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ほのぼの研究所
Logo of FRIほのぼの研究所は、超高齢社会の課題である「認知症」を、高齢者を中心に全世代と共に考え、解決方法を提案する新しい学問を創り、「防ぎうる認知症にならない社会」を実現することを目的としています。その具体的な手段として、認知機能を活用する会話支援手法「共想法」の実践研究と普及を目指す組織です。「共想法」とは、出題されるテーマに沿って写真を撮ってきて持ち寄り、写真を見ながら「話す」「見る」「聴く」「考える」を行う会話支援の方法です。雑談と比べて、加齢と共に低下しやすい、言葉を取り出す時に必要な認知機能が向上するエビデンスが得られています。
書籍「脳が長持ちする会話」出版
Long Lasting Brain書籍「脳が長持ちする会話」が出版されました。
「脳が長持ちする会話」とは、「テーマを決めて、お互いの考えを聴く会話」で、結果としてそれぞれに「新しい気づきが得られる会話」です。どうしてそれで脳が長持ちするのか疑問に思った方は、是非本書を手に取って頂ければ幸いです。amazonで注文できます。
長持ち脳検定の開発
CYCLEーJKA SOCIAL ACTION2025年度 公益事業振興補助事業に採択され、「長持ち脳検定の開発」事業に取り組んでいます。本事業の目的は、幅広い年齢層、特に中年期以降の人々が認知機能を維持し、向上させるための「長持ち脳検定」を提供することです。e-Learning教材を活用し、生活習慣の改善を学ぶ機会を提供。認定資格の取得と賛助会員制度を通じて、継続的な学びの支援を行います。認知機能低下を実現し、より健康的な生活をサポートすることを目指します。
最新ほの研ブログ
  • 理化学研究所・ほのぼ...(2025/08/24)
     2025年7月15日(火))13時30分より、東京都中央区日本橋の理化学研究所革新知能統合研究センターのオープンスペースにて、代表理事・所長の大武美保子が勤務する理化学研究所とほのぼの研究所の共催で、NPO法人ほのぼの研究所設立記念講演会「認知症の予防と治療の未来」を開催しました。
     なお、本講演会は、令和7年度柏市社会福祉協議会 共同募金配分金による助成を受けて実施したものです

    2025年度設立記会チラシ

     招待講演講師として、国立研究開発法人量子医科学研究所(QST)脳機能イメージング研究センターセンター長・大阪公立大学医学研究科健康長寿医科学講座 病因診断科学 教授である樋口真人先生をお招きし、「招待講演」「基調講演」「両講師の対談」「交流会」の4部形式としました。

    樋口真人先生

     前日来、梅雨明け前に早くも接近の台風5号の影響が案じられる不安定な天候でしたが、栃木県を含めて関東圏各地から70歳代を中心に40〜90歳代の40余名の方々にご参加いただきました。

    メモを取りながら熱心に視聴なさる参加者

     開会の挨拶では、かねてより根強いリクエストのあった認知症の基礎研究や治療の最前線に関する講話を、その分野でトップランナーである樋口真人先生から拝聴できる念願が叶った経緯と感謝の念を、大武所長代表理事・所長が述べました。
     続いて、大武所長の東大時代の恩師で、ほのぼの研究所の設立以来の理事でもある岩田修一東大名誉教授より、ご参加の皆様と様々な知見を共有できる喜びと共に、教え子の研究がLarge Language ModelというAIのトレンドが始まっている中、彼女らの研究が日本の叡智として世界に役立つものとなってほしいという激励を述べられました。

    岩田理事挨拶

     招待講演のタイトルは「認知症の革新的な診療を身近に利用できる社会へ」。千葉市の量子科学技術研究開発機構の脳機能イメージング研究センターセンター長であるとともに、大阪公立大学で教授をお務めになりながら、大阪での認知症研究と診療を統合するセンターの立ち上げにも関わるというクロスアポイントメントで、両所を行き来していらっしゃるという自己紹介から始まりました。

    樋口先生講演演目

    鞠知症病態の基本概念
      ◆神経変性性3大認知症は初期症状での鑑別・診断は困難。
        診断の手がかりとなるもの…脳にたまるタンパクのごみ(凝集体)
      .▲襯張魯ぅ沺蕊➨アミロイドβ・タウ
      ∩案側頭葉変性症➨タウ・あるいはTDP43 
      レビー小体型認知症➨アルファシヌクレイン

    認知症者の脳に沈着するタンパク

    恭弯慧診断・医療技術の進歩
     ◆アミロイドβ病変を「見つけて」「治す」
      ・PET(電子放射断層撮影法)により可視化(25万円)
      ・除去する抗体薬の開発【アデュカヌマブ】
      ・その後【レカネマブ】等の抗体薬が承認され、臨床利用
        課題:アミロイドβは7〜8割除去され、認知機能障害の進行が3割遅延 
           も、効果の割に薬価が高価(300万円/年)タウ病変には?
     ◆タウ病変を「見つけて」「治す」
      ・QSTグループ(樋口先生)によるタウタンパクに結合するPET薬剤を開発
       ➨様々な認知症におけるタウ蛋白の蓄積パターンの可視化に成功、
       現在日本を含めた4カ国で臨床試験が進行中。2027年には診断薬として承認される
       見込み
      ・タウ遺伝子発現を抑制し、タウを除去する治療薬(核酸医薬)開発

    啓\ぢ紊稜知症の革新的診療に向けて
      ・血漿中アミロイドβの計測システムを国内で準備中
      ・画像検所見を反映する血液タウ検査法のネットワークMABB:Multicenter 
       Alliance For Brain Biomarkers により全国の研究機関と血液バイオマーカーを開発中
      ・大阪公立大学開発のラクシスシステムは迅速・安価・微量・高感度のタウ血液検査が
       可能に

    次世代診断・診療ワークフローイメージとファシリティのイメージ

     ◆認知症根絶に向けたムーンショット型開発事業
      認知症病態は’焼發涼素鬚涼濱儉∈挧ο群臭1蠑鼻,箸、連携かつ悪影響を及ぼ
      し合い、3つ巴になって進行する。中年期からの様々な危険因子(難聴、うつ、
      頭部外傷、身体活動低下、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満など)が認知症リスクの
      約半分を占めており、これらは炎症と細胞老化の連鎖反応として共通のメカニズ
      ムで説明でき得る。「ムーンショット型研究開発事業」として、西日本の認知症
      研究拠点:大阪健康長寿医科学センター(大阪長寿)を含めた、全国10研究機関
      と12人の分担者と共に、病態の進行を操る鍵物質を見つけ出す事業を行い次世代
      の認知症予防・治療の開発を進行(2024/11〜)

    認認知症根絶に向けたムーンショット型研究開発事業

    乎翡期以降のレジリエンス低下(認知症予防)を防ぐためのコミュ力、絆の重要性
     「教育歴の長さが、レジリデンス(脳の強靭さ・打ち勝つ力)認知症発症の低減と
      関係がある」➨神経細胞の同士の繋がり、脳内免疫細胞と神経の繋がり、
      脳と様々な臓器とのつながり、人と人との繋がりがレジリエンスを強化し、認知
      症に打ち勝つ力となる。特に中年以降はコミュニケーション能力の低下により、
      レジリエンスを低下させる可能性があるため、それを防ぐための職場・家庭・
      職場での役割や、そして本人たちが夢中に・生きがいとなり得るモノ・ヒトの創
      成や参加による相互の「絆」強化が、認知症予防の重要な要素となり得ると説かれ
      ました。

    【重要】中高年期からレジリエンスを高めること

     最後に、多くの構想や展望に関しては、試行錯誤が続くも、確実に次世代には間に合うと確信しているので、皆様の協力も得ながら邁進していくと講話㋾締めくくられました。

     続く大武代表理事・所長の基調講演「会話で言語能力を高め、認知症の発症を遅らせる」では、まず認知症になり、同じ話ばかりする祖母の記憶が、写真を使った会話によって記憶が呼び覚まされ、会話が広がることに気づいたこと、「共想法」という会話支援手法を2006年に考案したことが、会話による認知症予防の研究に着手した契機だとしました。

     実践研究の拠点として、NPO法人ほのぼの研究所を設立してフィールドワークを続け、共想法により「工学的に脳をどのように使えば、長持ちするのか」という実践研究を一貫して行い、さらに2017年より、人間の知能を育む人工知能についての基礎研究を、理化学研究所の革新知能統合研究センターで行っていると、研究プロセスを述べました。また介護現場でのコミュニケーション支援のためにと『介護に役立つ共想法』を、また昨年末には、研究結果に基づく、認知機能向上のための会話についてまとめた『脳が長持ちする会話』を上梓したと伝えました。

    大武代表理事の基調講演

     次いで、認知症を脳や身体の疾患が原因で記憶や判断力等の障害が起こり、生活に支障を来たす状況であると定義づけ、その予防のためのアプローチとして、生理的アプローチと認知的アプローチが必要であると述べました。そして、若い時から言語能力が高かった人の中には、脳に疾患があっても認知症が発症しない人がいたという修道女研究を紹介しました。認知的アプローチの中でも、特に会話やコミュニケーション能力に着目し、テーマに沿った写真を持ち寄り、それについて話題提供、質疑応答をすることで、加齢になると低下しやすい体験記憶、注意分割機能、計画力、実行機能などの認知機能を活用する会話にフォーカスして開発した「共想法」について説明をしました。

    修道女研究


    共想法での行動と活用される認知機能

     実践を重ねた結果、その効果検証のために、ランダム化比較試験を行い、介入群において、加齢により低下しやすい言語流暢性が有意に向上する結果が得られ、今後実施するより長期間の介入研究の基礎となる、急激に低下する恐れのある認知機能の底上げができることを確かめたと述べました。

     最後に、ほのぼの研究所では、「脳が長持ちする会話」を日常に取り入れる習慣作りの重要性を鑑み、「長持ち脳検定」や「長持ち脳」のコミュニティづくり事業や、特に次世代の40〜50代をターゲットにした活動を拡大することで、「脳が長持ちする会話」を世の中に広めていきたいと抱負を述べ、終話しました。

     小休憩を挟んだ講師2人の対談に先駆け、びっしりと記入された質問用紙が寄せられました。対談時間内にすべてにお答えすることは不可能であるものの、webサイトを含めすべて回答させていただくことをご承知おきいただき、幾つかの質問に両講師が対談をしながら回答しました。

    対談しながら、参加者の質問に答える両講師

     取り上げられた質問は「教育歴の長さと認知症リスクの関係」「アミロイドβは睡眠時にしか除去されないのか」「認知症予防と運動との関係性」「認知症検査における心理的ハードル」「芸術活動と認知症予防」とどれもが興味深いものでした。すべての質問に対しては、ご本人に必ず回答するほか、公開が承諾されたものに関しては、時宜を応じてブログ等にてご公開予定です。ここでは以下2例をご紹介します。
    【質疑応答の2例】
    Q―「認知機能検査を受けるのには、心理的ハードルがありますが…」
    A―アミロイドβ除去治療法の発展により、将来的にはハードルは下がる可能性があります。早期発見により、ライフスタイルの変更などの予防的措置を講じる時間的委余裕が生まれるからです。血液検査等の新しい診断技術が脳内の変化をリアルタイムに捉えることができるので、早期介入の可能性を高めていくべきだと思います。(樋口先生)
    現在は、認知機能検査を、測らなくても下がっていることが分かるくらい、認知機能が大幅に低下した後に行うことが多いです。血圧で言えば、高血圧と診断されるくらい、高い血圧になって初めて測るようなものです。本来は、高血圧ではない「血圧が高め」のような段階で気づければ、対策が立てられます。今後は、まだ大きな問題にならない、中年期のうちから認知機能を測定し、自分の特性を知っておいた上で、変化に気づけるようにする仕組みづくりをできればと考えています。(大武所長)

    Q−「睡眠中にしかアミロイドβは除去されないのですか?。睡眠時間が不規則で短いので不安です」
    A―基礎研究では睡眠中の方が脳内の水の流れがアミロイドβの除去に効果的だとされていますが、人間での実証はさらに必要だと思われます。起床時にも除去はされるものの、睡眠中の方が効果が高いとされています。(樋口先生)
     
     最後に大武所長から投げかけられた「世界で初のタウタンパクに結合するPET薬剤開発の成功要因」に関する樋口先生への質問には、大手の製薬会社のような人工的なタウではなく、実際の患者の脳組織やモデル動物のそれを使ったこと、モデル動物の早期導入や、診断薬が微量で効果を発揮するという特性を活かした迅速な臨床応用の戦略が奏功したと思うと回答されました。そして何より小さな発見や疑問を見逃さず、立ち止まって考える姿勢や、他の人と違うことをしてみることも重要だったと、ご自身の真摯な研究への向き合い方を語られました。

     休憩後の交流会は、認知症予防分野の推し活の重要メンバーに、大武代表理事に加えて、早速樋口先生を加えたといわれた、笑顔の岩田理事に再登場いただき、「みんなで元気に生きていきましょう」と乾杯の音頭をとっていただきました。

    岩田理事の音頭で乾杯

     樋口先生の講話から、様々な分野で進められている技術開発や事業構想から、早期発見、治療への道筋が身近になりつつあることを誰もが実感でき、光が見えてきた安堵の念を抱いたように思えました。そうした思いを反映したのか、なおかつ研究について熱く、しかも気さくにお話し下さる樋口先生の雰囲気もあいまって、対談に続く交流会は、レイアウト変更のためのインターバルを挟みながらも、中座する方はわずかでした。両講師とも積極的に参加者の輪に入って下さったので、そこここに笑顔の会話の花が咲き、閉会が延刻したほどでした。そして、夕刻のゲリラ豪雨再来も案じられる中、最後まで参加者をお見送り下さった樋口先生のお人柄に感謝いたしました。

    参加者と歓談する講師

     最後になりましたが、当講演会の開催にあたり、共催者として多大なご尽力をいただきました理化学研究所革新知能統合研究センター センター長室の方々、並びに助成金を賜りました柏市社会福祉協議会様を始めとする、全ての関係者の方々に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

    市民研究員 長久 秀子

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ほの研通信
ほの研通信は、ほのぼの研究所、略してほの研が発行するニュースレターです。2009年3月に発刊しました。年二回の発行を目指します。ほの研通信を発行する目的は、共想法を中心とする、研究拠点・ほのぼの研究所の研究活動状況と、活動を通じて得られた知見を、NPO法人ほのぼの研究所の賛助会員をはじめとする関係者の皆様、興味のあるすべての方へお伝えすることです。
NPO法人ほのぼの研究所YouTubeチャンネル
NPO法人ほのぼの研究所のYouTubeチャンネルを開設しました。講演会の講演や対談の動画を視聴することができます。ぜひご覧になり、チャンネル登録ください。

NPO法人ほのぼの研究所YouTubeチャンネル

共想法をより深く学ぶために
2012年1月、共想法に関する世界初の書籍「介護に役立つ共想法―認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション」が出版されました。介護専門職のための総合情報誌「おはよう21」での連載をもとに、連載で書ききれなかったことを加えてまとめられたものです。 本書の特徴は、各地で開催された共想法において、実際に用いられた写真と話題が、全部で30件以上掲載されていることです。共想法を通じて繰り広げられるほのぼのとした会話の雰囲気を豊富な具体例から楽しむことができます。基礎的な考え方と共に、準備や実施手順と活用事例が述べられています。共想法の入門に最適の一冊です。

詳しくは、ほの研ブログ記事介護に役立つ共想法、出版をご覧ください。

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