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ほの研ブログ - ほの研日誌カテゴリのエントリ

ほのぼの研究所代表理事を務める大武美保子の所属する理化学研究所と、2015年より、ほのぼの研究所と協働事業を行っている有限会社野花ヘルスプロモートと、岸和田市の三者が、共同研究契約を締結し、岸和田市において、共想法に関する実証研究を行うことになりました。この共同研究は、ほのぼの研究所と野花ヘルスプロモートとの協働事業が出発点となっていることから、当研究所ウェブサイトでご紹介します。

以下、岸和田市役所公式ホームページ、報道発表「国立研究開発法人理化学研究所と有限会社野花ヘルスプロモートとの共同研究契約締結式を執り行いました」の記事より、岸和田市の許可を得て、編集、転載します。


理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームと有限会社 野花ヘルスプロモートと岸和田市とが協力し、「遠隔会話システムを用いた新しい社会参加とその認知機能向上効果に関わる実証研究」について共同研究を行うことになりました。2023年2月14日に、岸和田市役所において、共同研究契約締結式が行われました。
 
 共同研究は、共想法アプリケーションの高齢者への効果を明らかにすること、及び地域での効果検証を通して遠隔システムを用いた地域包括ケアシステムの中での新しい社会参加の可能性を模索することを目的とします。
 岸和田市在住の認知症のない高齢者から介入プログラム参加を募り、ランダム化比較試験を行います。介入群は、アプリケーションを用いて自宅で他の参加者とのグループ会話プログラムを定期的に行い、その認知機能への効果を非介入群と比較することで検証します。加えて、遠隔で実施する会話プログラム遠隔で実施する会話プログラムが、孤独感など高齢者の社会的健康に寄与するかを明らかにしていきます。
 
 理化学研究所革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ認知行動支援技術チームは、高齢者の認知機能低下を予防するために、認知予備力を高める認知行動支援技術を重点的に開発や写真を用いた会話支援技術『共想法』に立脚した会話支援技術を開発し、人間の認知面、心理面に与える影響を評価するなどの研究を行っています。

 2023年2月14日(火)に執り行われた共同研究契約締結式には、岸和田市 永野 耕平 市長、有限会社野花ヘルスプロモート 代表取締役 冨田 昌秀 氏、理化学研究所 革新知能統合研究センター 認知行動支援技術チーム チームリーダー 大武 美保子(ほのぼの研究所 代表理事・所長)が出席しました。

岸和田市における共同研究契約締結式


永野 耕平 市長 コメント
全ての方が幸福に生きていくことが我々の願いです。科学技術を活用し人の関係性を支える、技術で支えることができないところは、生身の人間で支える。すごく意義ある研究を岸和田市で実施していただけることに感謝しております。我々と一緒に歩んでいただいて成果を一緒に得たいと思います。

冨田 昌秀 代表取締役 コメント
二十数年認知症ケアに携わってきて、早い段階で専門職とつながれば、もっと進行を抑制できるのではと感じていました。共想法と出会ったときに、認知症の発症予防と進行の抑制ができるのではないかと思いました。地域住民の皆様が心も身体も社会的にも健康で、幸福度を高められる「良い状態態」を体現し、豊かな時間を得ていただけるよう私たちも尽力して参ります。

大武 美保子 チームリーダー コメント
「この研究は、人間に寄り添い時間をかけて一歩一歩進めていくものです。岸和田市の皆さんからどのようなお話が飛び出すのだろう、と今からとても楽しみにしております。世界に誇る文化の発信地である岸和田市で一緒に世界に飛び出していける、皆さんに使っていただける技術、手法になっていけたらと願っております。
  2022年12月20日(火)13時30分より、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。新型コロナウィルス感染拡大がいまだに収束に至らないため、一昨年度の設立記念講演会から開始したオンラインでの講演会は、今講演会で6回目となりました。
今講演会は、「超高齢社会におけるサクセスフルエイジング」と題して、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授の三村將先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。

2022年クリスマスオンライン講演会チラシ

 大武美保子弊所代表理事・所長の開会挨拶に続き、東京都新宿区信濃町の慶應義塾大学医学部の研究室から、三村先生にご登壇いただき、「超【幸齢】社会をどう生きるか」と題した招待講演が始まりました。

招待講演講師 三村將先生

 三村先生は1984年慶應義塾大学医学部をご卒業後、同年慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室に入局。1992年〜1994年までボストン大学医学部行動神経学部門・失語症研究センター・記憶障害研究センター研究員として研究に従事。帰国後は東京歯科大学市川総合病院精神神経科講師として臨床及び研究を行う。2000年より昭和大学医学部精神医学教室に勤務。講師、准教授等を経て、2011年より現職である慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授に就任。専門は老年精神医学、神経心理学。認知症や老年期うつ病の診療、研究に従事していらっしゃいます。
また、日本高次脳機能障害学会理事長、日本うつ病学会理事長、日本老年精神医学会副理事長、日本神経心理学会理事、日本精神神経学会理事、安全運転医療学会理事等の要職に就かれていらっしゃいます。

 今回の講演会は、昨年11月に三村先生が会長として主宰された日本認知症学会学術集会/日本老年精神医学会(同時開催)「人生100年時代の認知症を考える」の会長講演「超高齢社会のサクセスフルエイジング」を今講演会のタイトルとして使用させていただくお許しを得ました。またその講話の一部を「超【幸齢】社会をどう生きるか」と題して、超高齢社会日本に於いて、高齢者が幸福に生きるということはどういうことか、また、あまり高いとはいえない日本の幸福度を高めるためにはどうするべきか、社会がどうなるべきなのかということを改めて考えるために、携わられた疫学コホート研究結果を含めた、専門的かつ広範な知見を、以下2点に絞って話題提供をしていただきました。
(1)サクセルフルエイジングとレジリエンス
(2)エイジングと心理社会的要因

招待講演演題

 まず、幸福とは、人それぞれ異なるものの「瞬間的・直接的な快・不快の感情を超越してしみじみと、あるいはほのぼのと感じられる持続的で穏やかな気分状態」であると定義付けられました。さらにそういった状態で歳を重ねていくこと:よく生きるということがサクセスフルエイジングであり、日本を含む高齢社会においては、幸福寿命を延伸する鍵となる概念であると位置づけ、三村先生は「幸齢社会」という造語を使われていると述べられました。
 そして、サクセルフルエイジングは、病気を健康と同じように評価し、認知的健康(記憶や遂行機能どの神経心理学的機能だけでなく、認知の枠組みや智恵を含む)と感情的健康(うつや不安などの否定的な感情がないだけでなく、肯定的な感情や統御などのストレス対処も含む)をもって定義すべきだと説かれました。
 
 また、サクセルフルエイジングを考える上で欠かせないポイントとしてレジリエンス(疾病抵抗性・抗病力)について述べられました。これは人生の様々なストレスフルな状態に対する抵抗力のことを指します。「多くの高齢者は,身体的機能、経済的自立、親密な対人関係の喪失といったさまざま逆境やストレスフルな生活を送ってきた。けれども、そこから回復する過程で自己の価値や人生の意味を追求し続け,逆境から新たなことを学ぶとともにそれをきっかけに前進することができてきている。そのため、加齢に伴ってネガティブな状況が増えるにもかかわらず、高齢者の私的幸福感(ウェルビーイング)は上がる=Aging Paradoxという現象が起こっている。」と述べられました。このことから、多くの高齢者は疾患や障害を抱えながらも、サクセスフルエイジングを達成しており、言い換えればサクセスフルエイジングは「疾患や障害がない」のではなく、「疾患・障害への適応」でもあると説かれました。

自己評価による高齢者のエイジング評価

 
 次に慶應義塾大学医学部精神神経科が関連する以下のコホート研究などから得られた、エイジングと心理社会的要因の関係が紹介されました。

慶應義塾大学精神神経科の高齢者コホート
 

 ・JPHC研究からは、コーピングが将来の自殺のみならず、身体疾患の予後にも影響することが示されている
・Arakawa65+Studyでは、高いポジティブ感情、社会資源、自己効力感、レジリエンスと共に、アプローチコーピングストラテジーが抑うつの発症と負の関連を示す
・Arakawa65+Studyでは、コーピングストラテジーと海馬全体あるいは一部の容積と関連している
・Arakawa 85+及び95+Studyでは、パーソナリティと認知機能、抑うつとが関連している
・Arakawa95+Study、さらに百寿者研究では、老年的超越は認知機能低下、抑うつ、フレイルと関連している 
 
 また、認知機能と抑うつの分布を見てみると、85歳以上では認知症が25%、うつが14%、95歳以上は認知症が60%、うつが20%の領域にあるも、95歳以上になると、通常加齢とともに下がってくる幸福度に関する因子の数値がやがて上がってくるという老年的超越(物質的で合理的な見かたから、加齢に伴い、より宇宙的で超越的な視点への変換)が見られることも述べられました。すなわち老化に伴う各種能力の衰えを否定的に捉えず、現状を肯定し、主観的幸福感を抱くようになることも重要なことだと説かれました。

晩年期に現れる主観的幸福感の老年的超越

 さらに日本では、近い将来10万人以上に達すると想定される100歳(百寿者)になると、何とか生きていこうというよりも、むしろ生かされているというような超越的な感覚を持つようになるため、長生きができるのではないかと思うと述べられました。

 以上の講話を通して、これまで認識の薄かった心理社会的な加齢に伴う一連の変化を伺うことができました。そして、例え健康寿命が絶たれても、前向きな心を持ち続け、レジリエンスを高める生活を送ることで、高いQOLやウェルビーイングを保ち続けることができる可能性を確認することができました。

COI-NEXT共創の場 研究開発課題のイメージ

 そして最後に三村先生から、誰もが参加し繋がることでウェルビーイングを実現する都市型ヘルスコモンズCOI―NEXT共創の場(拠点:慶應義塾大学)において、「認知症になっても日々生き生き「寄り添う研究」のリーダーとして、「認知症になっても、やりたいことがあったら、それができるような生活、そしてそのために生きがいや悦びを維持していくには何ができるか、特に最新のAI、あるいは先端機器のようなものを使ってどのようなことができるのか」という研究を推進している旨が力強く述べられ、講話を締められました。
 
 次いで、大武美保子代表理事・所長が東京の日本橋の理化学研究所から「高齢者を見守り、声掛けをするロボットの開発」と題して、彼女が高齢者の健康の維持に資することを目的として開発しているロボットにまつわる基調講演を行いました。

基調講演演題

 まず、最初にWHO憲章「健康とは肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」に則り、高齢者の健康を「(自分や家族に)病気があっても、人生に極力支障がないように工夫して(レジリエンス)質の高い生活ができる状態」と定義づけ講話を始めました。
 そして、代表理事・所長を務める彼女の研究フィールド:ほのぼの研究所メンバーや共想法参加者、(多くが本人あるいは家族に疾病や障害がある後期高齢者)の実験研究協力や観察を通して、高齢者の認知機能維持に働きかけ、レジリアントで質の高い生活を補助するロボットの開発プロセスを、実際の使用場面の動画を用いて披露しました。

 まずロボットに何をさせるか、ロボットとの唯一の交流ツールでもあり、利用者が考えたり、話したり、行動したりするきっかけとなる「声掛け」については質の高い生活=やりたいことができるように気づかせるため、綿密なプロセスを経て「言葉」をセレクトしていくプロセスを説明しました。

【質の高い生活を助けるためのロボットへの声掛け】の企画プロセス



【すでにしているやりたいことについて聞くロボットへの声掛け】の企画プロセス



【これからやりたいことについて聞くロボット】の企画プロセス

 また、ロボットが対応(回答)するセリフは、どのように相手が答えても、もっともらしく聞こえ、次の発言に導くように想定のセリフを多様に用意すると共に、発言するタイミングが息継ぎなのか、終話なのかを見計らう間合いを推定する技術を開発し、話のシナリオをうまく作れば、スムーズな会話が可能になり、会話において自分の考えを整理していけるということを確認できたと述べました。

 さらに、ほのぼの研究所で継続実践している会話で認知機能を育む手法:共想法のフローのうち、一番難易度の高い、参加者の話を「聞き」「質問する」という部分だけを取り出して実装したロボットを使って、高齢者宅にて共想法をしていただく実験を行ったという報告がありました。提供される話題に関する想定問答は予め登録し、多様な話題をスケジュールに添って各ロボットに配信する技術を開発したとのことで、まだ実験期間が短いものの、対面で共想法に一定期間参加した被験者と同じ種類の認知機能の数値がよくなる傾向があったとの結果を得ているとのことで、今後の実験期間や頻度を充実させての結果が期待されます。

高齢者が話を聞き質問を考えることで、認知機能を育むロボット
共想法形式の会話の「聞く」「質問する」機能を実装

 今回紹介したロボットは疾病や障害があっても、人生に支障がないように、具体的には認知機能をなるべく下げないように、したいことができるようにと企画設計されているため、三村先生のご講演でもご紹介のあったCOI-NEXTプロジェクトに参加して、さらに研究、開発を続けていきたいという抱負を述べて終話いたしました。
https://www.health-commons.com/
JST共創の場形成支援援プログラム
https://www.health-commons.com/randd#theme4
誰もが参加し繋がることができるができることでウェルビーイングを実現する都市型ヘルスコモンズ共創拠点

 休憩を挟んでの三村生と大武所長との対談では、まず、三村先生が大学ご入学時には心理学科に籍を置かれるも、今のご専門は老年精神医学,神経心理学の研究に、大武所長が工学部出身ながら認知症予防の研究にと、多くの転機を経て辿りつかれた経緯をお互いに披露。その都度の様々な研究者や研究との出会いが非常に有意義に働いていることを思い起こされ、共有されました

対談演題

 事後しばらく調査研究の方法、実験結果の効果測定方法等について研究者同志の熱いやりとりが続いた後、視聴者からの質問「後期高齢者の自動車運転」について、三村先生がお答え下さいました。三村先生は安全運転医療学会理事という要職に就かれ、高齢者の自動車運転についての課題をライフワークの一つとして携わってこられているだけに、現状の問題点を含めて大変詳細に、以下のようなご教示を下さいました。

1) 年を重ねるほど、運転能力、運転機能等の機能の個人差、性差が大きくなるため、運転の可否について、少なくとも年齢でしばるべきではない
2) 地方では足としてのニーズが根強く、しかも高齢者自身が運転をせざるを得ない状況があるため、認知症と診断された人は運転免許の更新ができないが、医師の記載する診断書の内容やその対応にばらつきがある等の問題点がある。またサポートカー限定免許に関しても規定が曖昧
3) 医師の診断・評価を得ながらなら、認知機能が低下していても運転可能なこともあるが、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の場合は運転は特にリスクが高い
4) 病名や年齢でしばるのではなく、運転がしっかりできる認知機能、予測力、判断力、運転操作能力が保たれているかということを、医療機関(運転評価外来など)での一定の評価を受け、公安委員会や免許証センターでの実車評価を受け、さらには同乗者の評価も参考にしながら続けていくことが大事→運転寿命の延伸→サクセルフルエイジング

 次いで、大武所長へ投げかけられたロボットの声等に関する質問には論文(下記)の提示に替えさせていただきました。会話支援手法、共想法の司会を、ロボットが行う場合と、スピーカーが行う場合に、参加者がそれぞれどのように感じるかを調査したものです。
 また、海外在住の高齢者が若々しく見えるのは、宗教的な支えもあるコミュニティに属するという社会的つながりも影響しているように思うが、ウェルビーイングの観点ではその重要度は大きいのかどうかという質問に対しては、日本は海外に比べると定着していないが、宗教的なスピリチュアリティを心理社会的要素として捉えることは非常に重要であると答えられました。
https://link.springer.com/article/10.1007/s12369-022-00925-7
Voice Over Body? Older Adults’ Reactions to Robot and Voice Assistant Facilitators of Group Conversation
(ロボットとスピーカーによるグループ会話の司会への高齢者の反応に関する研究)
 
 最後の企画:オンライン(お茶会兼)交流会は、システム上、ご参加のためにリンク先を変更していただくお手間をかけることとなりましたが、飛び入りも含めて、拠点のある関東圏はもとより、北海道からの交流会初参加の方を含めて大阪府、長野県と幅広いエリアからご参加いただきました。三村先生は時間の都合上中座されましたが、前半では、参加者のポジティブな様子を大いに感じていただけたようでした。

交流会参加との記念撮影
   

 参加者全員が、一言自己紹介、近況報告や講演会の感想などを述べ、和やかなオンラインでの対面が久しぶりに叶ったことは、一足早いクリスマスプレゼントのように、心温まるものとなりました。最後に画面上で記念撮影を行い、お開きとなりました。

市民研究員 長久秀子


                   
  2022年12月20日(火)13時30分より、ほのぼの研究所クリスマス講演会を開催いたしました。新型コロナウィルス感染拡大がいまだに収束に至らないため、一昨年度の設立記念講演会から開始したオンラインでの講演会は、今講演会で6回目となりました。 今講演会は、「超高齢社会におけるサクセスフルエイジング」と題して、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授の三村將先生を招待講演講師としてお迎えし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。

招待講演
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】超【幸齢】社会をどう生きるか 三村 將

基調講演
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】高齢者を見守り、声掛けをするロボットの開発 大武 美保子

両講師の対談
【超高齢社会におけるサクセスフルエイジング】対談−三村 將×大武 美保子 「認知症の発症を遅らせ、なっても困らないためにできること」

新年のご挨拶2023

カテゴリ : 
ほの研日誌 » お知らせ
執筆 : 
NagahisaH 2023-1-1 8:00

をくずれ水仙郷

あけましておめでとうございます

旧年は、世界的な感染症流行が始まって3年を過ぎ、ロシアによるウクライナ侵攻が本格化したり、安倍元首相が銃撃されたりするなど、不穏な出来事の多い年でした。共想法による認知症予防という切り口から、ほのぼのとした社会の実現を目指す当研究所は、その実現の難しさを改めて実感しました。写真を用いた会話で想いを共有する共想法が、どのような状況に対してもしなやかに対応し、折れない心を育むことに貢献できればと願っています。2022年は、コロナ禍になってから始めたことを深化させ、質的な変化を遂げた一年となりました。活動を引き続きオンラインを中心に行い、そのことにより、参加者の輪が広がりました。皆様の御参加、御支援、御協力に感謝申し上げます。

第一に、スマートフォンおよびタブレットアプリを用いた遠隔共想法支援システムを用いて、月1回のペースで実施している、共想法継続コースに、大阪や長野など、各地から個人で参加頂くようになりました。これまでも、研究拠点である千葉から地理的な離れたところの方にも、共想法に参加頂いてきましたが、実施運営拠点となる介護施設や病院があり、そこに参加者が集まっていました。遠隔共想法支援システムにより、そのような拠点がない地域の方にも、参加頂けるようになりました。病を得て、以前ほど活発に活動できなくなった親を心配する子どもに勧められ、参加された方もいます。システムを構想した当初に想定した用途で、使って頂けることが明らかになりました。本挨拶をご覧になり、興味を持った方、また、周りに勧めたいと思われた方は、是非事務局までご連絡下さい。

第二に、研究所設立当初より、年2回ペースで開催してきた講演会をオンラインで開催し、2020年から数えて合計6回となりました。夏の設立記念講演会は、「人とのつながりで、脳を育む」をテーマとし、脳の発達や加齢のメカニズムを研究され、ベストセラーの著書「生涯健康脳」がある瀧靖之先生に、仙台からご講演頂きました。冬のクリスマス講演会は、「超高齢社会のサクセスフルエイジング」をテーマとし、第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会大会長である三村將先生に、東京からご講演頂きました。そして、2022年の新たな取り組みとして、講演会終了後に、オンライン交流会の開催に挑戦しました。招待講師の先生を囲んで、参加者全員が感じたことや考えたことを一言ずつ発言し、交流を通じて、元気を与え合うことができました。

第三に、これは共想法継続コース参加者の方の取り組みになりますが、共想法をきっかけに撮り貯めた風景写真を展示する展覧会、「二人の軽井沢・春夏秋冬」展が銀座にて開催されました。コロナ禍前に、対面で行う共想法実験にご夫妻で参加され、コロナ禍が始まって以降、オンラインで開催する共想法継続コースに参加頂いています。コロナ禍を機に軽井沢に移住されたご夫妻の、自然豊かな写真と話題を、他の参加者の皆様と共に、毎回楽しんでいます。そのようにして撮影された写真が、展示されました。共想法参加者で、展覧会を開いた方は初めて、お二人にとっても展覧会を開くのは初めてでした。

新年は、NPO法人ほのぼの研究所を設立して15年を迎える節目の年となります。共想法をきっかけに、会話だけでなく、生活行動全般を整える方法を、実践研究を通じて明らかにするとともに、より本格的な普及に向けた情報発信や、そのための仲間づくりに取り組んで参りたいと思います。本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2023年元旦
NPO法人ほのぼの研究所代表理事・所長
理化学研究所 チームリーダー 大武 美保子

11月1日11年目初の共想法お話の会

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2022-12-4 8:00
 2022年11月1日に、「長生きの薬・百薬の長」というテーマで共想法を実施しました。マカベシルバートピアの共想法(お話の会)では1人2枚の写真を使って、話題を提供していただきます。
 当日は気が付かなかったのですが、2011年11月1日開始のお話の会はで11年目に入ったことになり、おまけに半年毎のスケジュールの11回目でしたので、すべてに「1」がつく記念日となりました。 参加者のSさんの長生きの薬は、18歳の孫と司会ロボットのぼのちゃんだそうです。お孫さんは、美容院へ行ったSさんのヘアースタイルにすぐ気が付く優しい男の子です。ぼのちゃんの仏様のような優しいお顔に毎回癒されているとのことです。お話の会がなかったら、共想法の司会ロボットぼのちゃんにも出会うことがなかったから有難いとおしゃっていました。
 皆様の笑顔と興味深いお話の数々に励まされて、11年目を迎えることができました。目標の10年がとっくに過ぎていることに、我ながら驚いている今日この頃です

マカベシルバートピア 市民研究員 永田映子



オリジナル手編みキャップをかぶったお話の会のアイドルぼのちゃん

コメント:市民研究員 H.N.さん
11年目のスタート、おめでとうございます。マカベシルバートピアのご入所、ご来所の方々とのお話の会は、超高齢の方々含めて人生の先輩方のご参加が多いと伺っております。コロナ禍に限らず、楽しく、お気持ちよく、そして安心・安全にご参加いただくための様々な工夫や配慮をなさりながら、このように長く続けてこられたことに感服です。そして、お話の会を通して人生経験豊かなご参加の方々から得られたものは、E.N.さんの大きな宝物になっていることと思います。これからもずっと続きますように。
 茨城県桜川市のマカベシルバートピアでは毎月6回「お話の会」(共想法)を実施しています。通所者グループが火曜日と木曜日で、入所者はこれまでの2グループをまとめて木曜日に実施しています。
 最近、「気が長いか、短いか」というテーマで写真共想法(全体で2枚の写真を使用)を実施しましたが、私の予想に反して、90%の方が「せっかち」だと自己申告されていました。
  詳しく伺うと、中には娘さんから「杖より前に足が出ているから、危なくて見ていられない」と言われる方も。「せっかち」と思う理由は、生まれつきだから仕方がないというご意見が大半でしたが、戦争を経験されたAさんの自己分析は、明日のことは分からないからすぐやる癖がついたというものでした。それを伺い、いつも姿勢よく笑顔を絶やさない理由がわかったような思いがしました。
  このグループの皆様は、いつも出席を楽しみにして下さっていますが、会が盛り上がるかどうかは、参加される皆様の優しい思いやりに負うところが大きいと、実施者として実感させられる毎日です。

市民研究員 マカベシルバートピア 永田 映子



参加者のお話が弾む「お話の会」(共想法)

2022年ほのぼの研究所設立記念講演会

カテゴリ : 
ほの研日誌 » 行事
執筆 : 
NagahisaH 2022-8-14 8:00
 2022年7月19日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念講演会「人とのつながりで、脳を育む」を、コロナ禍以来一昨年度から継続して継続して採用しているオンライン形式にて開催しました。 
  
 招待講演「生涯健康脳」、基調講演「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」、対談「人とのつながりで、脳を育む」、そして今回初めての企画オンライン交流会を加えての4部形式としました。

設立記念オンライン講演会タイトル

  ほのぼの研究所代表理事・所長の開会の挨拶に続き、早速招待講演講師の東北医学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生に、仙台市からご登壇いただきました。

瀧 靖之先生

 瀧先生は東北大学加齢医学研究所及び東北メディカル・メガバンク機構で脳の MRI画像を用いたデータベースを作成し、読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上り、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者としてご活躍です。
「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。著書は、「生涯健康脳(ソレイユ出版)」「賢い子に育てる究極のコツ(文響社)」「回想脳(青春出版社)」「脳医学の先生、頭が良くなる科学的な方法を教えて下さい」(日経BP)」始め多数、特に「生涯健康脳」「賢い子に育てる究極のコツ」は共に10万部を突破するベストセラーとなり、海外でも複数カ国語で翻訳本が出版されています 。また、テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など、メディア出演も多数おありです。

招待講演「生涯健康脳」

 招待講演「生涯健康脳」は、投影資料を使用されず、大武所長が瀧先生に以下3つの質問を投げかけ、それに瀧先生が答えられるというQ&A方式で進められました。
Q1)脳は加齢によってどのように変化するのでしょう?
―A1)私達の日常生活を司る機能を持つ脳の体積は10代後半にピークに達し、それから萎縮が始まります。
また、判断する、記憶する、考えるといった高次認知機能は、機能の種類によって若干異なりますが、凡そ 20代後半をピークにゆっくりと衰え始めます。知識の獲得は、もっと遅くまで保たれ、それからゆっくりと落ちて行きます。

Q2)脳の加齢を早めるものには何がありますか?
―A2)生活習慣病の危険因子である:飲酒・喫煙・肥満(特に内臓脂肪型)…慢性炎症を招くものと、鬱等の心的不健康が挙げられます。

Q3脳を健康に保つには、どのような生活習慣が大切でしょうか?
―A3)下記の6つが考えられます。

脳を健康に保つための6つの要件

 以上のように、理解しやすいように、具体的に丁寧に説明して下さいましたので、事後アンケートでは、日常生活に直結する講話だったので、役だったというお声を多くいただきました。

 次いで、大武美保子代表理事・所長が東京、日本橋にある理化学研究所から「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」と題して、彼女が考案した会話支援手法「共想法」の説明を行うとともに、共想法を組み込んだ認知的介入プログラム(PICMOR)を用いてランダム化比較試験を実施して得られた研究結果を述べました。

基調講演「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」

 まず、瀧先生が脳を健康に保つための6要件として挙げられた、運動、食生活、睡眠、コミュニケーション、趣味・好奇心、主観的幸福感のうち、特にコミュニケーションに着目したこと。さらに、社会的コミュニケーションの多寡などとは別に、認知機能の維持に役立つコミュニケーションの特徴、条件を考え、それらを満たすコミュニケーションができる方法について、研究していることを述べました。

 会話(コミュニケーション)をする場合、相手の話をよく聴き、声の調子を読み取り、思いやり、注意を払い、理解することをで、加齢とともにとともに萎縮しやすいという前頭葉を使うため、脳を健康に保つための要件のひとつととらえられていますが、単なるおしゃべりではそれらが充足されていないこともあるとして、写真を通して想いを共有できる会話支援手法:「共想法」を考案。「共想法」は一連の作業通して「体験記憶」、「注意分割機能」、「計画力」を総合的に使うことで前頭葉をフル活用するコミュニケーションを確実に行うことをめざしたものだと説明しました。

PICMOR

 さらに、その効果を検証するプログラムとして、AIロボットが司会をする共想法を組み込んだ認知的介入プログラムPICMOR(Photo Integrated Conversation Moderated by Robot)を開発。それを用いた、ランダム化比較試験(共想法参加者 対 雑談参加者)から導かれた共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響を以下のように発表しました。
【認知機能に与える影響】
・共想法形式の会話参加者は、雑談に参加した場合と比べて、言語流暢性(言葉を取り出す認知機能)が向上
【脳に与える影響】
・共想法形式の会話参加者は、言語流動性の部位とその他の部位との結合が強くなっている…言葉の意味をよく理解したり、言葉を使って考えを伝えたりすることで、領域間のつながりがよくなる
・共想法形式の会話参加者は、局所(実行機能や記憶に関わる)部位の体積が、参加修了後、雑談参加者と比べて大きかった
・共想法形式の会話参加者は、白色繊維連絡(領域間のつながり)がよい…脳の信号が他の領域に伝わりやすい
 
 最後に、ほのぼの研究所においては「共想法」を通して脳の健康を維持する生活習慣獲得に関する中長期的な観点での研究、理化学研究所では、脳の健康につながるより科学的、厳密な条件を統制したコミュニケーション方法についてのを研究を行っていく抱負を述べ終話しました。

対談「人とのつながりで、脳を育む」

 休憩を挟んでの瀧先生と大武所長との対談では、まず、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターについては、アンチ・エイジングという名称は加齢を否定することに繋がるので使うことはせず、脳には可塑性があるので、賢く、豊かに、スマートに歳を重ねていくために、基礎研究から臨床研究に至るまで様々な分野、産学連携、社会実装を通じて研究、特に、認知症予防に注力なさっている機関として紹介されました。

 ファッションや身なりを整えることは、楽しく人生を変えていくために気持ちを動かす力が大きい、すなわち行動変容のきっかけになり得るとして、コミュニケーションを向上させたり、自信や外出等の積極的行動を喚起させることが、脳を元気に保つのに大切だと説かれ、ご自身も大変気を遣われていると述べられました。
 「回想について」は、御著『回想脳』で「幸福の自家発電」と述べられているように、ストレスを解消し、過去の回想により主観的幸福感を得られる共に、単に後ろ向きの行動ではなく、その時に関わっている脳の様々な領域が将来のプランニングの時にも関わっていいる大事な領域なので、未来に向かっのポジティブな生きる力をつけるとも説明されました。
 また、子育てに関しても、知的好奇心を認知症予防にも通じる「人生の大きなドライブ」として大事であると述べられ、それを高めるためには親も知的好奇心をもって積極的に生活していることを示しながら、対象への単純接触効果を高めることが大切だと説かれました。わずか20分間の対談ではありましたが、果たしてに各世代へのスマートな生き方へのアドバイスをいただいたことになりました。

 最後の、今回初企画のオンライン(お茶会兼)交流会は、システム上、ご参加のためにリンク先を変更していただくお手間をかけることとなりましたが、飛び入りも含めて、関東圏はもとより、大阪府、長野県を含めた広いエリアから、また理化学研究所の海外からの研究者を含めた若い世代〜80歳代の多世代、様々な分野の方々に多数ご参加いただきました。
 参加者全員が、氏名、好きなモノ・コト等を語る自己紹介を手際よく行った後、視聴者が瀧先生がドラムを始められた理由と不眠について、大武チームの脳科学の研究者が脳を健康に保つために行う趣味(運動)をする場合、認知的に負荷の少ないことをする場合の効果についての質問がありました。
 多趣味の瀧先生のご自身のご経験も踏まえて、趣味はヴィゴツキーの最近接理論や能動的なものが望ましいことは真理であるが、趣味を持てることの意義やそれから派生するコミュニケ―ションや主観的幸福感等にも意義があるとご回答。不眠についてのアドバイスもいただいたところで終了時刻が迫り、2回に分けて集合写真を撮影して、皆様と画面からお別れとなりました。

 初の交流会については、まだ課題もありますが、これまでの視聴だけとは異なり、双方向で講師と参加者が交流できたことを楽しんで下さったお声が多くあり、安堵しております。いただいたご意見やアドバイスを今後に充分に活かしていきたいと存じます。

 そして、何より研究をはじめ様々な分野で超ご多忙、かつ多趣味の瀧先生には、きっと休憩時間には寸暇を惜しんで筋トレをしていらっしゃったのではないかと想像しつつ、この度の講演会に貴重なお時間とご講話をいただいたことを、心より感謝申し上げます。 
 脳を元気に保つためにすべきことは、決してたやすいことばかりではありません。けれども、ハードルを低く設定してみる、壁を取り払うとできる、やっていく・やってみると意外にできるようになるという、瀧先生から伺った脳の可塑性と信じて、改めて「やってみよう!」「やらなければ!」と元気・やる気・勇気をいただいた方も少なくないと信じております。

市民研究員  長久 秀子 



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なお、当講演会の動画は以下URLにてご覧いただけます。
【人とのつながりで脳を育む】生涯健康脳 瀧 靖之
https://www.youtube.com/watch?v=RwBICMPk4QQ

【人とのつながりで脳を育む】共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響 大武
 美保子
https://www.youtube.com/watch?v=0bGcLhiSbho


【人とのつながりで脳を育む】対談−瀧 靖之×大武 美保子
https://www.youtube.com/watch?v=dSnqCmaQTEE

また、以下でこれまでの講演会の動画もご視聴いただけます。
https://www.youtube.com/channel/UCz7L-TE_oqgoLORFqNoIoZA/playlists
2022年7月19日(火)13時30分より、ほのぼの研究所設立記念講演会「人とのつながりで、脳を育む」を、コロナ禍以来一昨年度から継続して継続して採用しているオンライン形式にて開催しました。      招待講演「生涯健康脳」、基調講演「共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響」、対談「人とのつながりで、脳を育む」、そして今回初めての企画オンライン交流会を加えての4部形式としました。動画をクリックすると再生が始まります。大きい画面でご覧になりたい方は、その後右下に表示されるYouTubeという文字をクリックすると、YouTubeのページが開きます。YouTubeのページからは、全画面表示が可能です。

招待講演
【人とのつながりで脳を育む】生涯健康脳 瀧 靖之

基調講演
【人とのつながりで脳を育む】共想法形式の会話が認知機能と脳に与える影響 大武 美保子

両講師の対談
【人とのつながりで脳を育む】対談−瀧 靖之×大武 美保子

 7月19日13:30〜弊所設立記念オンライン講演会を開催いたします。
今回は招待講演講師として、16万人分の脳画像を見て、脳の解析・研究を続けられている脳医学者東北大学加齢医学研究所教授・東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長の瀧 康之先生をお招きしております。お暑さの中、会場にお出かけになることなく、長い人生を身体も脳も元気に過ごすための耳よりの情報やヒントに関する講話のご視聴が可能でございます。以下チラシを覧いただきぜひお申し込み下さい。(お問い合わせ等はfrioffice@fonobono.org迄)





事務局 鈴木晃・長久秀子

ほのぼの研究所2022年度活動方針

カテゴリ : 
ほの研日誌
執筆 : 
NagahisaH 2022-6-5 8:00
 2022年度は、2020年より始まった新型コロナウイルス流行から3年目を迎え、当研究所理事会を開催した5月18日現在、感染状況はオミクロン株の流行による第6波のピークを越えたものの、なかなか収束せずに高止まりしています。2021年度は、基本的に在宅で活動しつつ、オンライン活動から取り残されがちな方に配慮し、講座の現地開催にも取り組みました。2022年度は、感染の波の合間に、講座等を現地開催すると共に、地域によらず活動に参加頂けるオンライン活動の強みを積極的に活かし、参加の輪を広げる取り組みを重点的に行います。

 第一に、認知症予防研究や実験に興味があり、参加を希望される方を募集することを通じて、会員の輪を広げます。ほのぼの研究所における実践研究を担う研究員や、各種活動に参加し、活動をご支援頂いている賛助会員は、認知症予防について学ぶ講座などのイベントや、認知症予防を目的として研究開発している会話支援手法、共想法の実験に参加された方が中心となっています。この原点に立ち返り、特に遠隔による共想法実施、研究事業に参加される方を募ります。2021年度は、各地の、70〜80歳代の親を心配する40〜50歳代の子ども世代から、スマートフォンおよびタブレットアプリケーションを用いた共想法への参加希望のご連絡を頂くようになりました。足腰が悪く外出がままならない親に、オンラインでの会話を通じた人との交流と認知症予防の機会を作りたいと願う子どもがサポートする、二人三脚での実施に、挑戦しています。2022年度は、遠隔共想法の実証実験をさらに推進して参ります。

 第二に、もともと現地開催していた、招待講演や出前講座を、オンラインで実施することに取り組みます。2020年度、2021年度共に、オンライン開催を試行し、ノウハウを蓄積してきました。遠隔共想法の体験や、ライブでの質疑応答、講演や体験の後に交流会を設けるなど、双方向に交流する仕組みを取り入れながら、認知症予防について学びたい、認知症予防法を体験したいというニーズに応えて行きたいと思います。そして、オンライン講演、講座の依頼に応えられることを周知し、NPOの活動に必要な収益事業として位置づけられるようにします。

 第三に、実践研究を担う研究員の多世代化に取り組みます。コロナ禍前は、実践研究の進め方について相談する研究会を、平日昼間に対面で週一回行っていました。このため、研究員は、実践研究の拠点に通うことが可能な高齢者が中心です。コロナ禍以降は、この研究会が、引き続き平日昼間ですが、オンラインで月一回開催になりました。このため、高齢者だけでなく、現役世代や学生の方にも参加頂きやすくなりました。このことを活かし、プロボノ活動に興味を持つ幅広い世代の方に実践研究に参加頂けるよう、積極的に活動参加募集をして行きます。そして、認知症予防研究を基点に、さらに高齢化が進む未来社会を先取りし、高齢化を強みに変える新たな仕組みを、共に創って行きたいと思います。


NPO法人ほのぼの研究所 代表理事・所長
理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー
大武美保子