化学研究所小暮純生先生、ほのぼの研究所大武美保子所長他3名が参加いたしました。

 はじめに、MS&ADインターリスク総研基礎研究本部シニア研究員杉澤昇様が、認知症発症者が交通事故を起こすケースが増えていることに触れ、会話を切り口に認知症予防を研究している大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長、理化学研究所チームリーダーを紹介しました。
 大武所長は祖母が認知症になったこと、専門は工学であるも、機械はどんどん進歩するが、人間の頭がどんどん衰えていくことを防ぎたいと、研究の動機と抱負を語りました。そして、損保関係の方にも理解しやすいように、車を例にとり、車が丁寧に使えば長持ちするのと同じように頭も丁寧に使えば長持ちするという考えから、頭が長持ちする使い方を研究していると述べました。そして、ほのぼの研究所は研究に参加した被験者の中で、予防に興味を抱いた人が共に活動している、参加型の研究組織であること、参加した理化学研究所の技術開発顧問の小暮先生と市民研究員を紹介しました。

大武代表理事・所長の「頭の健康チェックのすすめ」の講話

  認知症になりにくい暮らし方として「ふれあい共想法」をビデオで紹介しました。何を話そうか―写真を撮る―話す―会話の輪を拡げる―どう伝えようか考える―質問する―思いを共有する―普通の会話と違ってテーマを決める、など、共想法の特徴と効用についての話を展開、「考えることを避けない生活を送ること」が認知機能が下がりにくい生活のポイントであると述べました。さらに、一見当たり前に見えるものの、認知症を発症するとできなくなってしまう行動の事例を挙げ、共想法に定期的に参加することで、認知機能低下の底上げを図ることができることを具体的に解説しました。
 最後に「頭の健康チェックのすすめ」として骨粗しょう症有病率同様、認知症有病率は、加齢と共に上昇すると述べました。80歳代後半には40%、90歳代前半では60%と、加齢に伴う認知機能の低下は、現時点では避けられないものの、「頭の健康チェック」をする=「自分の認知機能を知る勇気」を持ち知ることを契機に、低い場合は訓練により機能が低下しないように努めることにつなげられるため、重要であると締め括りました。 

 次いで、MS&ADインターリスク総研上席コンサルタントで、認知症予防専門士資格をお持ちの中川大介様より、「高齢者安全運転検査」についての説明がありました。まず、加齢に伴い、認知機能が低下することはやむを得ないこと、現段階では認知症の薬物療法が確立していないこと、また近年高齢に起因する交通事故が増加していることから、認知症発症前の予防の重要性は高まっているという背景を述べられました。そして、運転免許更新時の認知機能検査を嫌い、免許を返納する人が増えていること、高齢者の交通事故が認知機能と身体機能の低下に起因する単独事故が多いという現実を踏まえた、高齢者に「いつまでも安全運転を支援するサービス」:「安全運転支援メニュー」の開発経緯が述べられました。
 MCI(軽度認知症)の段階で改善に取り組めば、正常に戻れるチャンスがあるので、スクリーニングで認知機能と身体機能の度合いを数値化して、危険要素の自覚を促し、MCIや認知症の疑いがある人を早期に発見することが、事故を防ぐことにつながると、認知症の早期発見と予防の必要性を強調されました。

中山大介様の「高齢者安全運転検査」についての講話

 お二人の講話の後、体験会に移りました。
 共想法には6名の損保関係者が体験され、「好きなものごと」をテーマに、「俳優 岡田准一」「お茶 綾鷹」「自社ビル」「柏レイソルのマーク」「国会中継」「一万円札紙幣一千万円分」など、ユニークな写真が持ち寄られました。若い方が多く、共想法にすぐになじまれて、笑いが絶えず、大盛り上がりでした。

若い世代も交えて、大盛り上がりの共想法体験

 もう一方では、運転適性診断と物忘れ相談プログラムにも挑戦しました。運転適性検査ではアクセルチェッカーでアクセルを踏み続けて、サインがでたら、すばやく、正確に、むらなく、アクセルを離すことをチェックしました。数値化された結果を見て、「納得!」といったお顔をされていました。

物忘れ相談プログラムを体験

 参加者の中には、認知症予防ということで興味を持っていただけたのか、ご自身のお母様とそのお友達を誘って下さった方もあり、総勢30余名和やかな雰囲気の中、無事終了することができました。
 開催に当たり、お骨折り下さったMD&ADインターリスク総研、並びにお忙しい中、貴重な時間をさいて下さったあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

(市民研究員 松村光輝・魚谷茜)

2019年ほのぼの研究所設立記念講演会

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2019-7-28 8:00
 2019年7月5日(金)13時30分より、柏市柏の葉のさわやかちば県民プラザ大研修室にて、「今からなら間に合う!認知症予防」〜充実した真の健康長寿を目指すために〜をテーマに、ほのぼの研究所設立記念講演会を開催いたしました。愛知県からお招きした国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長 島田裕之先生の講話や『コグニサイズ』への関心のある方、また「今からなら間に合う!」のフレーズに敏感に反応された認知症予防に関心の高い方が多かったのでしょうか、お申込みは早々に定員に達し、当日は雨の心配もある生憎の曇り空でしたが、120余名の参加者で会場は埋め尽くされました。

 大武所長の開会挨拶に続き、さわやかちば県民プラザ 内藤 正寿所長より、ご来賓の挨拶を頂きました。発表されたばかりの認知症施策推進大綱について触れられ、認知症予防に取り組む講師やほのぼの研究所への激励と期待、そして人生100年時代における生涯学習実践の重要性を述べられました。次いで、MS&ADインタリスク総研の杉澤 登様より、法人賛助会員となられた経緯と、『共想法』への大きな期待を込めたご挨拶をいただきました。
 

ご来賓の内藤正寿さわやかちば県民プラザ所長
 

ご来賓のMS&ADインタリスク総研 杉澤 登様
 
  招待講演の島田裕之先生の講話のテーマは「自分で行う認知症予防の方法―この30年間の研究から見えてきたこと」。認知症の発症要因から予防まで、多様な興味深い研究データや研究プロセス、動向を織り交ぜながら、詳細な内容を大変わかりやすく解説して下さいました。

招待講演の国立長寿医療研究センター島田裕之先生
 

 最初に、現時点での予防とは、認知症を完全に抑えたり、治すということではなく、(1)認知症の発症を数年遅らせる(発症遅延)(2)認知症を発症しても悪化を遅らせること(重症化予防)であると定義されました。早期・軽症のMCI(軽度認知障害)への予防の取り組みで、4人に1人が健常の状態に回復した研究結果があることを踏まえて、できるだけ早期に自分の異状に気付き(認知機能検査・脳ドック等)予防策を講じることが重要だと説かれました。そして、予防に効果的とされるものは多数あるも、運動、生活習慣病管理、脳を鍛える、社会的交流が特に効果的であることも。そして、最も悪い要因とされる生活習慣:身体的不活動(運動不足)を改善するばかりか、認知機能を改善するとともに、脳にも良い作用のある方法として、所属の国立長寿医療研究センターが開発した『コグニサイズ』を紹介して下さいました。最後に参加者全員で初歩とはいえ、初心者には徐々に手こずってしまうコグニサイズを幾つか体験しました。果たして、今から!認知症予防を取り組もうと決めた参加者の心ばかりか、身体までが程よく熱くなったのでした。 

会場全員でコグニサイズを体験、うーん、意外と〜
 
 大武美保子 ほのぼの研究所代表理事・所長、理化学研究所チームリーダーの基調講演は「頭の健康チェックのすすめ」。加齢とともに低下する認知機能は、個人、脳血管系疾患発症の有無や生活の仕方等で異なるも、その傾きをいかに緩めるかが全ての人の課題であると述べました。認知症予防のためには、島田先生が異状に気付く-早期に検査を受けることを勧められたように、自分の今の認知機能を知る勇気が重要であると強調しました。そのためには血圧や体重を測るように、認知機能を測り、予防に向き合うべきだと述べました。併せて、認知機能と同じようなカーブをより早期から描く骨密度の計測も、特に女性参加者に勧めました。

 基調講演の大武代表理事・所長
 
 10分の休憩を挟んで島田先生と大武所長の「今からなら間に合う!認知症予防」と題した対談が始まりました。『共想法』実施時に使うことのある、発話量を計って絶妙に?進行を取り仕切るロボットぼのちゃん5号が、対談の司会を務めることになり、ヘッドマイクを装着しての対談となりました。

 絶妙に進行を取り仕切る司会ロボットぼのちゃん5号、対談で大役を果たす?
 
 まず、最前線の認知症予防研究者として、現在、非薬物療法で認知症予防に良いとされる手法は、エビデンス(証拠)が足らないとされていることに忸怩たる思いがあるも、世界でも、また日本でも大規模な臨床研究が始まっていることから、エビデンスを集めながら、発症遅延、重症化防止の意味の予防を推進していくという熱い思いが語られました。
 
  また、休憩時間に会場から収集した質問への回答も含めて、認知症予防のきっかけや継続するポイントについても語られました。予防のきっかけとなるのは、「自分の状態を知る」こと(脳ドック・認知症検査)。病気になると怖いという恐怖は最大のモチベーション。そして、予防活動継続の秘訣は、自分がやっているということを味わうためのモニタリング(記録)と、強靭な意思があっても1人では続けにくいので、仲間づくりが必要とのこと。

 最後に、島田先生から「誰もが認知症は怖い、むやみに怖がることはやめて、一歩踏み出して予防活動をすることが最も大事。認知症の怖さを忘れるほどアクティブに活動して下さい!!」という熱いエールをいただき、対談、そして講演会は終了いたしました。

 なお、多くの方々から回答をいただきました事後アンケートでは、講演会全体に高い評価を頂戴いたしました。またこれまでになく大勢の方々から、自由回答として、これからすぐに認知症予防活動を始めたい、自分の状態を知るために認知機能等を測ってみたいというお声を寄せていただき、「今からなら間に合う!」の効果があったのではと、嬉しく思っております。島田先生のアドバイスに沿って、長く継続いただきますようにと願っております。
 ここに改めて、ご多忙の中遠路はるばるご無理をお願いしてご登壇いただきました島田先生、並びにご参加の皆さまに感謝を申し上げる次第です。ありがとうございました。

市民研究員 長久 秀子

 4年目を迎えた柏市認知症予防講座を、柏市介護予防センター ほのぼのプラザますおにて、6月4日、18日、7月2日の3回に亘って大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長を講師として開講しました。
今年度は募集18名を大幅に上回る42名の応募者があり、抽選の結果33名の方に受講していただくことになりました。60歳代、70歳代前半の応募者が多く、認知症予防への関心が高まっていることを実感しました。


講座一日目は自己紹介でスタート

 毎回、大武所長の「共想法ガイドブック」や資料を用いた認知症や認知症予防に関する講話と共想法の実演、体験とが組み合わされたスケジュールで実施されました。  


大武所長の講話に熱心に耳を傾ける受講生

 共想法のテーマは「好きな物事」とし、1日目は研究員の実演をご覧いただき、2日目には受講生2グループに体験していただきました。「陶芸」「鉄道旅」「ひょうたん作り」「野菜づくり」等々、興味深い写真をもとに面白く愉快な話題提供と質疑応答が繰り広げられました。さらに、昨年同様、共想法に参加していない人も「質問を作ってみる」こともとりいれたので、さらに質疑応答が活発に広がり、講座会場が一体となって、和やかな雰囲気にもなりました。


受講生による共想法体験

 また、休憩時間前に講師から、「共想法の司会ロボット:ぼのちゃんをよく見ておいてくださいね」の声掛けがあり、休憩後、ぼのちゃんの目・口の形や、頭や洋服の色を当てるクイズが出されました。果たして、「え〜と」「う〜ん」「あれっ」などの声がもれ、注意を促されても、意外とよく見ても憶えてもいないこと(空間認識力や記憶力を働かせていない)ことがわかりました。
 3日目には残りの受講生の共想法体験に続いて、ゲーム感覚で認知機能の程度がわかるアプリを使って、「物語記憶」(エピソード記憶)の問題に参加者全員で楽しく挑戦してみました。そして、むやみに認知症を恐れるではなく、自身の今の認知機能の弱み・強みを知った上で、脳を鍛えることの必要性も実感していただきました。


ゲーム感覚で認知機能の程度を知るアプリを使って難問?に挑戦

 始めるだけでなく、「続けることが大切」との講師の呼びかけに、2名の受講生がすでにこの講座の受け皿になっている共想法継続コースに申し込みをされ、6名程の方が次回の継続コースを見学希望されていることは嬉しい限りです。また7月5日の設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」にも数名ご参加いただきました。
  
 事後のアンケートには、今講座に「満足」、「ほぼ満足」の好意的ご意見が多数寄せられ、受講生の皆様が大変熱心にご参加して下さっていたというスタッフの実感と重なった結果だけに、特に嬉しいことでした。
本講座運営にご尽力下さいました、柏市ならびに社会福祉協議会のスタッフの皆様、そして受講者の皆様に厚く御礼申しあげます。

市民研究員 魚谷 茜

 2019年4月継続コース共想法は9年目を迎えます。今年度の年間テーマは「感性をはぐくむ」。私たちは1年ごとに平等に年を重ねます。頑固にならず、協調できるゆとりを持ち、しなやかな心を育てたい、五感も色あせることなくピカピカにしていたいと思います。この大層な年間テーマは、歳を重ねても前向きにしっかり生きなさいと言われているのだと改めて気が付きました。
 
今年度のテーマから読み取った志を象徴するような伸びやかな大樹


 昨年に続き、6月から柏市主催の認知症予防講座(全3回)が開講します。ほのぼの研究所は全面協力、大武美保子所長が講師を務めます。そして、継続コースは講座終了者で共想法に関心を持った方の受け皿ともなります。
 また、見学者は近隣の公共施設に配架された案内チラシや新聞記事を見て興味を持たれた方、弊所講演会等で案内を聴いた方、企業からの研修者、大武先生の共想法をお知りになった大学関係者等多くの方が見学に来られます。共想法にお試し参加の後、参加意向があると、賛助会員となり、正式に継続コースに参加されることになります。


2019年度継続コースの案内チラシ(表)



2019年度継続コースの案内チラシ(裏)

 今年度も共想法は、新しく参加された初心者グループとベテラングループの2グループがそれぞれ別のテーマで共想法を実施します。初心者グループのテーマは「共想法で行う12のテーマ」即ち『1.身近な物の価値を見つけ出す2.行動したことから価値を見つけ出す3.行動を計画する』の3つの考え方に基づく基本的な12のテーマを、共想法に参加しながら学習して頂きます。
 ベテラングループに開設当初から参加している女性2名は、共想法に通算約100回参加いただいたことになります。その中の一人、90代で旅行好き活動的な女性は毎回の共想法に参加、頭磨き・脳磨きをして活発でお元気です。
 このグループのテーマは、回を追うごとに難易度が上がり、4月第1回のテーマは「音のある風景」でした。参加者は難しいテーマに正面から取り組み、それぞれの視点で個性ある写真が撮られ、実施1週間前には共想法パネルのセッションに送信します。 
 2枚の写真説明から始まる共想法は、撮った者のみが知る情報いっぱいの説明になります。撮ったときの情景を思い出しながら決められた時間内に饒舌に語り、興味津々の聞き手の好奇心を誘います。グループ全員の写真説明が済むと、次のステップ質疑応答で、次々質疑応答が繰り返されます。
 共想法の司会は、ロボット「ぼのちゃん」が行います。時間管理は厳しいものの、可愛らしい表情に癒されながら進行していき、終了時の「ぼのちゃん」の挨拶と会場内の拍手と参加者の満足げな様子に、全員が安堵するのです。
 
2019年初回の継続コース実施風景

 この後ランダムにスクリーンに映し出される写真が誰が提供したものかを思い出して当てる写真当てクイズを会場全員で実施します。続いて、会場の全員が共想法に参加した気持ちで聞いているとして、会場の全員が、「参加のポイント」を守って参加できたかを振り返る「共想法活動チェックリスト」の「話し方」・「態度」・「聴き方」の各項目に自己評価を書き入れます。自身の成長をうかがい知る資料になります。
 次回の開催日・テーマを確認して終会。帰り支度をして階下の多目的室のテーブルを囲んでお茶とお菓子をいただきながら談笑して寛いだ後、家路に向かいます。

 以下は、年度初めに大武先生から参加者に寄せられたメッセ―ジです。
【心を意識して動かし、自分事として聞く】年をとって記憶力が悪くなったと感じるのはマンネリ化したような気になって驚きや刺激が減るため、言い換えれば、記憶に残したい情報には、心を意識して動かし、楽しんだり悲しんだりしたら自然に記憶に残せます。
【他人の話を、他人事と思わず自分のことと思って聴きましょう】
【創造に基づいて、気持ちを汲む発言をするとよいでしょう】
【声や全身を使って気持ちを表現しましょう】
他人の話を、他人事のように聴くと、記憶に残りにくいですが、自分のことと思って聴き、一緒になってハラハラドキドキしたり、楽しんだり喜んだりすると、記憶に残りやすくなります。
 大変理にかなった日常生活に役立つ内容であることがわかります。継続コース参加者は、先生に見守られ、アドバイスを受けながら楽しく共想法に参加、お互いの話をよく聴いて実生活に活かし、かつ互いの生活力を高め合っています。

 今年度も大勢の方に見学にいらしていただき、共想法への参加体験を通して、その楽しさ、仲間にしっかり自分の話を聴いてもらえる心地よさを味わっていただき、お一人でも多くの方々にお仲間になっていただければと、願っています。
 市民研究員・継続コーススタッフ一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

継続コース担当 市民研究院 根岸勝壽・田口良江

 2019年1月29日、流山市生涯学習センター3F市民活動推進センター大会議室にて、2018年度ほのぼの研究所合同研修を開催しました。これは毎年1回、通期で活動を総括、課題を整理し、次期の展望や方針について、確認・討議するものです。
 大武所長ほか、理化学研究所の技術経営顧問、同技術開発顧問(兼ほのぼの研究所副代表理事)、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、「お江戸共想法」の参加者、継続コース参加者有志、そして市民研究員の、合わせて18名が参集しました。

 午前の部は、この研修会をこの1年の活動と知見を全員で共有し、今後の発展につなげるための貴重な機会にしていきたいとの大武所長の開会挨拶で始まり、下記の順で2018年度の活動報告がありました。

大武所長の開会挨拶

≪2018年度活動報告≫
【きらりびとふれあい共想法30年度実施報告】

協働事業者 きらりびとみやしろ 野口宗昭さん・田崎誉代さん

 開始後8年目に入った健常高齢者を対象にした共想法を中心に、参加者の加齢に伴う問題点や、共想法操作機器、事業者の諸般の事情に伴って発生した課題とその解決方法、そして今後の展望が述べられました。それらは今後どの拠点や活動でも発生する可能性の高いものが多く、苦労がしのばれるとともに、身が引き締まる思いがしました。

【マカベ゙共想法報告】

協働事業者 マカべシルバートピア 永田映子さん

 2011年11月のスタートから7年が経過した共想法についての報告がありました。介護老人保健施設という特性上、平均年齢88.8歳である参加者に、楽しく、負担なく参加していただけるように様々工夫や細やかな配慮をして、一人だけで実施運営を継続させていることに大変感心しました。また、司会ロボットぼのちゃん5号導入時のエピソードも興味深いものでした。
 最後に、多忙で煩雑な業務に従事していながら、今秋開催の老健大会で7年間の共想法実施報告発表を目指しているという永田さんの熱い思いを伺い、頭が下がりました。

【のばな共想法】

協働事業者 有限会社野花ヘルスプロモート 正木 慎三さん

 協働事業者となって3年目。ケアマネジャーとして幾つかの業務を兼務しながら、地域ささえあい活動(岸和田みま〜も)の講座のひとつとしての「脳楽活動」と、野花が展開する各種介護施設スタッフ間のコミュニケーション能力アップのための活動との2本柱で共想法を展開している中で、共想法を根付かせる段階での、試行錯誤や課題が述べられました。多忙と知られている介護業務の中での共想法展開の難しさを改めて痛感したことでした。

 *以上の3協働事業者が展開している共想法は、事業者の特性や参加者の属性は異なりますが、例えば、写真を自ら用意しにくい超高齢者に、実施者が事前に写真を用意しておくマカベの写真共想法の手法を、参加者が固定していない岸和田の「脳楽活動」に採用するなど、手法の応用・改善につながる可能性も確認できました。

報告後に盛んに繰り広げられた質疑応答


【ほのぼのプラザますお 共想法継続コース】

田口良江市民研究員・根岸勝壽研究員

 2018年度から、柏市の認知症予防講座修了者の受け皿として、また、講演会などで興味を持った方々を受け入れる、途中からでも参加可能な新人コースが設置されて、長年共想法をしているベテランコースとの2本立てとなりました。田口研究員からは、年々難易度の上がるテーマにも果敢に取り組んで、さらに向上して下さっているベテランコース参加者への感謝を惜しまない一方、さまざまな属性の新人参加者の受け入れ対応には、課題が多いも、全力で前向きに取り組んでいる報告がありました。併せて、根岸市民研究員から、ぼのちゃん5号の使い勝手への改善要望が挙げられました。

【柏市認知症予防講座】(柏市より受託)

松村光輝市民研究員・魚谷茜市民研究員

 「質問力をつけて認知症予防」というテーマのもと、参加していない共想法にも参加したつもりで一緒に質問を考え、200字要旨も講座中記入する等、参加型の要素も取り入れた講座の評価は、「認知症予防を実践したい」意向の強い参加者が多かったこともあり、満足度も参加意向も良好でした。
 2019年度の受託も決定したため、さらにその評価と参加者数が上回るよう、楽しく気軽に参加を促すイメージの講座テーマ名設定や、講座内容をわかりやすく説明するチラシの工夫等が課題として挙げられました。 なお、修了生の数名が共想法継続コースの新人コースへ参加することになりました。

【「超かっこよく老いよう!」ワークショップ & 認知症予防無料講座報告】

清水きよみ市民研究員・松村光輝市民研究員;鈴木晃市民研究員

 前者は柏駅至近のパレット柏で初の開催で、実施人材発掘の目的も踏まえて、告知内容・方法、グループワーク採用等、工夫を凝らした結果、特に男性の参加が多く、大いに手ごたえを感じたとのことでした。
 後者は、自身の認知機能についてよく理解した上で、より効果的に認知症予防に取り組むことを意図した「よりよく生きるために、もっとよく識る」がテーマ。「認知機能の見える化で何がわかるの?」の講話の後に、グループワークでタブレット・パソコンを使用してゲーム感覚で認知機能の程度を知る「脳活バランサー・CogEvo」体験演習や意見交換を行う参加型に特化したため、参加者、実施者共に得ることが多かったようです。
 予想外の気力とパワーを要した「初めて」尽くしの2企画の報告は、事後に、担当者はもちろん、市民研究員も新しい知見とポテンシャルを大いに感じたことを思い出させてくれました。
 
【2018年講演会実施報告】

鈴木晃市民研究員・長久秀子市民研究員

 NPO法人設立10周年記念講演会と同クリスマス講演会の報告を、2017年度を含めた事後のアンケート結果や総括を踏まえて報告。2018年度に行った課題や仮説の検証結果と、今後の課題を述べました。節目の年の2つの講演会は、ご参加の方々に感謝の意を表することができ、好評を得ましたが、まだまだ力不足。ほのぼの研究所の「普及活動」の柱として、十分に機能するためには、開催の目的に即して、ターゲットとそのニーズ、トレンドにマッチした、参加を喚起するテーマを掲げて、効率よく運営する課題があると締め括りました。

参加者一同の記念撮影

【「お江戸共想法」実施報告】

お江戸共想法参加者 田村浩さん・今城悦子さん・京道隆夫さん

 記念撮影後を終えての、お待ちかねのランチタイムで一息ついた後の午後の部気蓮⊇蕕目見えのメンバーの報告からスタート。
 「お江戸共想法」は2018年6月から始まった理化学研究所革新知能統合研究センターの「健常高齢者の会話支援による認知機能訓練に関する研究」介入実験に参加した被験者有志の呼びかけで自発的に生まれた、総勢15名のグループで、名付け親は大武先生。
 12月より月1回、3グループに分かれて共想法に参加しています。介入実験参加中の3か月間、週1回十数回にわたり共想法に参加したメンバーだけに、共想法への思い入れや課題についての発表は、実施者としての市民研究員には大変新鮮に届き、初心に帰るとともに、参加者の声として大変参考になるものでした。今後交流を深めてお互いが切磋琢磨していけたらと思います。
 こうした共想法参加者の自発的なグループの誕生は、小暮、三宅両顧問が、大変好ましい結果だと評されました。

お江戸共想法の報告を聴く


≪2018年度活動報告&2019年度施策について≫ 
 以上の各発表を踏まえ、大武所長より、写真年表をもとに、2018年度の活動総括があり、続いて2019年の施策として、ほのぼの研究所のビジョン:「防ぎうる認知症にならない社会」に向けての1)続けつつ、やり方を変える、2)管理体制の構築、3)フォローアップ体制の構築、4)効果検証実験に基づく効果最大化、手順最適化、5)世話役タイプの方の発掘 の5項目が挙げられました。
 併せて、2018年度の理化学研究所における成果として、モノとしてぼのちゃん5号、対話ロボットの開発、手法として脳波やMRI等による認知機能計測技術、介入実験の結果解析に基づいた効果検証や理研内外での実験や共同研究が紹介され、さらに広がる2019年度の展望も述べられ、期待が膨らみました。

≪共想法の普及と社会実装に向けた取り組みについて≫ 
 小暮純生理化学研究所技術経営顧問から、和光市での高齢者への介入調査に向けての取り組みが緒に就いたという報告がありました。また、生命保険会社、損害保険会社、飲料会社等との連携や、共同研究構想に向けての検討の前向きな進捗状況も伺い、共想法のさらなる拡大・発展に期待を抱いたことでした

 ティータイム休憩後の午後の部兇蓮∋安霪禅徑化学究所技術開発顧問の、大武先生との出会いやご自身の研究を含めた自己紹介を皮切りに、それぞれの活動について質疑応答も交えながら全員が自己紹介等を行いました。

 終了時刻が迫っても、討議は尽きませんでしたが、今年度の最大の課題である「知識の構造化」のための知識の「種」を集めることができたので、それらを使えるように整理し、ほのぼの研究所のビジョンに近づけていきたいという強い思いを込めた大武先生の挨拶にて無事終会となりました。
 寒風がより強くなる中、一同で共有した熱い思いが吹き飛ばされないよう、家路を急ぎました。

(市民研究員 長久秀子)

 さわやかちば県民プラザ3階大研修室での講演会終了後、ご参加の皆様には1階のレストラン赤坂クー・ポールに速やかに移動していただきました。すっかりクリスマスモードに整えられた会場に、サンタ帽やトナカイのカチューシャ等を身に着けた40名近い方が勢ぞろいしました。テーブルにはサンドイッチ、プチケーキが並び、フリードリンクコーナーも。乾杯用のドリンクもサーブされ、開会を待つばかりです。
 定刻の16時15分に、司会の魚谷、根岸市民研究員の合図でクリスマス交流会がスタートしました。大武 美保子代表理事・所長は、ご参集のお礼と歓迎の意を述べ、一期一会の出会いを大切にしてご歓談いただきますようにと、開会の挨拶をしました。
 

大武所長開会挨拶

 次にほのぼの研究所三宅 徳久副代表理事からは、従来の仕事に少し時間的余裕ができそうなので、来年からは頻繁に柏市のほのぼの研究所の活動に顔を出したいと、嬉しいお言葉を戴きました。
 

三宅 徳久 ほのぼの研究所副代表理事

 まずは思い思いのテーブルを囲んでの乾杯の音頭は、住友生命保険相互会社の藤井 貴大様にお願いしました。「カンパ〜イ」の後は、瞬く間に同じテーブルの方々と打ち解けて、話が弾んでいきました。

 

歓談の輪

 

住友生命保険相互会社 藤井 貴大様の乾杯の音頭

 しばらくすると、名札の裏に1枚ずつしのばせてあったトランプのマークにしたがって、定められたテーブルに着くようにという指示が出ました。つまり、また異なるメンバーとの会話が弾むようにという仕掛けです。

 それに続いて、いよいよお待ちかねの景品当選発表とになりました。名札に入っていたトランプカードのマークと数字が読み上げられたら、相応の景品がプレゼントされる仕組みです。プレゼンターは大武所長です。

 景品は、法人賛助会員様、個人会員様、その他、関係者の皆様から、脳トレアプリ1カ月無料お試しクーポン、環境対応洗剤、缶入り緑茶葉、そして、鉢植えの花など、多種多彩に提供されました。ネーミングも「Me Too賞」、「ボーッと生きないでチコりま賞」、「空前絶後の錬金術賞」、「スーパーシニアフード賞」と、今年の流行語大賞をもじるなど、色々工夫されたもので、当選者には大喜びしていただいたり、クスっと笑っていただけたりしました。
 最後は、当たらなかった方全員が輪になってじゃんけん、「残り物には福がある」となかなかの優れものをゲットした方もいらして、楽しいひとときとなりました。改めて、景品をご提供下さった方々に御礼を申し上げます。
 

大武所長が景品のプレゼンター

 

かわいい鉢植えの花が当たりました!!


お励ましの挨拶を下さった上橋泉先生


 次の自己紹介は、遠来の方、帰宅を急ぐ方を優先して、持ち時間1人1分が目安でスタート、最後の市民研究員は1人30秒と短縮されましたが、来年の抱負を盛り込んで要領よく進みました。
 楽しい余興と談笑のひとときは刻々と過ぎて、夕闇が迫ってきたころ、市議会終了後急ぎかけつけて下さった柏市議会議員、ほのぼの研究所監事の上橋 泉様から、高齢者人口が増加中の柏市において、今後も介護予防への協力を期待したいという力強い励ましの挨拶をいただきました。そしてほのぼのとした交流会の最終章は、同じく上橋様による、今後の皆様の安寧とほのぼの研究所の発展を祈念しての元気な「いよ〜ッ」の掛け声の1本締めにて、無事終了となりました。
 ご参加の方々に心より御礼申し上げます。また次回、お目にかかるのを楽しみにしております。

市民研究員 田口 良江

 2018年12月11日(火)13時30分より、柏市柏の葉のさわやかちば県民プラザ大研修室にて、ほのぼの研究所NPO設立10周年記念クリスマス講演会を開催いたしました。講演会テーマは「質の高いエージングを共に目指す」をコンセプトとした「介護予防のイロハ」。
 当日は、師走に入っても続いていた暖かさに慣れていた身には少々つらい厳しい寒さが到来しましたが、介護予防に高い関心をお持ちの近隣の方々、病院・福祉、研究団体、企業等の関係者、70名あまりの方々がご参集下さいました。
  まず、来賓のご挨拶として、さわやかちば県民プラザ 藤田 武所長から、人生100年時代における生涯学習実践の必要性と、ほのぼの研究所への期待が述べられました。

 

藤田 武所長

 次に大阪府岸和田市からはるばるご参加下さった、有限会社野花ヘルスプロモート代表取締役 冨田 昌秀様よりNPO法人設立10周年のお祝詞と共想法との出会いや関わりについてご説明がありました。数年前から地域とも連携をはかりながら、ほのぼの研究所の協働事業者として、ご自身の施設等で認知症予防の手法として実践・活用するばかりでなく、スタッフ間のコミュニケーション能力の向上等にも役立てて下さっている事例の紹介もあり、大変嬉しいことでした。


冨田 昌秀様

 招待講演1は、東京都健康長寿医療センター研究所、高齢者健康増進事業支援室研究員 河合 恒先生より「地域で取り組む介護予防〜介護予防リーダーのススメ〜」と題して ご講話いただきました。

 

河合 恒先生

 研究所のフィールドワークや実習プログラムの開発等を通して養成された、地域で主体的に介護予防活動を行う人材:介護予防リーダーへの参加と育成が必要であることを熱く語られました。介護予防のターゲットは身体的&社会的フレイル(明確な病気とはいえない、加齢による生活機能低下)であるとして、国の介護予防の指針の移行にも準じて、専門家中心ではなく、「地域で」住民が「主体的」に進めるべきで、そのためには、地域住民がお互いに尊重し合い、協働しながら活動していくことが急務であることを、自治体の展開事例を挙げながら説かれました。なお、講義の中では、参加者全員が、豊島区で行っている、筋肉に軽く負荷をかけて立ち上がる「お尻上げ」体操を『くるみ割り人形』のメロディにのせて行うなど、笑顔で介護予防体験もすることができました。
 
 

参加者もそろって介護予防のための「お尻上げ」体操を体験

 招待講演2では、社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 地域ささえあいセンター センター長 澤登 久雄様が、「まちづくりのために今、自分たちができること〜おおた高齢者見守りネットワーク(みま〜も)の取り組み〜」と題して、その生い立ちから活動実態までが披露されました。
 長年携われた地域包括センター業務のご経験から、今後の超高齢社会においては、専門職による支援が必要な人を「点」で支えることには限界があるとして、地域で暮らすすべての人、地域で働くすべての人達と共に、「面」で支える仕組みづくりが始まりました。


澤登 久雄様

 そして、みま〜もは多くの地域の方々、企業、医療・介護施設、福祉団体等と連携する新たなネットワークモデルとして28年度の厚労省の労働白書モデル事業に取り挙げられるほどに成長し、さらに「のれん分け」として、地域特性に準じて、開会のご挨拶をいただいた冨田様の野花ヘルスプロモートが所在する岸和田市をはじめとする、幾つかの自治体でも展開されるようになったという、サクセスストーリーが語られました。澤登様の熱い思いと語り口に、そして紹介される元気な高齢者や地域の方々の笑顔に、参加者は引き込まれ、元気や勇気をいただいたことでした。


みま〜ものキャラクター:みま〜もちゃん、みま〜も君と司会ロボットぼのちゃん5号

 最後は、大武 美保子 ほのぼの研究所代表理事・所長、理化学研究所革新知能統合研究センター チームリーダーが、「認知症予防手法を高齢者と共に開発する取り組み」と題した基調講演で、ほのぼの研究所の10年の歩み、共想法の進化、そして高齢者と共に研究する意義を力強く語りました。
 なお、会場入口付近にはNPO法人設立以来の『ほの研通信』や講演会・講習会・イベントなどの案内チラシを数十枚貼付して、これまでの歩みもご覧いただきました。また、併せて、スクリーン脇には、共想法にいろいろな形でかかわってきたロボットぼのちゃん1号〜5号の写真掲示と5号の実物を展示も行いました。~

大武 美保子代表理事・所長
 

会場受付前に掲示した10年間のニューズペーパーと講演会・講習会等販促物


 今回の講演会において、改めて介護予防に対する正しい認識と知見を、そしてさらに進む超高齢社会において取り組むべき課題をご参加の皆様と共有できたことは、大きな収穫でした。 おかげさまで、事後のアンケートでは、それぞれの立場で、地域の人々と連携して進められている素晴らしい介護予防の活動や研究を知る良い機会であったこと、また地域連携の必要性を再認識した旨の自由回答が多く寄せられ、好評価をいただきました。
 最後に今講演会開催に際し、ご尽力をいただきました皆様に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 
 

市民研究員 松村光輝