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ほの研ブログ - ほの研日誌カテゴリのエントリ

 2020年4月20日、2019年度ほのぼの研究所合同研修を開催しました。これは、毎年1回、共想法実施者が、通期の行動で得られた知見を持ち寄り、相互に確認し、次期の展望や行動の方針の参考とするために行われているものです。

 2019年度はCOVID-19感染拡大のため、活動そのものや、使用施設の使用が大幅に制限されたため、開催予定3月17日から約1カ月日延べして、オンラインシステムを活用して実施しました。初めての経験のため、理化学研究所の実施者により事前に各自のIT環境や手順等の確認作業を行ったため、当日は大武所長・代表理事をはじめ、三宅徳久副代表理事、小暮純生理化学研究所技術経営顧問、協働事業者(埼玉県の認定NPO法人きらりびとみやしろ、茨城県の介護老人保健施設マカベシルバートピア、大阪府の有限会社野花ヘルスプロモート)、「お江戸共想法」の実施者、理化学研究所の実施者、そして市民研究員の総勢22名が、オンライン時間延べ4時間にわたって無事参加することができました。


オンライン合同研修参加者画面

 大武所長の開会挨拶で始まり、下記の順で2019年度の活動報告と、2020年度の方針に関する発表がありました。各担当者が10分間の持ち時間で発表をする間は、事前に提出した資料が画面に映し出されました。以下、発表を順に紹介いたします。※氏名後(S)は発表者

【協働事業者 きらびとみやしろ】

野口宗昭市民研究員・田崎誉代市民研究員(S)

 9年目に入った健常高齢者を対象にした共想法は、2人の新スタッフと共に、共想法の効果を定着させるために、事後に写真の確認をし合ったり、200字要旨の本来の意味を再確認したりと、工夫を重ねていることが報告されました。また、参加者の加齢に伴う問題点や、共想法操作機器、事業者の諸般の事情に伴って発生した課題とその解決方法、そして今後の展望が述べられました。
 最後に「共想法の実施に大事なこと」として挙げられた「誰もが無理をせず、とも危機管理につとめながら、思いやりを忘れずに、次回も快く参加できるため、楽しい雰囲気づくりに努めること」という結論は正に「言うは易し、行うは難し」、大いに納得したのでした。

【協働事業者 マカべシルバートピア】

永田映子市民研究員(S)

 2011年11月のスタートから8年が経過した共想法について、介護老人保健施設という特性上、参加者の多くが90歳以上で、加齢に伴う体調・認知機能低下が進む中、参加者に、楽しく、負担なく参加していただけるよう、テーマや実施方法、サポート方法にきめ細かい工夫を施して、継続実施している努力と、実施者としての自己管理の必要性が述べられました。超高齢社会において、早晩どこの拠点でも起こり得る課題であるため、努力に敬服するとともに、今後の貴重な情報として大変参考になりました。

【協働事業者 有限会社野花ヘルスプロモート】「共想法〜 Cocofit ver〜」

正木慎三・篠倉拓(S)

 Cocofitはメンタル不調で休職・離職あるいは自宅療養中や、不安や焦りから欠勤が増えた等で悩んでいる人を対象にした「こころと行動を支える施設」として、野花ヘルスプロモートが運営する施設。2020年1月にそこの利用者への支援プログラムとして「共想法」を取り入れるに至った目的や準備、初回実施に至るまでのプロセスが説明されました。併せて、参加者の「冬を感じるもの」をテーマにした大変美しい写真とほのぼのとした話題の幾つかも紹介されました。
 なお、これまで共想法を認知症予防以外にも活用する研究事例武先生から伺ったことはありましたが、今後Cocofitでの共想法からも参考になる新しい知見を得られそうで、大変興味深く思いました。

合同研修会資料1

【お江戸共想法】

斉藤千鶴子(S)・今城悦子・沖桂子・山藤千賀子

 お江戸共想法開催に至るまでの誕生「秘話」に続き、2019年度の実験参加者である新しいメンバーを加えての2年目の実践の様子を詳細に解説しました。理研のスタッフのサポートを受けながら、発足から携わっている共想法に熱い思いを持つ参加者でもある実施メンバーが、共想法参加の意義:「認知機能を高めること」を懸命に周知徹底させ、情報を共有しながら、積極的参加を継続させるために、様々な工夫をこらしていることが紹介され、参考になるアイデアも伺うことができました。
 報告の最後に、今年度の念願のひとつに挙げられた「街歩き共想法」は、拠点の柏でも久しく実施していないだけに、世の中が落ち着いた折りには、できれば合同で実施し、さらに交流を深め、切磋琢磨することができればと思いました。
           
【ほのぼの研究所 共想法継続コース】

田口良江市民研究員(S)・根岸勝壽市民研究員(S)

 
 実績として、第一に2018年度から始まった2本立て体制、すなわち、柏市の認知症予防講座修了者や、講演会などで興味を持った方々を受け入れ、途中からでも参加可能な初心者グループと、長年共想法をしている経験豊かなグループとが、異なるテーマに沿って行う進め方が定着したこと、そして、司会ロボットぼのちゃん5号にも慣れてきたこと、第二に、企業をはじめとする見学者が増加傾向であるも、さまざまな属性の方々のやみくもな参加を避けるため、ステップを踏む丁寧なルールに則っていること、そして第三に、昨年度に引き続く頭の健康チェックにも参加者が増えたことを述べました。また、年々難易度の上がるテーマにも果敢に取り組み、常に生活の質の向上に努力を惜しまない経験豊かなメンバーへ感謝するとともに、快く参加を継続できるよう、欠席者宛ての密なコミュニケーションを図るなど、啓発しあい、フラットな信頼関係を築くように努めている旨が報告されました。
 最後に、司会ロボットぼのちゃん5号のソフト・ハード両面での使い勝手についての改善要望が出されました。なお、蛇足ですが、市民研究員の誰もが司会ロボットの操作を完全マスターするべく、鬼?の特訓を重ねていることを付け加えさせていただきます。

【ほのぼの研究所 柏市認知症予防講座】

「柏市認知症予防コミュニケーション体験講座『今から始める認知症予防』」

松村光輝市民研究員(S)・魚谷茜市民研究員

 はじめに、単に認知症予防について学ぶだけでなく、認知症予防と共想法の関係について体験を通して理解を深めていただき、終了生の受け皿として設定されている共想法継続コースに参加し、さらに認知予防に積極的に取り組んでいただくとした企画の目途が述べられました。6月〜7月の3回の講座には認知症予防に関する意識の高まり、あるいはテーマのコピーに惹かれてか、『広報かしわ』やチラシの広域配布なども奏功して、定員をはるかに上回る応募者があり、60〜80歳代以上の30余名に受講いただき、3日間皆勤の方が14名ありました。事前に共想法用の写真をスマホ等で送ることのできる方も大幅に増加。また、共想法参加体験で、会場からも質問を受け付ける形式をとったり、200字要旨の記入の体験等、参加意識を高めた講座内容が好評で、受講生のうち3名が共想法継続コースへご参加下さるという、果たして2016年からの講座結果を踏まえた試行錯誤を経た嬉しい報告となりました。

合同研修会資料2

【ほのぼの研究所 講演会等普及活動】

鈴木晃市民研究員・長久秀子市民研究員(S)

 市民活動フェスタ2019「認知機能を見てみよう」出展、恒例のNPO法人設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」、初の試みであった設立記念講演会ビデオ観賞会と、異なる形態の普及活動企画の実施報告と、これまでの企画実施から得られた課題・仮設の検証結果を説明しました。
 2019年度に最も寄与したのは、「今からなら間に合う!」というキャッチ―なタイトルと、ニーズの高い情報を、大変わかりやすく解説して下さる講話テクニックに優れた、高名な島田裕之先生に講師にご登壇いただいた設立記念講演会であり、その後の講演会ビデオ観賞会の成功にもつながったこと、来場ターゲットの精査が及ばずも、柏市民活動フェスタではCogEvoを使った認知機能を見てみる体験者を呼び込み、他出展者との繋がりの端緒ができたと述べました。
 以上の3つの企画を通して、課題解消度が上がり、賛助会員入会・継続増加につながるという結果が導かれるも、さらに今後もターゲットのニーズに合った企画を目指してアンテナを張り巡らし、タイミングよく丁寧な集客(募集)や情報提供に努めて、より効果的な普及活動につなげたいと結びました。

【ほのぼの研究所 動画制作】

根岸勝壽市民研究員(S)・長久秀子市民研究員

 2019年度太陽生命厚生事業団社会福祉助成事業として採択された「認知症予防の啓蒙と認知症予防手法の実践、普及活動に使用する動画資料、小冊子作成」事業のメインとなる「ほのぼの研究所PR動画制作」を説明。8年前に専門家に委ねて制作した既存版と併用し得るよう、その後の知見を盛り込み、ほのぼの研究所の存在や活動をわかりやすくアピールするために、市民研究員の意見を反映、さらに継続コース参加者の友情出演の協力を得て、専門家とコ・ワークした制作過程について述べました。
 また併せて取り組んだ改訂ほのぼの研究所の紹介パンフレットについても紹介しました。

合同研修会資料3

【企業連携】「共想法の社会展開に関する活動概況」

小暮純生 理化学研究所技術経営顧問

 残念ながら、どれもがCOVID-19感染拡大の影響を受けて、実施に変更や遅延が生じていますが、飲料メーカーとの共同研究、和光市との「在宅高齢者の認知機能脆弱化予知予防研究」、損害保険会社研究所との連携、生命保険会社との意見交換並びに情報交換の進捗状況の報告がありました。

【2019年度のまとめと2020年度方針】 
 以上の各発表を踏まえ、大武美保子代表理事・所長より、2019年の活動総括並びに2020年度の方針が示されました。

 まず、ほのぼの研究所の5つの事業(実施・普及・支援・育成・研究)を軸に、2019年度のモットー「続けつつ、やり方を変える 効果的に」に沿って実施した活動の進捗報告がありました。
 次いで、2020年は活動を通じての基本概念を「長持ちする脳の使い方を生活の中で実践する」ことと明文化し、COVID-19の治療薬やワクチンが確立するまでは、集合活動はできないことを前提として「目的に即して新しいやり方を考えて実践すること」をモットーに活動するとし、5つの事業それぞれの具体的活動案が多く示されました。

 これらの事業・活動の継続、試行のためには、新しいIT技術や方法の習得、習熟を含めて、相応の気力、体力、時間が必要だと実感しました。しかしながら、しばらくはCOVID-19と共存しなければならない日々が続くとして新しい生活様式が求められる中、ほのぼの研究所の新しい活動様式として、受け止め、構築していかなければと、士気を喚起されたのでした。

 限られた時間の中、例年のような侃々諤々の質疑応答は叶わなかったのは少々残念でしたが、かわりに各参加者が一言ずつ初オンライン合同研修会の感想を述べました。トレンドであるオンラインミーティングに参加、知見と情報の共有・確認が叶ったことについては勿論ですが、それ以上に久方ぶりにお互いが元気な様子を画面上で確認できた喜びの声もたくさん寄せられました。最後に集合写真を撮影して、初オンライン合同研修はお開きとなりました。

市民研究員 長久秀子

  2020年度は、4月7日の緊急事態宣言で始まりました。新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛により、在宅高齢者の認知症リスクは軒並み高まっています。このような中で、防ぎうる認知症にならない社会に近づけるべく、新しい活動様式を作りだして行きたいと思います。基本的に在宅で活動することを前提とし、今年度は、以下の事業に取り組みます。
 
  第一に、遠隔による共想法実施、研究事業に取り組みます。具体的には、スマートフォンおよびタブレットアプリケーションを用いた共想法と、紙面による共想法の二通りに取り組みます。前者は、足が悪くて外出が難しい、過疎地に住んでいて集まるのが難しい高齢者を想定し、開発を進めていたものです。これを用いて、在宅にて共想法形式で写真を用いた会話を実施するために必要な手順を、実施を通じて明らかにします。開発途上のため、実施しながら改良を加えます。後者は、毎月、その月のテーマを出題して、写真と話題を提出して頂き、集まった写真と話題を、翌月、お手紙で共有する、共有すると共に、次の月のテーマを出題する、というものです。様々な形式での、人との交流が参加者に与える効果を評価する方法について、検討します。

  第二に、遠隔による人材育成、連携事業に取り組みます。ほのぼの研究所では、2012年より、各地に広がった共想法実施拠点の実施者が集まり、得られた知見を持ち寄って共有し、次の活動に活かすことを目的として、合同研修事業を行ってきました。2019年度末に予定していた2019年度合同研修は、この時点で会場が利用できない状態になったため、2020年度初めに延期となりました。この合同研修を、初のオンラインでの開催としました。従来、出張のため業務の調整が必要であった遠隔地の実施者にとって、参加しやすくなるというメリットがありました。今後、さらに実施の輪が広がった場合に対応できるよう、効果的な研修の実施方法を、実施を通じて明らかにします。


  第三に、オンラインによる普及事業に取り組みます。具体的には、講演会をオンラインで開催します。2008年度より、夏に設立記念講演会、冬にクリスマス講演会と、年2回、講演会を開催してきました。2020年度は、講演を動画で記録し、インターネット配信する形で開催したいと考えています。そして、集まれるようになった時には、改めてビデオ鑑賞会を開催する計画です。これまで開催した講演会についても、ハイライト部分を一部動画として配信する取り組みに挑戦して行きたいと考えています。

NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子

 昨年夏、太陽生命厚生事業団の2019年度社会福祉助成事業に関する助成事業として、ほのぼの研究所の「認知症予防の啓蒙と認知症予防手法の実践・普及活動に使用する動画資料と小冊子の作成」事業が、幸いにも採択の栄に浴することができました。

 上記財団は高齢者・障がい者の福祉向上を目的に1984年 ひまわり厚生財団として設立され、2009年の公益財団法人太陽生命厚生事業団への移行を経てからも、地域に根ざし地道な活動をしている団体・グループの事業や研究・調査に対し、積極的に助成活動の助成を続けられております。

 既存の動画資料(PR動画)は10年近く前にプロにより制作されたもので、その後の活動の進展が反映されていないため、それを補完するものが求められていました。とはいえ、いざ制作となると、人生の後半期になって初めて一から体験する動画制作です。プロのアドバイスと撮影等全面的な協力をいただきながらの、なかなかやりがいのある事業となりました。

 まず、設立以来10年以上にわたる動画資料、写真、報告書等々の資料等の精査に着手、試行錯誤の結果、既存版には控えめだったほのぼの研究所とその活動紹介をコンセプトとしました。ほのぼの研究所とその活動、共想法の概要のご紹介の後、友情出演を快諾して下さった共想法継続コース参加者の賛助会員様に「共想法」に参加されているお気持ちや生活習慣の変化をお話しいただき、市民研究員がほのぼの研究所の活動について語り、最後に大武所長が共想法の極意を述べるというというシナリオとしました。

 数日間の撮影素材をもとにナレーションや音入れ、過去の記録動画・静止画の挿入などに推敲を重ねた結果の新PR動画と共に、以前よりお化粧直しを施し、わかりやすいものへと改訂したパンフレットが、3月末に無事完成、事業実施報告をすることができました。







新PR動画抜粋


新三つ折りパンフレット

 なお、上記2つの成果物につきましては、残念ながら、新型コロナウィルス感染拡大禍にてお披露目の機会は少々先になりそうですが、1日も早くお目にかける機会が訪れることを願っております。また、これらが今後の活動において、弊所の活動や共想法のご紹介に役立つツールになることを期待しております。
 最後になりますが、上記事業のために貴重な助成を賜りました太陽生命厚生事業団に改めて心より御礼申し上げます。

市民研究員 根岸 勝壽・長久 秀子

「お江戸共想法」 スタートから1年

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NegishiK 2020-2-2 8:00
  2018年暑い夏の3カ月間の共想法参加は、私たちにとって大変意義ある体験となりました。この体験の余韻が残る11月、大武先生の助言をいただきながら、月1回13時30分から15時30分の2時間、共想法に継続して参加するグループへの応募を、共想法体験者に呼びかけました。果たして12名が集まりました。そして、大武先生、理研のスタッフの方々のご指導、サポートをいただきながら、同年12月、日本橋にある理化学研究所(以下理研)の一室をお借りして、第一回目をスタート致しました。グループ名は、意見を出しあい、発足の地お江戸日本橋にちなんで、「お江戸共想法」としました。

お江戸共想法実施風景

 第1回のテーマは「私の好きな色」としました。夏の共想法体験とは違った、12名3グループのメンバー構成を毎回変えること、個々の写真の説明と、質疑応答を写真1枚につき1分間で行い、参加したグループの会話については、フェイススケールと写真当てクイズ、参加しなかったグループの会話については、会場からの質問と聞き取り確認を行う、という進め方には、最初は戸惑いましたが、徐々に慣れてきました。現在、よりよい運営方法については、まだまだ模索中です。

テーマ「江戸をイメージさせるもの」
 築地波除神社の獅子殿

 この進め方に慣れてきたメンバーのひとりで、皆勤参加者のTさんから発せられた「毎回の ″テーマ“ってホントに難しいよね。ホントに悩むよね。」 の一言が、「共想法」の研究の狙いのひとつでは、と思っています。日々頭を使って悩むことが、脳を刺激し、鍛える手段でもあるのです。
 11回目からは、2019年度体験者からの新しいお仲間が増え少し雰囲気も変わってきました。今後も、「話す」「見る」「聴く」「考える」を楽しく実施することを続けていきたいと思っております。また、大武先生も述べられた、「お江戸共想法」の1日も早い「自立」を目指すべく精進しなければと思っています。 

お江戸共想法実施参加者 齋藤 千鶴子

新年のご挨拶2020

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2020-1-5 8:00

2020年 子年
千葉県房総の早春の花々

あけましておめでとうございます

旧年は、元号が変わり、共生と予防を柱とする認知症施策推進大綱が決定された節目の年でした。これまで実施してきた一連の活動の目的と位置づけを整理し、丁寧に準備、実施したことで、体験から継続参加頂く流れが定着する、〆切前に講演会申込者が定員を超えるなど、参加の輪が広がる成果を得ることができました。この流れを加速するべく、認知症予防を目的とする共想法、ほのぼの研究所をPRする動画制作を開始しました。これを契機に、共想法とは、ほのぼの研究所とは何か、目的や経緯と共に、現時点での見解を含めて明文化しましたので、ご紹介します。

「共想法」の目的と経緯
共想法は、年を重ねると、誰にでも起こりうる認知機能の低下を、脳の使い方の工夫でなるべく防ぐことを目的としています。低下しやすいと知られている、「体験記憶」、「注意分割機能」、「計画力」を使うように設計されています。 2006年、大武美保子(当時、東京大学助教授、2020年現在、理化学研究所チームリーダー)が、認知症の祖母との会話をヒントに考案しました。

「共想法」の定義
 共想法は、写真を見ながら「話す」「見る」「聴く」「考える」を行う会話支援の方法です。参加者は、出題されるテーマに沿って写真を撮ってきて持ち寄ります。話し手の写真が順に映し出されると、時間内に話し、その後、周りの人から質問や感想を言ってもらって、自分の体験をより深く考えます。周りの人の撮影した写真を見て、話を聴き、ものの見方を広げます。低下しやすい認知機能を総合的に使い、長持ちする脳の使い方を、一連の活動の中で実践します。

「ほのぼの研究所」の目的と経緯
 ほのぼの研究所は、超高齢社会の課題である「認知症」を、高齢者を中心に全世代と共に考え、解決方法を提案する新しい学問を創り、「防ぎうる認知症にならない社会」を実現することを目的としています。その具体的な手段として、「共想法」の実践研究と普及を目指す組織です。2007年に開所し、2008年にNPO法人化しました。「共想法」実践研究の場を運営するのは、平均年齢70代の市民研究員、そこに参加するのは、20代から90代の個人と法人賛助会員です。

「ほのぼの研究所」の活動
 「共想法」を日々の生活の中に取り入れ、長持ちする脳の使い方を実践する高齢者が中心に活動しています。
・「共想法」継続コースの実施
・講演会開催、ニューズレターやブログで情報発信
・各地での「共想法」実施運営のサポート
・「防ぎうる認知症にならない社会」を共に目指す自治体や企業との協働事業
・活動を通じた人材育成、最先端技術の開発と評価
などを行っています。

この他、旧年を特徴づける事業を、いくつかご紹介します。講演会のビデオ鑑賞会を開催し、日程が合わなかった方を始めさらに多くの方と知識を共有することができました。参加者の一部が実施者になる参加型研究の拠点が、新たに東京日本橋に生まれ、お江戸共想法として定期開催に至っています。参加者実施者を対象に、共想法とほのぼの研究所に関する意識調査を行い、これらが生活や人生に及ぼす主観的な影響を明らかにしました。継続参加の効果を長期的に検証すべく、頭の健康チェックを導入しました。高齢運転者向けのサービスを展開する損害保険会社と共催で講演会を開催し、認知機能や運転技能を本人や家族に返すことで、安全性が向上する成功事例を共有すると共に、積極的に予防するサービスにつなげる方法について検討しました。皆様の支えにより一連の活動が実現しましたこと、心より感謝申し上げます。
 新年は、これまで取り組みや準備を進めてきた、企業や自治体と共に、新たなサービスの実践や、それに向けた研究をさらに進めて参ります。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子

 2019年11月5日(火)13:30より、千葉県柏市の文化・交流複合施設パレット柏の多目的スペースAにて、「今からなら間に合う!認知症予防」講演会ビデオ観賞会を開催いたしました。これはさる7月5日(金)に同市柏の葉のさわやかちば県民プラザで開催した、ほのぼの研究所設立11周年記念講演会のビデオ記録を観賞していただくという、弊所では初めての「ビデオ観賞会」開催の試みでした。

講演会ビデオ観賞会のチラシ

 実は、当該講演会は喫緊の課題である認知症発症者の増加につれて、予防への関心の高まる中、テーマの「今からなら間に合う!認知症予防」の文言がご興味を抱いていただける契機になったとも思われること、また「コグニサイズ」の普及にもご尽力のマスコミでもお馴染みの国立長寿医療研究センターの島田裕之先生がご登壇ということで、皆様のご期待も大きかったとみえ、お申込みが締切りを待たずに会場定員をオーバー、勢い当日飛び入りお申込みの方々をお断りするという申し訳ない事態も発生いたしました。
 果たして、大変喜ばしいことに、参加の皆様からは、島田裕之先生と大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長の2人の認知症予防研究者の講話・対談の内容がタイムリーかつ大変わかりやすく、彼らの認知症予防にかける熱意が、認知症予防の必要性ややる気を喚起させたとして、ご好評もいただきました。そのため、当日ご参加が叶わなかった賛助会員をはじめとして、さらにより多くの方々とこの講演会の知見をぜひ共有させていただきたいと、企画した次第です。

 柏駅至近というパレット柏のアクセスの良さも奏功したのでしょうか、連休明けのおだやかな小春日和の昼下がり、都内、近県から、また当日お申込みを含めて、会場がいっぱいになる40名近い参加者をお迎えすることができました。

設立記念講演会ビデオ冒頭画面

 事務局の開会の挨拶と開催趣旨の説明に続き、先ず講演会1日のダイジェスト版ビデオにて概要をお伝えした後、早速島田裕之先生の「自分で行う認知症予防の方法〜この30年間の研究から見えてきたこと〜」の講話放映を開始しました。まず、現段階では認知症予防の薬物療法が未開発の中、認知症予防とは認知症発症を抑えるのではなく、(1)認知症発症遅延と(2)重症化遅延であることを述べられました。そして、ご自身の、またグローバルな研究データを駆使しながらの、複雑で難しい現状や認知症発症の実態、認知症予防に関する研究成果などの大変わかりやすい解説が進むにつれ、講話に引き込まれ、大きくうなずいたり、熱心にメモをなさる参加者が多くいらっしゃいました。

島田裕之先生の招待講演画面

 さらに、後半に島田先生ご所属の国立長寿医療研究センターが開発、普及に務められている運動と頭の体操を組み合わせた認知症予防手法「コグニサイズ」の初歩を会場の参加者と体験した場面になると、期せずして、ご参加の皆様全員が一斉に先生の指示に従って身体を動かし、声を出して体験して下さいました。画面と観賞会場の一体感に驚かされるとともに、何より思いがけないことでしたので、大変感激したことでした。

画面の島田裕之先生の指示に従って、コグニサイズをみんなで体験

 休憩を挟んで、大武所長が「頭の健康チェックのすすめ」と題した講話を行い、加齢による認知機能の低下は生活の仕方や脳血管系疾病の有無によって異なるが、その低下の傾きを緩やかにすることが予防の課題であるとし、血圧や体重と同様、加齢により低下する骨量、そして認知機能を測ることにより、自身の状態を知る勇気を持ち予防すべきだと述べました。またほのぼの研究所の設立の経緯を始め、活動の特長、内容、認知症予防の要点、そして認知症予防手法「共想法」について紹介しました。

大武所長の「頭の健康チェックのすすめ」の講話

 その後、島田先生、大武所長の2人の認知症予防研究者の熱い対談の様子をビデオでご覧いただき、島田先生から認知症予防のモチベーションを保つための秘訣を伝授していただいた後、「誰もが認知症は怖い。が、むやみに怖がることはやめて、一歩踏み出して認知症予防をすることが大事、認知症予防の怖さを忘れるほどアクティブに活動して下さい」というエールをいただき、ビデオ観賞は終了いたしました。

 最後に全員に、簡単な自己紹介と感想を披露していただきました。2時間強の短い時間でしたが、会場には画面を通して知見を共有したことで、和やかな雰囲気が生まれたようで、「次週の共想法継続コースを見学します!」という積極的なお声をはじめ、嬉しい評価やざっくばらんなホンネ、そしてこれからの認知症予防への意気込みなど、様々なお声を伺うことができました。
 その中で、ほのぼの研究所設立当初から講演会にほぼ欠かさずご参加・ご協力をいただいている賛助会員の方からいただいた「この講演会ビデオを拝見して、認知症予防がようやく政府が本格的に課題として取り上げるようになり、世界的に連携した調査研究にまで進んできたことを確認できました。時代が動いてきたと実感できて、感慨深いものがあります」との静かで凛としたお言葉には、長年のほのぼの研究所へのご支援への深い感謝の念を感じるとともに、心に深く浸みるものがありました。

 熱心な観賞中のご様子、そして終会後もしばらくご参加の方々との大武所長や市民研究員との歓談の輪が広がって行くのを目の当たりにして、初めての講演会ビデオ観賞会を実施したことに、ささやかな達成感を感じることができました。
 ここに改めて、お忙しい中貴重な時間をさいてご参加下さいました皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

(市民研究員 鈴木晃・長久秀子)

 2019年10月10日(木)13:30から千葉県松戸市のあいおいニッセイ同和損保松戸支社の会議室において、MS&ADインターリスク総研とNPO法人ほのぼの研究所共催による、「今からはじめる認知症予防」〜安全なカーライフを続けるために〜をテーマの、講演会・体験会を開催いたしました。

 あいおいニッセイ同和損保の保険代理店6社を含む関係者25名、MS&ADインターリスク総研の杉澤昇様、中井大介様、理化学研究所小暮純生先生、ほのぼの研究所大武美保子所長他3名が参加いたしました。

 はじめに、MS&ADインターリスク総研基礎研究本部シニア研究員杉澤昇様が、認知症発症者が交通事故を起こすケースが増えていることに触れ、会話を切り口に認知症予防を研究している大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長、理化学研究所チームリーダーを紹介しました。
 大武所長は祖母が認知症になったこと、専門は工学であるも、機械はどんどん進歩するが、人間の頭がどんどん衰えていくことを防ぎたいと、研究の動機と抱負を語りました。そして、損保関係の方にも理解しやすいように、車を例にとり、車が丁寧に使えば長持ちするのと同じように頭も丁寧に使えば長持ちするという考えから、頭が長持ちする使い方を研究していると述べました。そして、ほのぼの研究所は研究に参加した被験者の中で、予防に興味を抱いた人が共に活動している、参加型の研究組織であること、参加した理化学研究所の技術開発顧問の小暮先生と市民研究員を紹介しました。

大武代表理事・所長の「頭の健康チェックのすすめ」の講話

  認知症になりにくい暮らし方として「ふれあい共想法」をビデオで紹介しました。何を話そうか―写真を撮る―話す―会話の輪を拡げる―どう伝えようか考える―質問する―思いを共有する―普通の会話と違ってテーマを決める、など、共想法の特徴と効用についての話を展開、「考えることを避けない生活を送ること」が認知機能が下がりにくい生活のポイントであると述べました。さらに、一見当たり前に見えるものの、認知症を発症するとできなくなってしまう行動の事例を挙げ、共想法に定期的に参加することで、認知機能低下の底上げを図ることができることを具体的に解説しました。
 最後に「頭の健康チェックのすすめ」として骨粗しょう症有病率同様、認知症有病率は、加齢と共に上昇すると述べました。80歳代後半には40%、90歳代前半では60%と、加齢に伴う認知機能の低下は、現時点では避けられないものの、「頭の健康チェック」をする=「自分の認知機能を知る勇気」を持ち知ることを契機に、低い場合は訓練により機能が低下しないように努めることにつなげられるため、重要であると締め括りました。 

 次いで、MS&ADインターリスク総研上席コンサルタントで、認知症予防専門士資格をお持ちの中川大介様より、「高齢者安全運転検査」についての説明がありました。まず、加齢に伴い、認知機能が低下することはやむを得ないこと、現段階では認知症の薬物療法が確立していないこと、また近年高齢に起因する交通事故が増加していることから、認知症発症前の予防の重要性は高まっているという背景を述べられました。そして、運転免許更新時の認知機能検査を嫌い、免許を返納する人が増えていること、高齢者の交通事故が認知機能と身体機能の低下に起因する単独事故が多いという現実を踏まえた、高齢者に「いつまでも安全運転を支援するサービス」:「安全運転支援メニュー」の開発経緯が述べられました。
 MCI(軽度認知症)の段階で改善に取り組めば、正常に戻れるチャンスがあるので、スクリーニングで認知機能と身体機能の度合いを数値化して、危険要素の自覚を促し、MCIや認知症の疑いがある人を早期に発見することが、事故を防ぐことにつながると、認知症の早期発見と予防の必要性を強調されました。

中山大介様の「高齢者安全運転検査」についての講話

 お二人の講話の後、体験会に移りました。
 共想法には6名の損保関係者が体験され、「好きなものごと」をテーマに、「俳優 岡田准一」「お茶 綾鷹」「自社ビル」「柏レイソルのマーク」「国会中継」「一万円札紙幣一千万円分」など、ユニークな写真が持ち寄られました。若い方が多く、共想法にすぐになじまれて、笑いが絶えず、大盛り上がりでした。

若い世代も交えて、大盛り上がりの共想法体験

 もう一方では、運転適性診断と物忘れ相談プログラムにも挑戦しました。運転適性検査ではアクセルチェッカーでアクセルを踏み続けて、サインがでたら、すばやく、正確に、むらなく、アクセルを離すことをチェックしました。数値化された結果を見て、「納得!」といったお顔をされていました。

物忘れ相談プログラムを体験

 参加者の中には、認知症予防ということで興味を持っていただけたのか、ご自身のお母様とそのお友達を誘って下さった方もあり、総勢30余名和やかな雰囲気の中、無事終了することができました。
 開催に当たり、お骨折り下さったMD&ADインターリスク総研、並びにお忙しい中、貴重な時間をさいて下さったあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

(市民研究員 松村光輝・魚谷茜)

 さわやかちば県民プラザ3階大研修室での設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」が盛会に終了した後は、会場を1階のレストラン 赤坂クーポールに移して、定刻より早めに交流会が始まりました。「今からなら!」「アクティブに活動しましょう」と講師から元気づけられたからでしょうか、当日飛び入りのご参加もあり、46名にご参集いただきました。

  開会に当たり、ほのぼの研究所設立当初より一番近い位置で温かくサポートして下さっている三宅 徳久副代表理事が、今後はより足繁く活動に参加し、さらなる躍進を遂げられるように見届けていきたいという、心強い挨拶を述べました。
 

三宅 徳久 副代表理事

  来賓の株式会社伊藤園中央研究所の瀧原 孝宣様からは、お茶の効果・効能の研究に際して、大武先生の講演をきっかけに『共想法』に関心をお持ちいただき、実際にほのぼのプラザますおでの『共想法』に体験参加された経緯や、今後の共同研究を見据えた期待を込めた嬉しいご挨拶をいただきました。

伊藤園 中央研究所 瀧原 孝宣 様

 乾杯の音頭は自社製品:しっぽのついたクッション型セラピーロボットQOOBO君を連れて登場のユカイ工学の青木 俊介様ににこやかに取っていただきました。QOOBO君も嬉しいとみえ、盛んにしっぽを振ってくれました。同社には『共想法』司会ロボットぼのちゃんの開発を手掛けていただいております。

ユカイ工学 青木 俊介 様


一同で乾杯

  お好みのプチケーキやサンドイッチ、ドリンクをいただきながら、最初は予め指定されたA〜Fの6テーブルに分かれて、数人のグループ内自己紹介と歓談となりました。初顔合わせの方々と名刺交換をしたり、所属やお名前に加えて、ほのぼの研究所との関わりや、日頃の業務や活動等、ざっくばらんに披露し、世代、分野の垣根を超えて談笑の輪が広がりました。

ちょうど、小腹が空いてきた頃ですね

 乾杯の挨拶でお目見えしたQOOBO君は青木様と一緒に会場を回り、背中をたくさん撫でてもらって思いっきりしっぽを振ったり、記念写真におさまったりと大活躍でした。理化学研究所顧問の小暮先生は特に企業からご参加の方々に積極的にお声をかけて、親交を深めて下さいました。

QOOBO 君も仲間に入って、多世代、異文化交流

  続いて、正面のマイクの前での全員参加の、共想法風に「好きな食べ物」のエピソードを添えた自己紹介タイムとなりました。カナダから来日した理化学研究所研究員の大変流暢な日本語や、テーマに反した「嫌いな食べ物の」頻出など、驚きあり、笑いありの楽しいひとときはあっという間に過ぎていきました。
 

上橋 泉 監事

  最後に、ほのぼの研究所の上橋 泉監事の、皆様のご健勝とほのぼの研究所の繁栄を祈念した威勢のよい一本〆にて、お名残惜しくも、また来期もお目にかかることを念じて、交流会は無事閉会となりました。
 ご参加の皆さま、ありがとうございました。

市民研究員  田口良江

2019年ほのぼの研究所設立記念講演会

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2019-7-28 8:00
 2019年7月5日(金)13時30分より、柏市柏の葉のさわやかちば県民プラザ大研修室にて、「今からなら間に合う!認知症予防」〜充実した真の健康長寿を目指すために〜をテーマに、ほのぼの研究所設立記念講演会を開催いたしました。愛知県からお招きした国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長 島田裕之先生の講話や『コグニサイズ』への関心のある方、また「今からなら間に合う!」のフレーズに敏感に反応された認知症予防に関心の高い方が多かったのでしょうか、お申込みは早々に定員に達し、当日は雨の心配もある生憎の曇り空でしたが、120余名の参加者で会場は埋め尽くされました。

 大武所長の開会挨拶に続き、さわやかちば県民プラザ 内藤 正寿所長より、ご来賓の挨拶を頂きました。発表されたばかりの認知症施策推進大綱について触れられ、認知症予防に取り組む講師やほのぼの研究所への激励と期待、そして人生100年時代における生涯学習実践の重要性を述べられました。次いで、MS&ADインタリスク総研の杉澤 登様より、法人賛助会員となられた経緯と、『共想法』への大きな期待を込めたご挨拶をいただきました。
 

ご来賓の内藤正寿さわやかちば県民プラザ所長
 

ご来賓のMS&ADインタリスク総研 杉澤 登様
 
  招待講演の島田裕之先生の講話のテーマは「自分で行う認知症予防の方法―この30年間の研究から見えてきたこと」。認知症の発症要因から予防まで、多様な興味深い研究データや研究プロセス、動向を織り交ぜながら、詳細な内容を大変わかりやすく解説して下さいました。

招待講演の国立長寿医療研究センター島田裕之先生
 

 最初に、現時点での予防とは、認知症を完全に抑えたり、治すということではなく、(1)認知症の発症を数年遅らせる(発症遅延)(2)認知症を発症しても悪化を遅らせること(重症化予防)であると定義されました。早期・軽症のMCI(軽度認知障害)への予防の取り組みで、4人に1人が健常の状態に回復した研究結果があることを踏まえて、できるだけ早期に自分の異状に気付き(認知機能検査・脳ドック等)予防策を講じることが重要だと説かれました。そして、予防に効果的とされるものは多数あるも、運動、生活習慣病管理、脳を鍛える、社会的交流が特に効果的であることも。そして、最も悪い要因とされる生活習慣:身体的不活動(運動不足)を改善するばかりか、認知機能を改善するとともに、脳にも良い作用のある方法として、所属の国立長寿医療研究センターが開発した『コグニサイズ』を紹介して下さいました。最後に参加者全員で初歩とはいえ、初心者には徐々に手こずってしまうコグニサイズを幾つか体験しました。果たして、今から!認知症予防を取り組もうと決めた参加者の心ばかりか、身体までが程よく熱くなったのでした。 

会場全員でコグニサイズを体験、うーん、意外と〜
 
 大武美保子 ほのぼの研究所代表理事・所長、理化学研究所チームリーダーの基調講演は「頭の健康チェックのすすめ」。加齢とともに低下する認知機能は、個人、脳血管系疾患発症の有無や生活の仕方等で異なるも、その傾きをいかに緩めるかが全ての人の課題であると述べました。認知症予防のためには、島田先生が異状に気付く-早期に検査を受けることを勧められたように、自分の今の認知機能を知る勇気が重要であると強調しました。そのためには血圧や体重を測るように、認知機能を測り、予防に向き合うべきだと述べました。併せて、認知機能と同じようなカーブをより早期から描く骨密度の計測も、特に女性参加者に勧めました。

 基調講演の大武代表理事・所長
 
 10分の休憩を挟んで島田先生と大武所長の「今からなら間に合う!認知症予防」と題した対談が始まりました。『共想法』実施時に使うことのある、発話量を計って絶妙に?進行を取り仕切るロボットぼのちゃん5号が、対談の司会を務めることになり、ヘッドマイクを装着しての対談となりました。

 絶妙に進行を取り仕切る司会ロボットぼのちゃん5号、対談で大役を果たす?
 
 まず、最前線の認知症予防研究者として、現在、非薬物療法で認知症予防に良いとされる手法は、エビデンス(証拠)が足らないとされていることに忸怩たる思いがあるも、世界でも、また日本でも大規模な臨床研究が始まっていることから、エビデンスを集めながら、発症遅延、重症化防止の意味の予防を推進していくという熱い思いが語られました。
 
  また、休憩時間に会場から収集した質問への回答も含めて、認知症予防のきっかけや継続するポイントについても語られました。予防のきっかけとなるのは、「自分の状態を知る」こと(脳ドック・認知症検査)。病気になると怖いという恐怖は最大のモチベーション。そして、予防活動継続の秘訣は、自分がやっているということを味わうためのモニタリング(記録)と、強靭な意思があっても1人では続けにくいので、仲間づくりが必要とのこと。

 最後に、島田先生から「誰もが認知症は怖い、むやみに怖がることはやめて、一歩踏み出して予防活動をすることが最も大事。認知症の怖さを忘れるほどアクティブに活動して下さい!!」という熱いエールをいただき、対談、そして講演会は終了いたしました。

 なお、多くの方々から回答をいただきました事後アンケートでは、講演会全体に高い評価を頂戴いたしました。またこれまでになく大勢の方々から、自由回答として、これからすぐに認知症予防活動を始めたい、自分の状態を知るために認知機能等を測ってみたいというお声を寄せていただき、「今からなら間に合う!」の効果があったのではと、嬉しく思っております。島田先生のアドバイスに沿って、長く継続いただきますようにと願っております。
 ここに改めて、ご多忙の中遠路はるばるご無理をお願いしてご登壇いただきました島田先生、並びにご参加の皆さまに感謝を申し上げる次第です。ありがとうございました。

市民研究員 長久 秀子

 4年目を迎えた柏市認知症予防講座を、柏市介護予防センター ほのぼのプラザますおにて、6月4日、18日、7月2日の3回に亘って大武美保子ほのぼの研究所代表理事・所長を講師として開講しました。
今年度は募集18名を大幅に上回る42名の応募者があり、抽選の結果33名の方に受講していただくことになりました。60歳代、70歳代前半の応募者が多く、認知症予防への関心が高まっていることを実感しました。


講座一日目は自己紹介でスタート

 毎回、大武所長の「共想法ガイドブック」や資料を用いた認知症や認知症予防に関する講話と共想法の実演、体験とが組み合わされたスケジュールで実施されました。  


大武所長の講話に熱心に耳を傾ける受講生

 共想法のテーマは「好きな物事」とし、1日目は研究員の実演をご覧いただき、2日目には受講生2グループに体験していただきました。「陶芸」「鉄道旅」「ひょうたん作り」「野菜づくり」等々、興味深い写真をもとに面白く愉快な話題提供と質疑応答が繰り広げられました。さらに、昨年同様、共想法に参加していない人も「質問を作ってみる」こともとりいれたので、さらに質疑応答が活発に広がり、講座会場が一体となって、和やかな雰囲気にもなりました。


受講生による共想法体験

 また、休憩時間前に講師から、「共想法の司会ロボット:ぼのちゃんをよく見ておいてくださいね」の声掛けがあり、休憩後、ぼのちゃんの目・口の形や、頭や洋服の色を当てるクイズが出されました。果たして、「え〜と」「う〜ん」「あれっ」などの声がもれ、注意を促されても、意外とよく見ても憶えてもいないこと(空間認識力や記憶力を働かせていない)ことがわかりました。
 3日目には残りの受講生の共想法体験に続いて、ゲーム感覚で認知機能の程度がわかるアプリを使って、「物語記憶」(エピソード記憶)の問題に参加者全員で楽しく挑戦してみました。そして、むやみに認知症を恐れるではなく、自身の今の認知機能の弱み・強みを知った上で、脳を鍛えることの必要性も実感していただきました。


ゲーム感覚で認知機能の程度を知るアプリを使って難問?に挑戦

 始めるだけでなく、「続けることが大切」との講師の呼びかけに、2名の受講生がすでにこの講座の受け皿になっている共想法継続コースに申し込みをされ、6名程の方が次回の継続コースを見学希望されていることは嬉しい限りです。また7月5日の設立記念講演会「今からなら間に合う!認知症予防」にも数名ご参加いただきました。
  
 事後のアンケートには、今講座に「満足」、「ほぼ満足」の好意的ご意見が多数寄せられ、受講生の皆様が大変熱心にご参加して下さっていたというスタッフの実感と重なった結果だけに、特に嬉しいことでした。
本講座運営にご尽力下さいました、柏市ならびに社会福祉協議会のスタッフの皆様、そして受講者の皆様に厚く御礼申しあげます。

市民研究員 魚谷 茜