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盛岡紀行
ほのぼの研究所
Logo of FRIほのぼの研究所は、超高齢社会の課題である「認知症」を、高齢者を中心に全世代と共に考え、解決方法を提案する新しい学問を創り、「防ぎうる認知症にならない社会」を実現することを目的としています。その具体的な手段として、認知機能を活用する会話支援手法「共想法」の実践研究と普及を目指す組織です。「共想法」とは、出題されるテーマに沿って写真を撮ってきて持ち寄り、写真を見ながら「話す」「見る」「聴く」「考える」を行う会話支援の方法です。雑談と比べて、加齢と共に低下しやすい、言葉を取り出す時に必要な認知機能が向上するエビデンスが得られています。
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  • 柏市シルバー大学院B...(2024/07/21)
     2024年7月2日10時より千葉県柏市野村證券柏支店3階のホールにて、柏シルバー大学院B組の方々へ「高齢者の認知症予防」をテーマにした出前講座を行いました。当大学院は千葉県生涯大学校を修了した後も、さらに自主的に学習を続け、社会環境の変化に順応する能力を 高め、交遊の輪を広げ、併せて社会活動に参加し、生き甲斐の高揚に資することを目的として昭和56年5月に創立されました。学生により自主的に運営されています。在校の皆様は月2日、年間18回(約72時間)の学習のほか、年3回の校外研修及び年2回の合同研修をなどに参加されるなど、まさに生涯学習を粛々と継続中の方々です。
     
     今回の講座で以上のことを実感したのは、開講時刻10時の30分前には、大学院の生徒さん達で会場(シルバー大学院では【教場】が呼称のようです)は既に満席に近い状態で学習準備万端であったことと、講座の開始には「起立」「礼」「着席」の号令がかかったこと。さらには、お世話役の方から、小休憩時に「今回は睡眠学習(居眠り)をしている人が誰もいなかった!」というお声を漏れ伺ったり、当日の出席者は72名(男39名、女33名)で出席率92.3%とのことで、皆様の意識の高さ感じ取ることができました。

     今講座は講師を大武美保子代表理事・所長が務め、共想法デモンストレーションやPC操作行うアシスタントとして市民研究員の根岸、松村、吉田、三浦、長久が参加いたしました。
     
     開会のご挨拶、講師の紹介の後、早速講座が始まりました。まず、ほのぼの研究所のトピックスでもある8月20日に開催する設立16周年記念講演会のメインが、大学時時代の恩師でもある失敗学の提唱者:畑村洋太郎先生との師弟対談であることを伝えました。そして、畑村先生の話題性の高い近著『老いの失敗学』に表された「老いの小さな失敗に対する対策や考え方」=「上手に老いる」は認知症予防のために、小さな失敗を恐れず十分に対策をした上で挑戦することにつながると述べました。

    『老いの失敗学」畑村洋太郎著

     次いで、畑村先生(1941年生まれ)と同じ、あるいはそれ以上の方々も十数人いらっしゃるようにお見受けした会場の皆様に対して認知症に関する認識や日々の健康長寿や認知症予防に対する工夫の有無などを問いかけながら、長く認知症を患った祖母と、写真を介して、また質問を工夫することで会話が広がり、コミュニケーションができるようになったという経験をきっかけに、認知症予防の研究を始めたいう話や、さらに、会話に着目して進めている研究の経緯、ほのぼの研究所を設立した意味などを述べ、自己紹介をしました。

    授業風景

     今講座の本題「高齢者の認知症予防」についての講話は、まず「脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が遅れなくなった状態」であると、認知症の定義を述べた後、人生100年といわれる中、95歳以上の高齢者の約8割が認知症と推計されるという喫緊の課題があることを述べました。

     加えて、80歳まで20本以上の歯を残すことをスローガンとした8020運動(口腔ケア習慣の徹底)で、55歳〜64歳で歯を失う人の割合が、1975年から2005年までの間に、20%から2%に減少した成功事例を挙げ、認知機能の低下を防ぐために認知機能能をバランスよく活用する認知ケア習慣を普及させれば、認知症有病率を劇的に減少させることは夢ではない、認知症予防対策はまだまだ伸びしろがある、歯を磨くように脳を磨こうという熱い思いも述べました。

     そして、その認知症予防対策として以下の2つを挙げ、詳細を説明しました。
    1)生理的アプローチ(認知症の原因の約9割を閉めるアルツハイマー病と脳血管障害を防ぐこと=身体と脳の老化を防ぐこと)➨適度な運動、食事の工夫、充分な睡眠…エビデンスが豊富
    2) 認知的アプローチ(たとえアルツハイマー病にかかったとしても、認知症の症状が出るのを防ぐこと)➨社会生活を送る上で必要であり認知症になると急激に低下するとされている体験記憶、注意分割機能、計画実行機能、言語流暢性といった認知機能を必要とする、知的活動や社会的交流を行い、言語能力を高める

     さらに、体験記憶の衰えを進行度別に示し、重度の「最近のことを思い出せない」症状になる前に表れる「最近のことを覚えない、思い出さない」ような生活習慣は、いずれ重度な症状に陥る危険信号が灯っている状態なので、毎日楽しくすごし、最近のことをきちんと憶えておいて、それを話すことが大切であると添えました。

     そうした観点から、会話(最近のことを話す)に注目して、2006年に提唱した、認知症になると低下する認知機能を活用する社会的交流を、高い確率で実現するための会話支援手法:「共想法」について次のように説明しました。設定されたテーマに沿った写真を撮影し、時間と順序のルール決めて、話す、聞く、質問する、答える(会話する)もので、一連の作業を通して、加齢と共に衰えやすい体験記憶、注意分割機能、計画力を、総合的に使うことで、衰えやすい認知機能の低下を防ぎ、長持ちする脳の使い方を実践するものです。

     10分間の休憩を挟んで、市民研究員の3人が参加の、「最近やってみたこと」がテーマの、ロボットぼのちゃんが司会をする共想法デモンストレーションをご覧に入れました。しかしながら、経験豊富な共想法ベテラン?だけに、それぞれが時間をきっちり守って話題提供と質問をしてしまったため、司会ぼのちゃんが時間どおりに会話をしない参加者を容赦なく遮って、正しい進行を続けようとする役目が果たせず、賢いロボットの見せ場をご披露できなかったことは反省事項でした、

    共想法のデモンストレーション

     その後、配布資料をもとに、ロボットぼのちゃんが単なる司会でなく、会話量を計測して、参加者だれもにまんべんなく会話を促す機能もあることや、共想法のような、憶えたり、質問をしたりという頭を使った会話を続けることにより、言葉を取り出す脳の機能(言語流暢性)が向上したということがRCT調査でわかったことを伝え、ぜひとも生活習慣に取り入れていってほしいと勧めました。
     最後に、大武代表理事の研究活動を発信している各種SNSツールや、ほのぼの研究所の広報・普及等の活動内容を紹介し、在宅でもご参加可能な遠隔共想法や街歩き共想法へのご参加を誘いし、終講となりました。
     
     残念ながら、時間の関係で質疑応答の時間はありませんでしたが、クラスの責任者から「大変興味のある講義であり、真剣に受講することができました。配布資料を読み返すことでようやく「共想法」について理解ができたので、改めてまたそれに関する講義を視聴したい」という感想をいただいたことは、大変嬉しいことでした。
      

    クラスの責任者との記念撮影

     この講座開催に当たり、ご尽力いただきました柏市シルバー大学院の関係者の方々に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
     また、講義冒頭にご案内した8月に開催する設立記念講演会へのご参加お申込みを当日から引き続き沢山いただいておりますことも、大変ありがたく厚く御礼申し上げます。

    市民研究員 長久秀子

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ほの研通信は、ほのぼの研究所、略してほの研が発行するニュースレターです。2009年3月に発刊しました。年二回の発行を目指します。ほの研通信を発行する目的は、共想法を中心とする、研究拠点・ほのぼの研究所の研究活動状況と、活動を通じて得られた知見を、NPO法人ほのぼの研究所の賛助会員をはじめとする関係者の皆様、興味のあるすべての方へお伝えすることです。
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共想法をより深く学ぶために
2012年1月、共想法に関する世界初の書籍「介護に役立つ共想法―認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション」が出版されました。介護専門職のための総合情報誌「おはよう21」での連載をもとに、連載で書ききれなかったことを加えてまとめられたものです。 本書の特徴は、各地で開催された共想法において、実際に用いられた写真と話題が、全部で30件以上掲載されていることです。共想法を通じて繰り広げられるほのぼのとした会話の雰囲気を豊富な具体例から楽しむことができます。基礎的な考え方と共に、準備や実施手順と活用事例が述べられています。共想法の入門に最適の一冊です。

詳しくは、ほの研ブログ記事介護に役立つ共想法、出版をご覧ください。

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